もうじき8月も後半に突入するが、夏休みの宿題に「全く手をつけていない」という猛者もいるのだろうか…。なお以前ツイッター上では、夏休みの宿題における定番ともいえる読書感想文が「新時代に突入した」と話題になっていたのだ。
■知ってる「読書感想文」じゃない…
注目を集めていたのは、ツイッターユーザーのトモノさんが投稿した一件のツイート。
投稿本文には「令和の小学一年生の読書感想文はチュートリアル入りだよ」とだけ綴られており、一体どういうことなのだろう…と、思わず首を傾げてしまう。
しかしツイートに添えられた写真を見ると、即座に納得。そこには多くの読者が想像していたであろう「作文用紙」でなく、「本をえらんだわけ」「あらすじ」「こころにのこったところ」「じぶんだったらどうするか」の4項目に分かれ、読書感想文を「どのように書くか」について分かりやすく説明した、まさに「チュートリアル仕様」と呼ぶべき手厚い内容のドリルが確認できたのだ。
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■「昭和にも欲しかった」と話題に
こちらのツイートは投稿からわずか数日で1万件以上ものRTを記録しており、他のツイッターユーザーからは「大人だけど、これ使ってみたい」「むしろこれを見て、初めて読書感想文の書き方を知った」「こういうチュートリアルは必要ですよね」「昭和にも欲しかった」などの称賛の声が続出。
しかし一方で「ここまでして読書感想文を書かせる理由って何だ?」といった疑問の声も、少なからず寄せられていたのだった。
そこで今回は我われが「夏休みの宿題」として認識する読書感想文の多くと紐づいている「青少年読書感想文全国コンクール」について改めて調査してみることに。すると、様々な事実が明らかになったのだ。
■「読書感想文」にそんなねらいがあったのか…
令和の小学一年生の読書感想文はチュートリアル入りだよ pic.twitter.com/JW6hQ8OUyz
— トモノ (@t_tomono) July 22, 2022
前出の「青少年読書感想文コンクール」は、児童生徒・勤労青少年を対象とし、読書活動の振興等を目的に1955 年より始まった息の長い読書運動。
「全国学校図書館協議会」と「毎日新聞社」の主催により、各都道府県学校図書館協議会の協力を得て毎年開催されており、今年で第68回目の開催を迎えるのだ。
なお同コンクール公式サイト内の「感想文Q&A」のページには「読書感想文は、何のために書くの?」という質問が先頭に配置されており、やはり古来より多く寄せられていた疑問であることが伺える。
こちらの質問に対し、公式サイトでは「書くことによって考えを深められるからです。読書感想文を書くことを通して思考の世界へ導かれ、著者が言いたかったことに思いをめぐらせたり、わからなかったことを解決したりできるのです」「ですから読書感想文は『考える読書』ともいわれます。また、どんなに強く心を動かされても、時がたてばその記憶は薄れてしまいます。読書感想文は自分自身の記録です。読み返すことによって、いつでも『感動した自分』に出会うことができるのです」と、回答していた。
■SNS全盛の「現代」だからこその重要性
つまり読書感想文は、執筆を通じての「思考」と「記録」が重視されているワケだが、これらの要素はSNS全盛の現代において、これまでのどの時代よりも重要であるといえないだろうか。
SNSが流行を極めた現代において、自身の意見や考えを誤解なく「発信する」という行為や、それに基づくロジックを組み立てるには、文章的な「思考能力」が必要不可欠である。
また、本に限らず漫画やアニメ、ゲームなどあらゆるメディアの評判が「Amazon」などのレビューや各種SNSで手軽にチェックできるようになった影響で、他人の評価をそのまま自身の評価に置き換えてしまった経験はないだろうか。
読後の「素晴らしい作品だった」という余韻に浸りつつレビューサイトを見たら、多くのレビュワーに酷評されて星の数もそこそこの作品であった…という事実を知ってしまい、「言われてみればそれほどの作品ではなかった」などと感じ、妙に冷めてしまう現象のことである。
これらの要素を鑑みるに、やはり読書感想文の二本柱である「思考」と「記録」は、令和の現在においても価値を失っていないどころか、より重要性が際立っているように感じられるのだ。
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