グルメな友人に、「函館で美味しい塩ラーメンを食べるには?」 という質問があった時に紹介する店の一つとして教えてもらったのが、末広町の電停目の前にある『西園』です。

 周辺には、「市立函館郷土資料館」や「日本最古のコンクリート電柱」、「元町公園」、「旧イギリス領事館」など見どころ満載。観光を楽しんだら、お腹もちょうど良くすいてくるはずです。

[食楽web]
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『西園』は昭和10年創業とのことで歴史を感じさせる佇まい。評判を知らなければ、ちょっと入りにくさも感じるかもしれませんが、味は一級品。“函館ラーメン”を食べるなら、ここを避けては通れません。

 カレーライスやチャーハンにも根強いファンがいて、常連客向けに日替わり定食も提供しています。職人気質のマスターと奥様の老夫婦が切り盛りしてきて、たまに交わされるちょっぴりヒリつくやり取りに緊張しつつも、これもまた町中華屋の醍醐味と期待値も高まります。

名物の「ネギラーメン」(しお)は風味も食感も他にはない味わいだった!

720円
720

 名物の「ネギラーメン」(しお)が着丼しました。「ネギラーメン」は塩または醤油から選べますが、まずは塩をお試しください。函館の塩ラーメンには味の系統がいくつかあり、仮に正統派代表を『滋養軒』とするならば、進化形代表は『あじさい』、『西園』はその中間の“バランス型”。だいたいの店が正統派か進化形のいずれかに近い味に分類されますが、『西園』の場合はオリジナリティの要素も強く、唯一無二の一杯を堪能できます。

 スープは鶏ガラの骨太なコクと清らかな飲み心地が絶妙。香味、塩の効かせ方も塩梅がよく、麺にもしっかり絡みます。ゴマの風味も良いアクセント。最初はあっさりとした口当たりですが、喉を通る時にしっかり旨みを残します。塩ラーメンは物足りないというイメージを覆す、まさに函館を代表する塩ラーメンです。

 すでに完成された一杯ですが、あえて「ネギラーメン」を注文するには理由があります。この大量に乗ったネギとチャーシューの千切りがとにかく圧巻! ネギはシャキシャキと小気味よく、ピリッとした辛味が刺激的です。細長くカットされているので、麺ともすすりやすい。チャーシューは旨みが濃く存在感バツグン。太目のメンマもたっぷり入り、うれしいボリュームです。

660円
660円

 さてお腹に余裕があるならば、ぜひ「炒飯」も注文してみてください。先ほどのチャーシューがたっぷり入っていて、卵も惜しみなく使っている印象です。どこにレンゲを入れても、チャーシューが大量に米と絡んでいて、ラードで炒めているのか、米がつややかで絶妙なこってり具合。パラパラすぎず、しっとり感も備えたバランスのよい一品です。ちなみにラーメンのスープともベストマッチですよ。

(撮影・文◎亀井亜衣子)

●SHOP DATA

西園

住:北海道函館市末広町19-14
TEL:0138-27-1943
営:11:30~18:45 ※中休みあり
休:日曜

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