「自分ははたして薄毛なのか?」「薄毛だとしたら、どれだけ進行しているのか?」……1度気になりだしたら止まらない薄毛の悩み。そんなとき「AGAかどうか自分で判断できるポイントがある」と、東京メモリアルクリニック院長の栁澤正之先生はいいます。今回、薄毛の見分け方や進行度の確認方法、さらにはAGA治療にかかる費用感について、栁澤先生が解説します。

薄毛で悩む男性の9割以上は「AGA」

薄毛を気にしている男性は多いと思います。ハッキリ言うと、男性の薄毛の9割以上はAGA(男性型脱毛症)が原因です。

薄毛の原因としては、他にも「円形脱毛症」「抗がん剤などによる薬剤性脱毛症」「ケガ等による外傷瘢痕性脱毛症」などが挙げられますが、どれもやや特殊なもので、頻度もそれほど多くありません。

日本人男性の30~60%がAGAになるといわれていますが、年齢を重ねるごとにAGAの割合は増えていきますし、薄毛が始まっていてもあまり目立たなかったり、気づいていない薄毛予備軍のような方も一定数いらっしゃるので、実際にはもう少し多いと思います。

いずれにしても、薄毛に悩む男性のほとんどは次に説明するAGAの特徴に当てはまるのではないでしょうか。

生え際が薄い、親戚に薄毛が多い…AGAの特徴3つ

多くの方に当てはまるのが、「20歳頃に比べると広がってきた、進行してきた」といった、「進行性の薄毛」です。

AGAは進行します。ですから、治療を始めないことにはいま以上に薄毛が進行していきます。AGAは早期から治療したほうがより改善することがわかっていますので、薄毛が気になったらできるだけ早いうちから治療開始することをおすすめします。

またよく知られているように、AGAは遺伝します。「父親、祖父、親戚」が薄毛という方は、自らもAGAである可能性が高いと思ってください。

もちろん兄弟でも顔が違うように、遺伝する確率は「100%」ではありません。しかし、親戚の男性がほとんど薄毛、もしくは若いうちから薄毛になることが多い、というのであれば要注意です。

また、マンガやアニメの薄毛キャラを想像してもらえればわかるように、横(側頭部)やえりあし(後頭部)はAGAが進行しても比較的残るのですが、AGAは生え際(前頭部)やいわゆるM字部分、つむじ(頭頂部)に特徴的な薄毛を呈します。

円形脱毛症やその他脱毛症は場所に関係なく薄毛になりますが、生え際、M字部分、つむじだけ部分的な薄毛ということであれば、それは間違いなくAGAです。

AGAは生え際、つむじのどちらか、もしくは両方から始まり、進行することで薄毛部分がつながっていきます。

以上のように、

・以前に比べて薄毛が進行している ・親戚男性にも薄毛が多い ・生え際、M字部分、つむじ部分の薄毛

このうちいずれかでも当てはまっていれば、まずAGAだと思って間違いありません。

実は「薄毛になりにくく・目立ちにくい」日本人男性

日本人男性の30~60%がAGAといいましたが、実はこれは白人男性と比べるとかなり少ない割合です。

白人男性は毛自体が細く、色も薄い(金髪)という特徴があるため、日本人に比べて薄毛になりやすく、さらに目立ちやすいです。実に60~70%がAGAになるといわれています。

その点、日本人男性は白人男性に比べ1本1本の毛が太く、黒い髪の毛は頭皮が透けて見えにくいため、実は薄毛になりにくいだけでなく、薄毛になっても目立ちにくい人種なのです。

しかし、少数マイノリティーが避けられやすい文化があったり、薄毛が老化の象徴のようにも見えてしまうことから、日本社会では嫌われることが多いように感じます。

もしかしてAGA?気になったら「M字部分」をチェック

AGAは気づかないうちに始まっていて、自分で気づいたり人から言われたりするころにはある程度進行してしまっていることがほとんどです。

そこで、自分で薄毛が始まっているのかどうか、簡単にわかる判断方法をお教えします。1番わかりやすいのは、生え際の特に「M字部分」です。

[写真1]生え際のM字部分①

[写真1]は、「透けて見えるといえばそうかもしれないが、明確な薄毛とまではいえない」と思う方が多いのではないでしょうか。

しかし、この写真だけでも明らかにAGAが進行していることがわかるポイントがあります。

[写真2]生え際のM字部分②

 [写真2]の3ヵ所の毛ですが、生え際より明らかに数mm下から生えています。

これは実は、「以前ここまで生え際があった」というサインです。飛び出ている毛をつなげると、もともとの自然な生え際ラインが想像できますし、よく見ると周りにも細くなってしまった元髪の毛が確認できます。

つまりこの写真を見るだけで、生え際が数mm進行していることが確認できるわけです。

また、明らかに生え際のM字部分の毛が細くなって頭皮が透けて見えている場合は明確ですし、「20歳頃と比べて生え際が上がってきた気がする」、というのも判断ポイントです。

まとめ…AGA治療は進行を止めるだけでなく、明確に改善可能

ここまでを読んで、鏡でご自分の生え際を確認された方もいらっしゃると思います。もしAGAの進行に気づいてしまったとしても、悲観することはありません。20年以上前から医学的根拠に基づいたAGA治療があります。

AGA治療薬については、フィナステリドの場合1ヵ月分で6,000~8,000円くらいが今の日本の相場になっています。保険の効かない自費診療になるため、決して安い金額とは言えません。しかし、薄毛が進行する体質の方でも薄毛にならない、さらには改善する、言わば髪の毛の若返りの薬ですので、のどから手が出るほど欲しい方も少なくないはずです。

また反対に、1ヵ月で1万円を超える髪の毛治療も存在しますが、個人的にこれは過剰だと思います。AGA治療は10年単位で長く続けることが多いので、積み重なると総額も馬鹿になりません。高額な髪の毛治療をされている方は、一度治療を見直してみても良いかもしれません。

AGAは、進行具合により追加治療を希望すればそれだけ金額も追加されますし、植毛手術などは数十万~百万円になることもあります。治療はできるだけ早期から始めたほうが効果も強いことが証明されていて、逆に進行してしまってからでは完全に治らないこともあり得るため、もし薄毛の進行に気づいたようであれば、できるだけ早めの治療をおすすめします。

栁澤 正之

東京メモリアルクリニック

院長

(※写真はイメージです/PIXTA)