深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、山東新巨豊科技包装(301296深セン)が8月24日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。6300万株を発行予定で、公募価格は23日に発表する。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2007年設立の民営企業で、16年に株式会社化した。無菌包装の研究開発、生産、販売を主業務としており、伊利、新希望、夏進乳業などの液体乳製品メーカー、王老吉、東鵬飲料など非炭酸飲料メーカーに高品質な無菌包装製品を提供している。主な製品はロールタイプの無菌包装で、原紙にポリエチレンやアルミ箔などを組み合わせて製造する。遮光、遮熱性能も備えており、液体製品を無菌環境下で充填、封入することで長期間常温保存が可能となる。包装形態は箱型、枕型、ダイヤ型の主に3種類があり、枕型が売上の約50%、箱型が約40%、ダイヤ型が約10%を占める。イプソスの調査報告によれば、20年の中国における液体乳製品無菌包装市場シェアは9.6%で、年々上昇傾向にある。
 
 中国の液体乳製品市場では常温製品の需要が安定的に伸びており、イプソスの調査報告によれば22円の市場規模は853万7000トン、19〜22年の年平均成長率は約4%に達する見込み。枕型無菌包装は一般のプラスチック製袋からの置き換えが進んでいることで、また、箱型やダイヤモンド型包装はミドルレンジ、ハイエンドの乳製品需要の伸びに伴ってそれぞれ需要が増加している。また、中国の無菌包装市場は15〜20年に年平均6.50%のペースで成長しており、その主力は同社がターゲットとしている液体乳製品、非炭酸飲料が担っている。技術の向上に伴って利用範囲もバイオテクノロジ、薬品、ビール、調味料、化粧品、ペット食品、レトルト食品などへと広がりとみせており、無菌包装市場は大きな潜在性を秘めていると言える。
 
 同社は安定的な製品の品質を確保していること、製造工程や品質管理プロセスの絶え間ない改善に伴い製造コストを低減、高いコストパフォーマンスを実現していること、アフターサービスの充実、中国国内の大手乳製品
、飲料メーカーを顧客に持ち、信頼関係を築いていること、各種飲料充填機に対応し、高い互換性を持っていることなどを強みとする一方で、テトラパックやSIGといった世界の大手メーカーに比べると歴史が浅く、経営資金や人材資源、技術的な蓄積で劣ること、製品の種類が少ないことなどがボトルネックとなっている。また、売上の約70%を伊利に依存していること、2021年末時点で総資産に占める売掛金の割合が22.75%と高くなっていること、食品に関連する業種であり、安全問題が重大な経営危機に直結する可能性があること、製品コスト全体に占める原材料コストの比率が高く、紙、ポリエチレン、アルミ箔の価格変動が利益の増減に大きく影響することなどが、経営上のリスクとして存在する。
 
 2021年12月期の売上高は12億4184万元(約22.42%増)、純利益は1億5720万元(同7.04%減)。22年1〜6月期の売上高は6億9550万元(前年同期比31.63%増)、純利益は7153万元(同10.72%減)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)

【深センIPO】液体乳製品など無菌包装メーカーの山東新巨豊科技包装が8月24日に公募開始、6300万株発行予定