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 ハゲワシは、国際自然保護連合(ICUN)の絶滅危惧種に指定されている野生生物だが、近年状況を更に壊滅的にするような事件が頻繁に発生している。

 その犯行手口は、ハゲワシの餌となるよう野生生物を毒殺し、死肉を食べたハゲワシをその毒で死ぬと、体の一部を採取するというものだ。

 8月5日と11日、ボツワナ南アフリカ国立公園で、およそ150羽のハゲワシの死骸が発見された。

 当局は、アフリカで信仰されている、超自然的な治療する能力があるとされる呪術師(ウィッチドクター)が、薬を作るために毒殺したと推測している。

【画像】 150羽以上のハゲワシの死骸を発見

 8月11日南アフリカクルーガー国立公園サファリパークの正門近くで、約100羽のハゲワシが死んでいるのが発見された。

 発見時、26羽ほどのハゲワシにはまだ息があり、救出したパークレンジャーによって緊急治療のために近くのリハビリセンターに運び込まれた。

 だが、ほとんどのハゲワシは無残にも頭やくちばし、爪を不法に採取された状態で死んでいたという。

 ハゲワシは、バッファローの死骸を食べて死んだとみられているが、このバッファローには毒が盛られており、それを食べたハゲワシにも急速に毒が回ったようだ。

[もっと知りたい!→]ワールドカップの影響でハゲワシが絶滅の危機!?その驚くべき理由とは・・・(南アフリカ)

 同じバッファローを食べたとみられるハイエナも、近くに死骸となって発見された。

 この事件の1週間ほど前の5日には、ボツワナ北部チョベ国立公園で、50羽以上のシロハゲワシの死骸が見つかっているが、両地区とも毒殺されたバッファローを食べたことが判明している。

呪術師の薬の使用に使われた疑い

 公園当局のヘッドレンジャー、キャシー・ドレイヤーさんは、次のように述べている。

全ての検査を終えるまで確定はできませんが、ほぼ間違いなくこれは毒物事件でしょう。

 キャシーさんによると、去年同時期にも2件の同様の中毒死事件が発生したという。再発防止に向けて、現在調査を行っているようだが、こうした事件は数年前から頻繁に起こっているようだ。

特に、状況を壊滅的なものにしているのが、今がハゲワシの繁殖シーズンだということです。

親を殺された何百羽ものヒナが、巣に残されたままになっていて、単独では生き延びることができないので、おそらく全て死んでしまうことでしょう。(キャシーさん)

 当局では、ハゲワシの体の一部を採取するのは、呪術師が薬に使用するためではないかと推測している。

 絶滅危惧野生生物トラストの保護グループの責任者であるヨラン・フリードマンさんは、クルーガーの事件に関して次のように話している。

世界的にハゲワシが危機的な状況にあることを考えると、この規模での毒殺は種を絶滅の危機にさらしています。
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pixabay

 事実、シロハゲワシは国際自然保護連合 (IUCN) の絶滅危惧種のレッドリストに指定されている。

 ちなみに、ボツワナのチョベ国立公園では、2019 年にも密猟者によって毒殺された 3 頭のゾウの死体を食べた後、537羽のハゲワシの死骸が発見された。

Endangered vultures die from poisoning

References:Over 150 endangered vultures poisoned to death in SA, Botswana | eNCA/ written by Scarlet / edited by / parumo

 
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呪術師の薬に使用か?100羽以上のハゲワシの死骸を国立公園で発見