有村架純中村倫也がW主演を務める金曜ドラマ「石子と羽男―そんなコトで訴えます?―」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系)に、俳優・赤楚衛二が出演中。同作では、潮法律事務所でアルバイトをしていた大庭蒼生を演じており、高校時代の先輩である石子(有村)との恋模様にも注目が集まっている。 このほど赤楚にインタビューを実施。大庭を演じる上で意識していることや、共演者とのエピソードなどについてたっぷりと語ってもらった。

【写真】真剣な表情で有村架純“石子”へ思いを伝える赤楚衛二“大庭”

同作は、金曜ドラマ「夜行観覧車」(2013年)や「Nのために」(2014年)、「最愛」(2021年、3作品全てTBS系)を生み出してきたプロデューサー・新井順子氏と演出・塚原あゆ子氏、山本剛義氏、そして脚本家の西田征史氏が手掛ける完全オリジナルドラマ。

4回司法試験に落ちた崖っぷち東大卒パラリーガル・“石子”こと石田硝子(有村)と1回で司法試験に合格した高卒の弁護士・“羽男“こと羽根岡佳男(中村)コンビが誰にでも起こりうる珍トラブルに挑む“リーガル・エンターテインメント”だ。

また、「そば処 塩崎」で働く塩崎啓介役でおいでやす小田、潮法律事務所の所長で、石子の父・潮綿郎役でさだまさしも出演している。

■自分に似ているからこそ「どう演じていいのか悩む部分も」

――大庭を演じるにあたり役作りで意識したことはありますか?

何かしら特徴があるというよりも普通の男の子という印象だったので、どちらかというと素の自分に近いかもしれません。

大庭はカーディーラーの営業ということで営業職の友達に少し話を聞いたりしましたが、それよりもどういう過去を歩んできたのかとか、石子先輩とどういう距離感だったかという部分を膨らませて考えたりするようにしました。

――大庭と赤楚さんの共通点はありますか?

剣道をやっていたことや、車が好きという部分は共通点かもしれません。あと、部屋も雑貨が多くて、自分の好きなもので溢れているという点は似ています。

――自分に似ている点も多いということは、大庭は演じやすいキャラクターなのでしょうか?

自分に近すぎるとちょっと演じるのが難しい部分もあって。自分のことって意外と見えていないじゃないですか。

「そのまんまでいいよ」と言われれば言われるほど、どう演じていいのか悩む部分もあって。だから、逆に離れていた方が演じやすいのかもしれません。でも、大庭のずれているところとか、(演じていて)楽しくてしょうがないですね。

――大庭は硬派なキャラクターですが、男らしさを出すために意識していることはありますか?

姿勢を良くしようというのは意識しているんですけど「男らしくするぞ!」とし過ぎると、僕ガタガタしちゃうので(笑)。なので、意識しているのは姿勢くらいです。

■有村や中村の演技に「刺激を受けています」

――主演の有村さん、中村さんと共演してどのような刺激を受けましたか?

刺激を受けている部分でいうと全部です。台本プラスアルファで中村さんや有村さんが出す色があって、それによって日々化学反応が起きています。1シーン、1シーンで刺激を受けているなと感じます。

――初共演となる小田さんやさださんはいかがですか?

台本にある言葉なのに、お二人とも自分の中から出てきた言葉みたいに聞こえるんです。リアリティがあって、(言葉が)染み込んでいく感覚があって。(お二人のような演技は)すごく勉強になります。

――監督の塚原さんは、赤楚さんの演技についていい意味で「そう来るか」と驚かされるというお話もされていました。

そうなんですか? ありがたいです。

■ 尊敬するのは“アプローチの多さ”と“表情”

――中村さんの演技でハッとさせられたシーンはありますか?

大庭が羽男に「告白しました」と報告するシーンで、(羽男が)「うん」という一言だけの台詞があるんです。その一言でも、フッと笑いながら「うん」と言ったり、ナチュラルに「うん」と言ったり、あえて「うん」と言わなかったり。

僕は演じる上で正解を求めがちなんですが中村さんのアプローチの多さは勉強になります。

――では、有村さんは?

台詞がないときの表情にハッとさせられます。今、こういうことで石子先輩は悩んでいるんだな、とか苦しんでいるんだなというのが肌に直接伝わってくる感覚があって。第5話でいうと(大庭と石子が)一緒にいるときのちょっとした“モヤモヤ感”はすごく伝わってきました。

――第4話で石子が羽男を飲みに誘ったシーンでは、二人を見つめる切なげな大庭の表情が印象的です。やはり羽男へのライバル意識があったのでしょうか?

第1話で助けていただいたのもあって、(羽男に対して)尊敬する先生だという認識は変わっていなくて。なので、石子先輩が取られるんじゃないかというよりも、仲間に入り切れていない、自分じゃまだ力不足なんだという部分を表現したつもりです。

――石子とのシーンで印象に残っている場面があれば教えてください。

第4話で、石子先輩が「いってらっしゃい!」と言ってくれるのですが、大庭の恋心が確信に変わった瞬間だったなと思います。完全にキラーショットでしたね(笑)。

■二人の距離感にもこだわりが「“今のままでいよう”と」

――告白のシーンも話題になりましたが、どのような心境で撮影に臨みましたか?

第5話で描かれたご近所トラブルの一件で“やっぱり恋愛っていいな”と思い、それに完全に乗っかって、ヒートアップしちゃった感じですね。石子先輩好きだし、仕事も就活もうまくいっているし、大人の恋愛も見れたし、全部そろったし行こう!みたいな。

――石子と大庭は第6話でお付き合いすることになりますが、その後二人のカップルっぽさはどのように表現したのでしょうか?

有村さんとも話したのですが、今の関係性の延長線上であるということが魅力だと思ったので、彼氏と彼女になったから距離をグッと縮めるのではなく「今のままでいよう」という結論に至りまして。

ただ、おうちに入ったりするシーンではガチガチになったり、そういう部分で二人のほほ笑ましさが見えたらいいなと思います。

■合間時間は「オンとオフがはっきりとしている」

――撮影の合間時間に有村さんや中村さんとどのように過ごしていますか?

オンとオフがはっきりとしているんです。話すときは、みんなふざけてゲラゲラ笑っていたりしていて。主に中村さんがボケてくれるんですけど(笑)。あ、大庭のものまねもしてくれます。

例えば、次のシーンの前に読み合わせをしようっていう時間があって。その時に中村さんが大庭のせりふも読んでくれるのですが「自分ってこんなキャラだっけ」ってくらいキャラを変えて演じてくれるんです(笑)。

――すごく気になります(笑)。中村さんのものまねはデフォルメされたものなのでしょうか?

デフォルメされていると思いたいです。「僕ってこんな感じでやってます?」と聞くと、(ちょっと中村のものまねをしながら)「うん、やってるよ」って言うんですけど、有村さんは「いやいや、デフォルメしてるよ」って言ってくれて…。なかなか強烈な大庭をやってくれます(笑)。

――制作発表でも感じましたが、赤楚さんは愛されキャラなんですね。

大庭同様、どうやら僕もずれた発言をしてしまっているようです…(笑)。

■法律は“もっと近くにあるべき存在”

――大庭は石子と羽男に助けられましたが、撮影を通して赤楚さん自身が共演者の方に助けられた瞬間はありますか?

気持ちの整理をする中でよく相談乗ってもらっています。二人(有村と中村)とも一緒に考えてくださって「こうしたらいいんじゃない?」とアドバイスをくれるので、救われています。

今日も中村さんから「ここ、こうやった方が面白いんじゃない?」というアドバイスをもらって、本番で実際にやってみたら面白くて。二人とも、主観的視点も客観的視点も持ち合わせているんだなと感じます。

――最後に、この作品を通して視聴者に伝えたいメッセージをお聞かせください。

法律って“最終手段”という印象があって、できれば避けて通りたいと思っていたのですが、円滑に進めるためにもっと近くにあるべき存在なんだなと感じました。法律を活用して、生きやすい社会になったらうれしいです。

「石子と羽男―そんなコトで訴えます?―」に出演中の赤楚衛二/  (C)TBS