トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)では、2001年の開館以来、海外のアーティスト、キュレーター、アートセンターや文化機関などと協働して展覧会や関連プログラムを実施してきました。2018年より開始したTOKAS Projectは、国際的な交流を促進し、多文化的な視点を通じて、アートや社会など、さまざまなテーマについて思考するプロジェクトです。
TOKASと台北国際芸術村(TAV)は、2007年より、双方向にクリエーターを招聘・派遣するレジデンス事業を開始し、今年15周年を迎えました。今年度までに計29名のアーティストがプログラムに参加し、日本と台湾で制作活動を行ってきました。
本展では、TOKASに滞在した3名と、TAVに滞在中に出会い、ともに制作を行った2名のアーティストの計5名による作品を紹介します。

展覧会概要 新型コロナウイルス感染症対策のため、変更となる場合があります。
会期:2022年8月27日(土)~ 10月10日(月・祝)
会場:トーキョーアーツアンドスペース本郷(東京都文京区本郷2-4-16)
開館時間:11:00 - 19:00(最終入場は30分前まで)
休館日:月曜日(9月19日10月10日は開館)、9月20日(火)
入場料:無料
参加アーティスト:チェン・イーシュアン(陳 以軒)、チェン・ユウェン(セラ)(陳 郁文)、橋本 仁、
ルー・チーユン(盧 之筠)、シュウ・ウハン(周 武翰)
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 トーキョーアーツアンドスペース
協力:台北国際芸術村
後援:台北駐日経済文化代表処
ウェブサイト:https://www.tokyoartsandspace.jp/archive/exhibition/2022/20220827-7120.html

展覧会について
「ひもとく」とは「書物を開き、読む」を意味し、「書物の知識に触れ、歴史を振り返り、真実を明らかにする」ことへとつながります。また同時に「つぼみが開き、ほころびる」という意味もあります。本展で紹介する日本と台湾で制作活動を行っている5名のアーティストは、TOKASとTAVの交流事業であるレジデンス・プログラムに参加し、東京や台北に滞在することで、その土地の歴史を振り返り、人々に会うことによって、街の新たな側面を見つけ出しました。それらの出会いを作品制作につなげることで、固く閉じていたつぼみが開き始めるように、新たな創造へと向かい、そして世界を解きほぐすことを試みました。

TAVとの交流が始まった2007年以降、私たちの生活や経済に大きな混乱や変化をもたらした大震災や感染症の大流行などさまざまな出来事があり、また自ずとそれぞれの作品に時代状況が反映されています。

チェン・イーシュアンは、徐々にパンデミックに陥る世界の中で東京を撮影し、人の姿がまばらな街に置かれたモノたちを、ウイルスによって「自己隔離」されている状況と重ねあわせました。本展に際し東京に戻ってくることで、中断を余儀なくされたリサーチを再開します。

チェン・ユウェン(セラ)は、TOKASレジデンス・プログラムが再開し始めた2022年4月から7月まで東京に滞在しました。日本庭園のリサーチをすすめながら構想した、人間と自然を主題としたビデオ・インスタレーションを発表します。

ルー・チーユンは、日本と台湾で育ち、東日本大震災の影響が残る2012年のレジデンス滞在を経て、現在も東京を拠点に活動しています。今回の展示では2014年に発表したセメントスポンジ、造花を使った作品を発展させます。観客が硬そうな見た目の作品を踏むことによって、沈む時の感触や割れていく表面などが知覚を変容させることでしょう。

橋本仁は、2019年に日本統治時代の台湾に住んだ祖先の軌跡をリサーチする過程で、祖母が暮らした「高橋邸」という建物をきっかけに、同時代の建築と歴史に関する作品を発表していたシュウ・ウハンと出会い、親交を深めてきました。本展では、ひとつのフロアで二人が展示し、それぞれの視点からひとつの場所を臨むことで、多層的な視点で歴史を紐解くことにアプローチします。

このように15周年を迎えたTOKASとTAVの協働が、今後もたくさんの花を咲かせるきっかけになっていくことを願っています。

関連イベント 
アーティスト・トーク
日時:2022年8月28日(日)15:00 – 16:30
出演(予定):チェン・イーシュアン、チェン・ユウェン(セラ)、橋本 仁、ルー・チーユン、シュウ・ウハン
最新情報はTOKASウェブサイトで発表します。

参加クリエーター
チェン・イーシュアン|陳 以軒|CHEN I-Hsuen
2020年度二国間交流事業プログラム<台北>参加
都市環境にあるモノと公的な力の間にある関係性に着目し、写真、映像、パフォーマンス作品を制作しているチェン。本展では、新型コロナウイルスの感染が広がる前に東京滞在で写し取ったモノが、「自己隔離」の状態であると捉えた写真のシリーズ《Soft Quarantine》を展示します。

【プロフィール】1982年台北生まれ。台北を拠点に活動。2012年プラット・インスティテュート写真専攻修了。主な展覧会に「Commissioned」(鳳甲美術館、台北、2019)、「台北ビエンナーレ」(台北市美術館2016)など。

チェン・ユウェン(セラ)|陳 郁文|Sera Yu Wen CHEN
2022年度二国間交流事業プログラム<台北>参加
人が作り出した自然空間に興味を持つチェンは、TOKASレジデンシー滞在中に、日本庭園の作庭方法や街の植栽、個人住宅の庭などをリサーチし、その背景にある思想を探り、人と自然、また都市との関わり合いから着想を得た映像インスタレーションを発表します。

【プロフィール】1991年花蓮生まれ。台北を拠点に活動。2019年シカゴ美術館附属美術大学(美術)修了。主な展覧会に 「Scenery in Mock-up」(関渡美術館、台北、2021)、「Everyday Fictionality: Beholding Shadows of Illusion」(台北市美術館、2019)、「Terms & Conditions」(SoMad Studio、ニューヨーク、2019)など。

ルー・チーユン|盧 之筠|LU Chih-Yun
2012年度二国間交流事業プログラム<台北>参加
2012年のレジデンス滞在をきっかけに東京を拠点に活動するルーは、2014年に東京で発表したセメントスポンジ、造花を使った作品を発展させ、本展では観客の知覚を変容させるインスタレーションを試みます。

【プロフィール】1984年日本生まれ。東京都を拠点に活動。2018年東京藝術大学大学院美術研究科博士課程修了。 主な展覧会に「ルー・チーユン個展」(ガレリア・グラフィカbis、東京、2019)、「Crush Syndrome」(Crane Gallery、台北、 2015)など。

橋本 仁|HASHIMOTO Jin
2019年度二国間交流事業プログラム<台北>参加
橋本は、木材や鉄などの素材を使い「時間と蓄積」「存在と記憶」をテーマに作品制作を行っています。本展では、台湾で生まれ第二次世界大戦後に日本へ引き揚げた日本人(湾生)の人々の想いを抽象的に表現した作品で構成します。

【プロフィール】1984年埼玉県生まれ。埼玉県を拠点に活動。東京藝術大学大学院美術研究科工芸専攻修了。主な展覧会に「Memory Code」(郭木生文教基金會、台北、2020)、「トーキョーアーツアンドスペースレジデンス2020成果発表展『デイジーチェーン』」(TOKAS本郷)など。

シュウ・ウハン|周 武翰|CHOU Wuhan
2019年、台湾で橋本仁とコラボレーション
シュウは建築デザインやドローイング、物語を用いてインスタレーションやパフォーマンスを行い、建築や都市における物語の再解釈を行っています。本展では、台湾の日本統治時代に建てられた建築や歴史を調べ、その時代の記憶を再構築することを試みます。

【プロフィール】1987年生まれ。台北を拠点に活動。2014年ロンドンメトロポリタン大学建築学科修了。主な展覧会に「ImMemory」(基隆美術館、台湾、2022)、「場所感」(水谷芸術、台湾、2021)、「Those Vivid Memories in the Vanished Villa」(台北国際芸術村、2020)など。台湾文学や建築のリサーチをとおしてアーティスト・ブックを制作する「犬吉工作室」のメンバーのひとり。

配信元企業:公益財団法人東京都歴史文化財団

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