教育熱の高い家庭にとって、「できることなら我が子を……」と願う東京大学。合格への王道といえるのが、「難関中高一貫校から東大へ」というもの。その筆頭に数えられる、男子御三家ですが、それをも上回る現役合格率を誇る学校があるとか。みていきましょう。

東大生の親は、やはり高収入の現実

日本の大学のなかで、最高学府のひとつに数えられる東京大学。もし我が子の成績が良ければ……とたいていの親は思ったことはあるのではないでしょうか。色々な考え方があるでしょうが、可能性があるならと考えるような存在が東大です。実際に「我が子を東京大学に」を実現したような家庭とはどのような家庭なのか、東京大学による『2020年度(第70回)学生生活実態調査結果報告書』でみてみましょう。

まず(大学入学前の)居住地。「東京都」が25.7%と4分の1、「東京都を除く関東地方」が32.0%。やはり大学のお膝元となる東京都とその周辺部が過半数を占めます。次に多いのが「中部地方」で13.1%、「近畿地方」が11.0%と続きます。

次に「現在、生計を主に支えている人(複数回答可)」として最も多いのが「父」で93.1%。「母」が46.1%と続きます。また「本人」が5.3%と、自力で大学入学を果たした学生の存在も。

父親の職業で最も多いのは「管理的職業」で38.4%。「専門的、技術的職業」22.7%、「教育的職業」9.4%、「事務」7.5%と続きます。一方、母親の職業で最も多いのは「無職」で31.7%。「事務」20.9%、「専門的、技術的職業」12.6%、「教育的職業」11.2%、「サービス業」10.5%と続きます。片働きよりも共働きのほうが多いと推測されます。

そして世帯年収についてみていきましょう。最も多いのが「1,050万円以上」で42.5%。一方で450万円未満が14.0%。会社員の平均給与は433万円といわれていますから、それに満たない東大生は、少なくても7人に1人程度はいると考えられます。

東京大学生の世帯年収】

450万円未満:14.0%

450万~750万未満:15.2%

750万~950万円未満:16.9%

950万~1,050万未満:11.4%

1,050万円以上:42.5%

出所:東京大学学生委員会『2020年度(第70回)学生生活実態調査結果報告書』

東大合格を目指すなら、男子御三家なら「開成」だが…

親の収入と子どもの学歴との関係はよく言われることですが、あくまでも傾向であり、親の年収など関係なく東大合格を手にした学生はいます。

極力学費のかからないような学校を選び、最終的に東大に合格……そんなストーリーです。とはいえ、東大生の王道といえば、「偏差値の高い中高一貫校から東大へ」というもの。特に人気、実力、伝統と三拍子揃った男子御三家「開成」「麻布」「武蔵」は別格でしょうか。各校の東大の合格状況をみていきましょう。

開成中学校・高等学校は、1871年に共立学校として創立、1895年に校名を開成と改めました。最寄り駅はJR山手線等「西日暮里」です。東京大学の現役合格者数をみていくと2022年度は137名、既卒者と合わせると193名。また最難関のひとつとされる理Ⅲには6名の現役合格者を出しています。

麻布中学校・麻布高等学校は、1895年に麻布尋常中学校として創立、1889年に現校名へ改称となりました。最寄り駅は東京メトロ日比谷線「広尾」。2022年度、東京大学の現役合格者数は39名、既卒者と合わせると64名。また理Ⅲの現役合格は1名でした。

武蔵高等学校中学校は、1922年、日本最初の旧制七年制高等学校として開校し、1949年に中学校を設置しました。最寄り駅は西武池袋線「江古田」です。2022年度、東京大学の現役合格者数は14名、既卒者と合わせると19名でした。

中学受験では「男子御三家」と称されますが、東大現役合格率でいうと、「開成」が頭ひとつ抜けた存在で、卒業生に占める東京大学現役合格者の割合は推定34%。3人に1人は東大生です。

ただそれよりも上をいくのが、筑波大学附属駒場中学校・高等学校、通称「筑駒」です。2022年度、東大現役合格者は66名、既卒者含めて97名。卒業生に占める東京大学現役合格者の割合は推定41%と、驚愕の数字を叩きだしています。

御三家はじめ、難関私立中学合格が、東大進学へのひとつの王道であり近道。それを実現させるためには進学塾への通塾が必須といわれています。毎月の月謝に、休みには講習会……結構な費用を覚悟しなければなりません。「できれば、塾など頼らずに……」というのが本音ではありますが、東大合格は親の財力も問われる、というのが現実といえそうです。

(※写真はイメージです/PIXTA)