昨年4月に事故で体が麻痺してしまった男性が今月、馬と触れ合うことで心や体の回復を目指す「ホースセラピー」を受けた。馬が男性に静かに寄り添う様子はカメラが捉え、SNSに投稿されると大きな反響を呼んだ。『Razões para Acreditar』などが伝えている。

ブラジル南部パラナ州に住むジョアンさん(João)は昨年4月初めにトラックの横転事故を起こし、ヘリコプターで病院の集中治療室に緊急搬送された。

医師には「生存の可能性は非常に低い」と言われたジョアンさんだが、奇跡的に山を越え、数か月の入院後帰宅した。しかし体には麻痺が残り、少しだけ話すことができるがほぼ寝たきりとなった。

そんなジョアンさんが今月、娘のオードリー・スペイクさん(Audrie Spake)と一緒にパラナ州ファゼンダ・リオ・グランデにある非営利団体「Coletivo Inclusão」を訪れた。

同団体は障がいを持つ人や特別なケアが必要な人が馬と触れ合う「ホースセラピー」を推進、精神や運動機能の回復を目指し、社会復帰を早めることを目標に据えており、その日ジョアンさんにはセラピー歴2年の馬“パソッカ(Paçoca)”が寄り添った。

当時の動画では、リクライニング車椅子に横になるジョアンさんの胸にパソッカが顎を乗せており、ジョアンさんは何か言葉を発しているように見て取れる。しかしすぐに様々な感情が一気に噴き出したのか、顔をクシャクシャにして泣き始める。

一方でパソッカは、ジョアンさんが泣き出しても動揺する様子はなく、静かにその場にたたずんでいた。

オードリーさんは、パソッカと父とのやり取りについて「言葉にはできないような、そんな一瞬だった。パソッカはずっと、父の胸に顎を乗せてジッとしていた。馬が人間にあんなふうに接するなんて見たことがなく、本当に美しい光景だった」と回顧、このセラピーにとても心を打たれた様子だった。

なおオードリーさんはSNSで「あの事故が全てを変えてしまった」と明かし、こんな言葉を綴っていた。

「あの日は奇しくも私の誕生日で、父は一瞬にしてそれまでの自由を奪われてしまった。こんなことってある? 突然、それまでの人生が止まり、強かった父の体は痩せて弱り、傷だらけになってしまった。それでも父は少しずつ回復している。生きていれば希望はある。だから祈りを捧げよう。あきらめず、一歩一歩進んでいこう。」

ちなみにこの動画の再生回数はすでに1790万回を超えており、「人間が動物から学ぶことはたくさんあるよね」「本当に美しい」「私も涙が止まらない」「愛が溢れている」「心が落ち着くのを感じる」「これは感動的」「なんて温かいのだろう」「きっと、ああやって馬からパワーをもらっているんだよ」「体を動かせなくなった男性のもどかしさ、つらさ、そういったものを馬は静かに感じ取っているのだろうね」「心が通じているのかな」「馬は患者が必要なものが分かっているようだ」「回復を祈っているよ」といったコメントが寄せられている。

画像は『audri.espake 2022年8月8日付TikTok「Que momento incrível!」、2022年2月5日付TikTok「#faithbelieve」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

海外セレブ・芸能のオンリーワンニュースならテックインサイト