深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、常州市建築科学研究院集団(301115/深セン)が8月19日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。4500万株を発行予定で、公募価格は42.05元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2003年設立の民営企業で、11年に株式会社化した。建築・工事品質検査・コンサルティング、建築物構造検査および改造・修復、地下空間建設安全コンサルティング・サービスなどの建設総合技術サービス、および新型建築材料の研究開発、生産、販売を主業務としている。建物建築、市政、水利、鉄道、交通、環境保護などの分野を網羅し、中国国内では北京、上海、江蘇、安徽、河南、山東、江西、雲南などの地域に、国外はベトナムなどの周辺国にサービスを提供する。また、研究開発にも力を入れており、山東科技大学の研究チームを共同研究を進めているほか、東南大学、同済大学、重慶大学、南京工業大学など中国の著名大学と協力関係にある。

 2021年12月期の売上構成は、検査・測定業務が50.21%、建築物や道路の改造・修復など特殊工事サービスが25.24%、新型工事材料の販売が24.53%となっている。
 
 中国の検査・測定サービス市場規模は年々拡大しており、検査・測定報告発行数は2013年の2億8300万件からから21年には6億8400万件と、年平均11%以上のペースで増加した。21年の業界全体の売上高は4090億元に達し、13〜21年の平均成長率は14%以上にのぼった。検査・測定市場規模の急速な拡大は、川下市場によるニーズが高まり続けているとともに、各種インフラ建設の質に対する要求、高品質な製品やサービスのニーズが高まっていることを表しており、中国の検査・測定市場規模は今後も過去最高を記録し続けるものとみられる。
 
 また、建築工事に対する検査の市場規模、建築材料に対する検査の市場規模のいずれも成長を続けており、建築工事では15年の346億7800万元から21年には倍以上の713億3100万元に、建築材料は15年の109億5200万元から21年には366億7300万元へと増加している。近年、建築材料市場では新しい工事用材料が絶えずリリースされ新陳代謝が進んでおり、建築材料の検査・測定サービスは今後ますますその重要が高まることだろう。さらに、環境保護モニタリング市場、および省エネ環境保護への資金投入が年々拡大傾向にあり、検査・測定サービス、新材料開発を事業に持つ当社は成長のチャンスを迎えている。
 
 同社は複数の研究センターを持ち、多くの大学と共同研究を行うなど、高い研究開発能力を持っていること、高いブランド力、優秀な人材を確保するとともに、充実した人材育成体制を整えていることなどを強みとする一方で、業務の拡大に対応するためのさらなる人材確保、設備の購入、情報化の推進を実施する上での資金力が限定的であること、地域性企業から全国的な販売、サービスネットワークを持つ企業へと成長する上で、競争力が不足していることなどがボトルネックとなっている。
 
 2021年12月期の売上高は10億9579万元(前期比20.99%増)、純利益は1億6100万元(同27.76%増)。22年1〜6月期の売上高は5億5550万元(前年同期比10.80%増)、純利益は7295万元(同10.92%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)

【深センIPO】建築・工事品質検査の常州市建築科学研究院集団が19日に公募開始、4500万株発行予定