【ついに逮捕】《三重県1億5000万円横領事件》「アイドル好きとは知らなかった」 職場では「無口で真面目」 事件発覚前には“推し”に「横領がばれた」と告白も… から続く

 三重県南伊勢町の町立病院から740万円を横領したとして、広出翔容疑者(38)が逮捕された。

 “推し”のアイドルに貢ぎ、逮捕案件となった740万円の他にも総額で1億5000万円の横領が疑われている。

 真相究明の一助となることを願い、当時の記事を再公開する(初出2022年7月1日 年齢、肩書等は当時のまま)。

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「1年程前、『最近になって育ってきた“太客”が毎週のようにプレゼントをくれるようになった』とA子さんは言っていました。最近では、毎日のように1対1のビデオ通話アプリで相当な金額を貢いでいたようです」(A子さんの知人)

 伊勢神宮の南、海と山に囲まれたのどかな風景が広がる三重県南伊勢町で起きた、巨額横領事件。町は21日、町立南伊勢病院・主査の男性職員(38)が、病院の公金1億5000万円を横領した疑いがあると発表した。

 男性職員は横領を認めているといい、28日付で地方公務員法違反で懲戒免職処分となった。既に同町の住民男性(73)が業務上横領容疑で告発状を津地検に提出。町も同容疑で刑事告訴する方針だ。

 問題の男性職員が、病院や町の聞き取りに答えた大金の使途は、「アイドルグッズの購入やネットゲームへの課金」だったというが、1億5000万円もの大金をそれだけで使い切れるのだろうか。

“推し”のライブに毎回プレゼントを持って参加

 取材を進めると、グッズどころではない異常すぎる“推し”への散財があったようだ。(#1から続く)

「男性職員は、メジャーデビューも果たしている女性アイドルグループメンバー・A子さんの熱烈な追っかけでした。開催していたライブには東京だろうが名古屋だろうが、はるばる全てやって来ていたようで、最近は毎回プレゼントを持ってきていました。

 昔はグループマネージャーを経由してプレゼントを渡すシステムで、あまりにも高額なバッグなどは受け付けてもらえなかったのですが、昨年のA子さんの誕生日以降は本人に直接渡すことが“解禁”となり、歯止めがかからなくなったようです」(A子さんの知人)

ハイブランドのバッグを20個以上“推し”にプレゼント

 A子さんの知人が続ける。

ディオール、シャネルルイ・ヴィトンプラダグッチなどのハイブランドのバッグを、私が知っているだけでも20個ぐらいあげていました。他にも、同じくハイブランドのシューズも送っていましたね。

 A子さんが欲しいモノをSNSライブ配信で伝えると、男性職員から『欲しいの?』とDMが来ていました。A子さん側から言葉で直接返事をすることは禁止なので、いいねスタンプで返事をすると、それを買って毎週のようにプレゼントを渡していました」

 また、男性職員がA子さんに貢いでいたのはモノだけではなかった。

アーティストの“時間”を買い、本人と1対1でビデオ通話ができるアプリがあるんです。男性職員はそこでA子さんに“課金”し、会話を楽しんでいました。料金は5分で1万円程度なのですが、毎日のように1時間は話していた。単純計算で1日12万円をA子さんとの会話に貢いでいたことになります。

 私はA子さんからその話を聞き、『普通の人がそんなにお金を使えるっておかしいよ』と言いました。A子さん本人も『何をしている人なのかわからない』と訝しんでいました。ただ、その後のビデオ通話で男性職員は『地主だ』とか『投資をして儲けた』と説明していたようです。いずれにせよ怪しいので、その頃は冗談で『横領とかしているかもよ』と話していたのを覚えています」(同前)

 当初は貢ぐだけで男性職員は満足していたようだが、徐々にA子さんへの追っかけぶりはエスカレートしていったようだ。

男性職員からA子さんに「横領がばれた」

 A子さんの知人が振り返る。

「最初の頃はA子さんも『本当にお金があるなら結婚するのもありかなぁ』とか冗談で言っていたくらいなので、男性職員への嫌悪感はそこまでなかったと思います。ただ、最近では『結婚して』とか『直接会いたい』と言動がエスカレートしてきていて、A子さんもちょっと引いていた様子でした」

 そんな他人の金で推しに貢ぐ豪遊生活も、ついに終焉を迎えることになる。

「男性職員はA子さんに『横領がばれた』と、2カ月前ぐらいから漏らしていました。この頃から既にパニックになっていたのか、『これからあまりお金が使えなくなる』『最後に残っているお金で何をしようか?』『迷惑をかけてごめんなさい』といったDMをA子さんに送っていました。横領が発覚した後は、A子さんも『警察が来たらどうしよう』『税務署が来たら税金払わないとなあ』と焦っていた様子でしたね」(同前)

 結局、男性職員は6月7日、病院と町が決算書類の不審な点に気づき、調査を進めるなかで「私がやりました。これ以上、言い逃れできない」と“自白”することになった。

 28日に開かれた自身の処分を決める審査会では、「一生をかけて償いたい」と悔恨を口にし、これまでに計640万円を弁済。男性職員とその親族は返金する意思を見せているようだが、いまだ完済の目途はたっていない。

 のどかな町で起きた巨額横領事件。身勝手で歪んだ“愛情”の末路は、町民の期待を裏切るあまりにも悲惨な結末となった。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

男性が勤務していた町立南伊勢病院 ©文藝春秋