海と日本プロジェクトin滋賀県実行委員会は、子どもたちが琵琶湖や海の環境について考える環境学習イベント「食卓から未来のうみを守り隊2~お寿司で海を考える~」を開催しました。参加者は、滋賀県内の小学5年生20名。6月18日(土)、7月22日(金)、8月3日(水)の3日間、「守り隊」として、滋賀県大阪府での体験を通して「うみ(琵琶湖・海)と人との関わり」や「環境変化」について学び、「豊かなうみを未来に残すために」自分たちができることを考えました。                     イベントでは、海なし県の滋賀県の子どもたちが、海を身近に感じることができる「食卓」を導入に用い、寿司をテーマにシャリやネタなどの食材が、どこでどんな風に作られているかをたどりながら、「滋賀と海のつながり」を学びました。                                  このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環で実施しました。

  • イベント概要
・開催概要:滋賀県内の小学5年生20名を「守り隊」に任命。滋賀県の子ども達が海を身近に感じることができる「食卓」から、未来のうみを守るために自分たちにできることを考える環境学習イベントです。
・日程:2022年6月18日(土)・7月22日(金)・8月3日(水)
・開催場所:【1日目】須原魚のゆりかご水田(滋賀県野州市)
      【2日目】(午前)岸和田市漁業協同組合大阪府岸和田市
           (午後)泉佐野漁業協同組合大阪府泉佐野市
      【3日目】G-NETしが 男女共同参画センター(滋賀県近江八幡市
・参加人数:滋賀県内の小学5年生20名(応募者から抽選で決定)
・協力団体:須原魚のゆりかご水田協議会(せせらぎの郷)/滋賀県琵琶湖博物館
      岸和田市漁業協同組合 /泉佐野漁業協同組合/大阪府漁業協同組合連合会
      すし処 海座(株式会社ファイブスター)
  • 【1日目】「魚のゆりかご水田」で生き物観察【環境にやさしい農業を学ぶ】
初日の6月18日(土)は、お寿司にかかせないシャリ=米の部分に焦点をあて、野州市須原にある「魚のゆりかご水田」から琵琶湖につながる水路で生き物観察をしました。「魚のゆりかご水田」とは、琵琶湖の魚が産卵・育成できる、かつての水田環境を取り戻そうという取り組みで、琵琶湖から魚が遡上できるように、農家さん達が魚道を作るなどされています。子ども達は、水路でフナなどの稚魚をたくさんつかまえ、コイやナマズといった大物をつかまえると歓声をあげていました。大きな魚は水槽に移し、琵琶湖博物館の金尾滋史学芸員に解説して頂き、水田にはたくさんの生き物が暮らしていることを学びました。
昼食には、魚のゆりかご水田米のおにぎりとウロリやイサザなどの琵琶湖の恵みを頂き、食べることで農家さんや漁師さんを応援し、琵琶湖を守ることにもつながることを学びました。

午後からは、東京にある滋賀県情報発信拠点「ここ滋賀」所長の青田朋恵さんに、滋賀県の「環境こだわり農業」や「琵琶湖システム」について教えて頂きました。「琵琶湖システム」とは、琵琶湖の伝統漁業「エリ漁」や、「魚のゆりかご水田」や「環境農業」、水源の山々やヨシ帯の保全など、琵琶湖と共生する農業や漁業の仕組みのことです。この「琵琶湖システム」を通して森・里・湖のつながりを考えました。続いて、須原魚のゆりかご水田協議会会長の堀彰男さんから、「もう一度琵琶湖と人々の関係を取り戻し、子ども達につなげたい」という思いで、魚のゆりかご水田をはじめられたことなどをお聞きしました。

最後に、琵琶湖博物館の橋本道範学芸員から、滋賀県郷土料理「鮒ずし」の作り方や歴史について学びました。鮒ずしの原料であるニゴロブナは、産卵場所の減少や外来魚などの影響で、この40年で10分の1以下にまで減少しましたが、今は「魚のゆりかご水田」などの取り組みによって、少しずつ回復してきているそうです。鮒ずしをはじめて食べた子ども達からは、「すっぱい」とか「ヨーグルトと味噌を混ぜたような味がする」など、様々な感想が聞かれました。
  • 【2日目】大阪湾で生き物観察・セリ見学【大阪湾の特徴や課題について学ぶ】
2日目の7月22日(金)は、寿司ネタに焦点をあて、滋賀県を飛び出し、琵琶湖の水が流れ込む大阪湾で調査しました。まずは、岸和田漁港を訪ね、大阪市立自然史博物館友の会会長の鍋島靖信さんに大阪湾の特徴や課題について教えてもらいました。岸和田漁港には多数のアナゴ漁の漁船がありますが、今は漁獲量が激減してしまいました。子ども達は、「温暖化」によって海水温が上昇し、アナゴやイカナゴなどの冷水性魚がとれにくくなり、暖水性魚のハモやクマエビがたくさんとれるようになってきたことなどを学びました。次に底びき網漁でとれた生き物を観察しました。琵琶湖では見られない生き物がたくさんいて、子どもたちは興味津々で生き物の名前や特徴などをたくさん質問していました。そして、琵琶湖の水が瀬田川、宇治川、淀川を通って、栄養が大阪湾に流れ出し、このようにたくさんの生き物を育んでいることを学びました。

続いて、岸和田市漁業協同組合代表理事の音揃政啓さんから大阪湾の持続可能な漁業の取り組みについて学びました。大阪湾のシラス船びき網漁は、マリン・エコラベルジャパン漁業認証を取得しています。マリン・エコラベルとは、水産資源の持続的利用、環境や生態系の保全に配慮した管理を積極的に行っている漁業・養殖の生産者と、そのような生産者からの水産物を加工・流通している事業者を認証する水産エコラベルです。大阪湾では、産卵状況などを科学的に調査し、複数の漁協が協力しながら漁に出る日時を決め、みんなでルールを守ることで徹底した資源管理を行っているそうです。また、大阪湾の漁師さんたちも、海を守るために、川の源となる森(里山)を守る活動をされていることも学びました。

午後からは、泉佐野漁港へ移動し、セリを見学しました。子ども達からは「あっという間だった」「高い買い物なので、鮮度の良い魚を見極めて買うことが大事だと思った」などの感想が聞かれました。子ども達は、海でとれた魚がどのようにして食卓に並ぶのかを学び、海をより身近に感じることができました。この日、子どもたちの自宅には、大阪湾でとれたシラスが届きました。家族でシラスを食べてもらい、大阪湾で学んだことを「食卓」で振り返ってもらいました。
  • 【3日目】寿司づくり体験・オリジナルメニュー開発【自分にできることを考える】
最終日の8月3日(水)は、滋賀県福井県で6店舗を展開する「すし処 海座」(株式会社ファイブスター)にご協力頂き実施しました。まずは、「すし処 海座」支配人の平塚学さんから、「お寿司の歴史」とお寿司に欠かせない「海苔」について教えて頂きました。最初のお寿司は「熟鮓(なれずし)」と呼ばれ、保存が難しかった魚を長く保存するために生まれた発酵食品だったことや、温暖化や赤潮の影響で、お寿司になる魚や海苔が少なくなってきていることを学びました。続いて調理室に移動し、職人さん達に指導してもらいながら、寿司づくりに挑戦しました。お昼ご飯に自作のお寿司を食べた子どもたちからは「難しかった」、「自分で作ったのでより一層おいしく感じた」といった感想を聞けました。

午後はみんなでお寿司のオリジナルメニューのアイディアを考えました。シャリに使うお米は1日目に学んだ「環境こだわり米」です。ネタに使う魚は大阪湾の魚と琵琶湖の魚から選びます。魚の候補は旬や価格やおいしさを考慮して、大阪湾の魚からはシラス、マダコスズキ、サワラの4種類、琵琶湖の魚からはビワマス、コアユ、ビワヨシノボリの3種類があがりました。子どもたちは、琵琶湖博物館の大塚泰介学芸員と海座のみなさんのアドバイスを聞き、それぞれ意見を出し合いながら大阪湾と琵琶湖の魚の魅力を伝えられるように食材や調理方法を考えてポスターにまとめ、発表しました。海座では9月21日11月6日の間、子ども達が考えたメニューを参考に、オリジナルメニューを販売する予定です。最後に大塚学芸員が子ども達に質問しながら3日間の活動を振り返り、「未来のうみを守るために自分たちができること」を考えてもらいました。子ども達のメッセージは、メニュー表などに掲載し、多くの人に発信していきます。
  • 参加した子ども・保護者からの声
(子どもの感想)
・知るだけでなく、知って他の人に伝えていくことが大事だと分かりました。
・環境問題についてもっと考えて、「水を使いすぎない」「環境マークのついている食べ物を買う」など意識しようと思いました。これからも未来の海や湖を守る活動に積極的に参加して、未来の海や湖を守りたいと思いました。
・海の環境問題について考えるよいきっかけとなりました。ゴミの分別などできることから取り組みたいと思います。今回の活動体験を自由研究にまとめ未来のうみを守り隊として、学校でも広めていきたいです。
・鮒ずしを初めて食べて、もっと調べたいと思いました。
・海と湖はつながっていると感じました。これから少しずつ環境に気をつけたいです。
・体験を通して、生き物の命一匹一匹を大切にしたいと思いました。命を頂く(食べる)時は、命に感謝をして、味わって頂きたいです。
お寿司の詳しい握り方を初めて知りました。自分でにぎったお寿司はとてもおいしかったです。

(保護者の感想)
琵琶湖だけでなく、大阪湾のことを考えるきっかけにもなりました。
・ただ生き物に興味があるだけでなく、専門家の話を聞いて、自分達がこれからどんな風に自然や生き物と関わっていくべきか考えるきっかけをもらえて良かったです。
・子どもの視野が大きくひろがったと思います。
琵琶湖の近くで魚のゆりかご水田が行われていることをイベントを通して知りました。川をつたって水が流れているので、まずは地域の川を大切にしたいと思いました。
・学んだことを家でも話して知識を分けてくれました。魚のゆりかご水田のお米も購入してほしいと頼まれ、興味を持ったようです。

<団体概要>
団体名称 :海と日本プロジェクトin滋賀県実行委員会
本社所在地 :滋賀県大津市鶴の里16-1 (びわ湖放送内)
電話番号 :077-524-0153
実行委員長 :高橋 啓一
設立 :2017年5月15日
URL :https://shiga.uminohi.jp/
活動内容  :次世代を担う子どもたちをはじめとした多くの県民に、びわ湖や海について学び、関心を持ってもらうことで、自らアクションをおこすきっかけを作り出す事を目的に、ニュースサイトやSNS、番組放送などでの情報発信、自治体や企業と連携した企画の推進、環境学習イベントなどを実施しています。
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/

配信元企業:海と日本プロジェクト広報事務局

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