山や畑が広がるのどかな町から遠路はるばる車で関東地方に引っ越してきたマイコさん。ナンバーを変えていない車がちらほらいます。そういえば「東京では遊んだよー」と格好つけて品川ナンバーのまま田んぼ道を我が者顔で走る中小企業の社長に鼻白んだこともありました。

ナンバーの変更は義務付けられているはずです。ナンバーごときをステータスと考えているのがサムいし違法状態は嫌なので、手続きを進めました。でも個人でやるには結構大変なアナログ書類祭りでした。

リミットは一応「15日以内」 罰則は名ばかり

道路運送車両法では、車検証の住所変更を15日以内にするよう義務付けています。罰金50万円以下とされていますが、実際に処罰を受けたという人を聞いたことがありません。

一時的な赴任先だから変えたくないという人もいます。コロナ禍で、居住地と違うことをステッカーで表明する人たちも出てきました。ナンバー変更のためには、役所、警察署、運輸支局という少なくとも3カ所に行く必要があるため、おっくうになるのは当然です。

よく言われるのは、自動車税の納税通知書やリコール案内などのお知らせが届かないというデメリットです。ただ、納税通知書の送付先を変更すればいいので、やはり目立った不都合がないのが、ナンバー変更が進まない理由と思われます。

マイコさんは関東にしばらく住むつもりなので、「ご当地ナンバー」にでもしようかなと車屋さんに相談すると、手数料を含めると3、4万円かかるというのです。ちょっとケチって自分でやってみることにしました。

●警察には2回出頭、平日しか受け付けなし

まずは車の保管場所を警察署に届け出ます。「車庫証明」を取るためで、必要な書類は4枚。「届出書」「標章交付申請書」「保管場所の所在地図」「保管場所の使用承諾書(駐車場との契約証明)」で、費用は2200円でした。地図は、駐車場オーナーに手数料1000円で依頼しました。

無事受理されましたが、交付は1週間後とのこと。平日しかやっていないので、年末や大型連休ではもっと時間がかかります。再び署に来るよう言われました。

自分の名前や車体番号を何度も書くのはめんどくさいし、インターネットでの手続きはできないか調べると、「自動車保有関係手続きワンストップサービスOSS)」と夢のようなサイトがあるじゃないですか!

2005年から煩雑な手続きを簡略化するために国土交通省が始めたサービスといいます。早速パソコンを開きましたが、Macは非対応。やむなく正攻法でいくことにしました。

●書き直しの連続で発狂寸前

警察関係の書類がそろい、市役所で住民票を取得し、すべての書類がそろいました。いよいよ最後の関門、運輸支局に乗り込みます。ネットで調べると、つなぎを着た車のプロばかりがいると書いてあります。

できればスマートにこなしたい。現地で書く書類(申請書、自動車税申告書)を家で用意することにしました。主に車検証などの内容を写すだけなので、難しくはありませんでした。

番号札を受け取り、胸を張って書類を出すと、突き返されました。

「書類の印刷が若干小さいため、取り扱えません。そこで書き直してもらっていいですか」

結局、また名前、住所、車両のもろもろの数字を繰り返し書く羽目になりました。なぜ、同じ内容をこんなに何度も手書きさせられるんだろうという気になってきます。

やっと書類試験は通過。今度こそ最後です。ナンバープレートを受け取り、その場で自分で付け替えるとのこと。もちろんドライバーも車に積んであります。「そんなちっちゃいドライバーじゃなくても借りられるよ!」とおじさんの声を背中で受けながら、自分でなんとか替えることができました。

図柄入りの希望ナンバーにしたため7000円、図柄なし、ナンバーもおまかせなら1000円程度で済むそうです。変更にかかった費用は1万円以下に抑えることはできましたが、時間と労力は結構かかりました。

●やっと始まるデジタル化、IC車検証は2023年1月から

こうしたアナログな手続きの救世主となりそうなのが、2023年1月施行の車検証のICカード化です。文庫本より少し大きいサイズ(縦10.5センチ、横17.7センチ)にICタグがついているそうです。

カード本体には、自動車登録番号・車両番号や車体番号など基本情報が明記され、ICタグには有効期限や所有者の氏名・住所、使用の本拠の位置などが記録されます。この情報はカードリーダースマートフォンで読み取りができ、閲覧アプリダウンロードすれば、車検期限のお知らせやリコール情報を受け取れるといいます。

車検の発行期間の短縮化や、負担の大きかった運輸支局への出頭を軽減すると期待されています。ナンバー変更に関しても、国交省は今年からOSSを使った人に限り、引っ越しから15日以内でなく、次の車検までという猶予期間を設けることを決めています。

ただ、あの社長のようにナンバーに並々ならぬ思い入れを持つ人はいると思います。変えずにいることの不都合がない限り、デジタル化による手続きの簡素化だけでは変更は進まないはずです。田舎を爆走する品川ナンバーは、少なからず生き続けることでしょう。

転居しても「品川ナンバー」で田んぼを爆走する社長…変更手続きって大変なの?