暑さが厳しい日が続いていますが、熱中症予防や食品の持ち帰りのために「保冷剤」を使う人も多いのではないでしょうか。屋外では、額や首に保冷剤を直接当てている人を見掛けることがあるほか、洋菓子や生鮮食料品の購入客に対して、保冷剤を配布する店もあります。

 ところで、保冷剤はどれくらいの期間、使い続けられるのでしょうか。使用時の注意点について、保冷剤の製造・販売を手掛けるトライ・カンパニー静岡県沼津市)の営業チーム、石原紀彦リーダーに聞きました。

暑い時期は2~3カ月で廃棄を

Q.保冷剤はどのような素材で構成されているのでしょうか。

石原さん「保冷剤の99%は水、残りの部分は紙おむつにも使われている『高吸水性ポリマー』などで構成されています。当社保冷剤の99%はRO水(逆浸透膜でろ過した水)です。高吸水性ポリマーは、それ自体の重さの数百倍から数千倍の水を吸い込み、保持できるのが特徴です。少量の高吸水性ポリマーと水を組み合わせることで一定期間、水分量を維持したまま、繰り返し、凍らせることができます。

保冷剤の表面はフィルムや不織布で覆われていますが、洋菓子店では、不織布タイプの保冷剤を配布することが多いです。フィルムタイプの保冷剤だと結露により、表面に水滴がたまりやすく、箱に入れたときに中がぬれてしまう恐れがあるからです。なお、『剤』という漢字は『いろいろな種類を取り合わせる。特に、各種の薬を調合したもの』という意味で使われるため、当社では『保冷材』と表記しています」

Q.保冷剤はどれくらいの期間、繰り返し、使い続けられるのでしょうか。

石原さん「使用時期によって異なります。基本的に1年ほど繰り返し使うことができますが、高温多湿な環境下で使い続けると、表面が破れやすくなるなど製品の劣化が早まります。夏のような暑い時期に繰り返し使う場合は、使用開始後2~3カ月をめどに捨てた方がよいでしょう」

Q.洋菓子店や生鮮食料品店で配布された保冷剤は繰り返し使っても問題ないのでしょうか。それとも、食品を持ち帰った後にすぐに捨てた方がよいのでしょうか。

石原さん「店で配布された保冷剤は品質上、繰り返し使っても特に問題ありません」

Q.保冷剤で食品を何時間程度、持ち運べるのでしょうか。

石原さん「保冷剤の重さによって異なります。例えば、洋菓子店などで配布されることが多い約50グラムの保冷剤の場合、1~2時間ほど、食品の持ち運びが可能です。持ち運びの際に保冷剤だけでなく、保冷バッグも使えば効果が倍増します」

Q.保冷剤の使用時や保管時の注意点について教えてください。

石原さん「高温多湿な場所に長時間放置した場合や凍った状態で衝撃を与えると、表面が破れるなど製品が劣化する原因となります。基本的に冷凍庫で保管し、丁寧に扱いましょう。冷凍庫を使用できない場合や保冷剤をしばらく使用する予定がない場合は、冷暗所で保管しても構いません。その際は保冷剤をしっかり溶かして、水分をよく拭き取ってから保管してください。

不織布の保冷剤はフィルムタイプの保冷剤に比べて表面が破れやすく、汚れが付くと落ちにくいです。また、使用後にそのまま常温の場所に置くと、かびが生えることもあるので取り扱いに注意してください」

Q.暑い日、保冷剤を額や首に直接当てている人を見かけますが問題はないのでしょうか。

石原さん「保冷剤を肌に直接当てて使うと凍傷の恐れがあります。保冷剤で体を冷やすときは、タオルやハンカチなどで包んでください」

Q.使わなくなった保冷剤は可燃ごみ、不燃ごみのどちらで捨てた方がよいのでしょうか。

石原さん「自治体によって処分方法が異なります。捨てる際は、お住まいの自治体のごみの分別方法を確認してください」

オトナンサー編集部

定番製品の「保冷材キャッチクール」(トライ・カンパニーのホームページより)