テレビ大好きイラストレーター・渡辺裕子さんが、お気に入りの番組をかわいいイラストで紹介する連載「いつもテレビをみています」。第3回は「ZIP!」の朝ドラマ「泳げ!ニシキゴイ」をチョイス

【写真】SixTONES森本慎太郎&渡辺大知がふんする錦鯉

■朝から温かい気持ちになれる「泳げ!ニシキゴイ

TVerで「泳げ!ニシキゴイ」というタイトルだけを見て「芸人の、錦鯉さんのバラエティかな?」と見始めたら、錦鯉2人の半生を描いた連続朝ドラでした。これは予想外。

北海道ボウリング場で残ったピンに向けて「これをとったらこの子は何不自由なく生きていける」と臨月の母が願掛け、その瞬間に陣痛が来てガーターとなり生まれた子・雅紀と、東京で生まれ、祖父と父が祝いで揚げた鯉のぼりが、風が吹かないために泳がずだらりと垂れ下がるスタートだった子・隆。全然違う場所で生まれ育った彼らの人生を、毎朝5分で描いています。だからドラマではあるんですが、途中で錦鯉の2人が「この子は俺の子どもの頃そっくり」などと解説する場面があったり、番組内でインタビュー(という名のコント?)を受けていたり、ちょっと普通のドラマではない……でもバラエティでもないし、コントでもドキュメンタリーでもない、なんとも不思議でおもしろい5分番組です。

2人を育てた家族それぞれの行動がぶっ飛んでいて、とんでもないエピソードの連続なんですが、実話を元にしたって書いてあるんですよね……すごい。そんな個性的な家族を坂井真紀さん、じろう(シソンヌ)さん、光石研さん、ヒコロヒーさんなど、これまた個性豊かな人たちが演じています。そしてみんなぶっ飛んではいるけど、愛がある。

錦鯉たちが成長するにつれ、大切な家族との別れも経験することになりますが、どの別れも悲しいけど悲しくない、不思議な明るさに満ちています。いなくなった人との楽しい日々は消えることなく、ちゃんと錦鯉の2人の中に残っているんだろうな。

26話で、大人になった2人(森本慎太郎さんと渡辺大知さんなのがまた本人っぽくて絶妙)はそれぞれ別々に漫才コンビを組んでいて、東京ですれ違うところまで来ましたが、2人がコンビを組むまではまだかなり時間がかかりそう。そしてここからあのM-1優勝にたどり着くまでは、ここまでの彼らの20数年の人生と同じくらいの年月がかかるのだと思うと、なにかをあきらめずに続けるのって、本当に大変なことなんだなと思います。くすくす笑ったり大笑いしたりたまにじーんと涙したりしているうちに、彼らのそんな苦労についてはすっかり忘れて、あっという間に5分たってしまうんですけどね。そして朝から温かい気持ちになれる。月曜から金曜の7:50頃、ZIP!で放送中ですが、今ならTVerで全話見ることができます。

■イラスト・文/渡辺裕子

「ZIP!」の朝ドラマ「泳げ!ニシキゴイ」/イラスト=渡辺裕子