電車内や、オフィスでふとした瞬間に漂う、不快なあのニオイ。ある意味夏の風物詩ともいえるのが「汗臭」ではないでしょうか。誰しも忌避するものかと思いきや、なかには特殊な趣向を持った人もいるようで……。

汗染み
画像はイメージです(以下同じ)
 広告代理店で営業職についている飯田優弥さん(仮名・31歳)は、前職で「汗臭」にまつわる珍事件に遭遇したといいます。

同僚のジャケットが姿を消す

「以前はOA機器の商社に勤めていました。当時はコロナ禍でもなく、バリバリの対面営業でした。夏は半袖でしたが、客先に入る時などはジャケットが必須だったので、毎日汗だくになって外回りをやっていましたね」

 夏の暑い時期、外回り後にオフィスで事務作業をしている際に同僚が慌てふためいていたのが、騒動の発端。そろそろ帰ろうかというタイミングで、『俺のジャケット知らないか?』と話しかけられたそうです

「どこを探してもないらしくて。帰社した時、イスの背もたれに掛けていたのになぜか消えていたそうでした……。やむなく自分も一緒に探しましたが、結局見つかりませんでした」

被害者は3人に…

ジャケット 紛失

 それから数週間が経ち、2人目の被害者が……。

「同じくジャケットがなくなる事件が起きたんです。今度は、別部署の課長のジャケットでした。奥さんにプレゼントしてもらったスーツだったらしく、かなり騒ぎになって、部内総出で探していましたが、結局見つかりませんでした

 こうしてジャケット事件は社内中に知れ渡ることになりましたが、2度あることは3度あるワケで……。

「今度は新人のものでした。さすがにおかしいという話になり、朝礼でも気をつけるよう呼びかけられることになりました

盗まれた3人には共通点が

疑問

「なぜジャケットがなくなるのか、みな一様に首を捻っていました。なくなったのはブランド物でもなく量販店のものですから、転売目的ではないでしょうし……。そんななかで話題になったのが、3人にちょっとした共通点があることでした。全員似たような体型をしていたんです。まあ、一言で言ってしまえばデブですね……(笑)

 それからしばらくして、真相が明らかになります。

ジャケットの盗難を警戒していた総務の社員が、怪しい動きをしていた人物を捕まえたんです。問いただしたところ、一連の事件の犯人であることを自白。なんと出入りしていた保険のセールスの女性でした。もともと、会議などで人が出払っている部署をよくウロウロしていたそうです」

 しかし、その女性はなぜあえて太った社員のジャケットを盗んだのでしょうか。

極度のニオイフェチだった犯人

「その女性曰く、理由は『ニオイ』だったそうです。極度のニオイフェチで、特に男性の汗のニオイに興奮するらしいんです。汗のニオイがきつそうな社員に目をつけて、通りすがりなどにニオイを嗅いでは興奮していたそうです。でも、徐々にそれだけでは我慢できなくなり、ついにはジャケットを盗むまでに至ったんだとか」

 飯田さんの同僚は、妙な心境を語っていたそうです。

被害者なのに『悪い気はしない』と言っていましたコンプレックスでもあった汗のニオイを好んでくれたことが嬉しかったみたいで……。盗まれた全員が警察にも呼ばれましたが、結局被害届は出さなかったようなので、ほかの2人も同じ心境だったのかもしれません」

 当事者以外は理解しがたい事態に収束したこの騒動。まさに「蓼食う虫も好き好き」というかなんというか……。

TEXT/和泉太郎 イラストzzz(ズズズ)@zzz_illust

―特集・激臭!スメハラエピソード

【和泉太郎】

込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め