おもちゃたちが人間のいない時に自由に動き回り冒険を繰り広げる姿を描いたファンタジー映画「トイ・ストーリー」(1995年)。シリーズ化されて第4作まで制作された本シリーズで、主人公のカウボーイ人形・ウッディと共に人気なのが、彼の相棒である最新式おもちゃのスペース・レンジャー、バズ・ライトイヤーだ。決めゼリフボタンを押すと再生される音声「無限の彼方へ、さあ行くぞ!」。オリジナルではティム・アレンが、日本語版では所ジョージが声を担当している。(以下、過去シリーズのネタバレを含みます)

【写真】成長した!“青年”アンディとバズ・ライトイヤー&ウッディ

■バズ・ライトイヤーが主人公の最新作が配信開始

そんなバズの原点である映画「バズ・ライトイヤー」が、ディズニー公式動画配信サービス・ディズニープラスにて8月24日から配信開始。同作は、「トイ・ストーリー」シリーズで誰よりも仲間思いのバズ・ライトイヤーの原点を描いた物語で、2022年7月1日の劇場公開後初週3日間で興収3億8千万円、動員26万人超えを記録したヒット作だ。吹き替え声優はクリスエヴァンス鈴木亮平がそれぞれ担当している。

主人公である“スペース・レンジャー”バズ・ライトイヤーは、「トイ・ストーリー」シリーズのアンディ少年のお気に入りの“おもちゃ”バズのモデルであり、アンディ少年が人生を変えるほど夢中になった大好きな映画の主人公。そして本作はその映画の物語である。本作や「トイ・ストーリー」シリーズをより楽しむため、ここで「トイ・ストーリー」シリーズのバズや、バズもさまざまな形で活躍する短編作品、テレビスペシャルについて振り返ってみよう。

バズは「トイ・ストーリー」で少年アンディの誕生日プレゼントとして登場。当初は自分をおもちゃではなく宇宙の平和のために派遣されたスペース・レンジャーだと思い込んでいた。アンディやおもちゃ仲間からも人気者になり、アンディのお気に入りだったウッディがライバル視する中、彼はウッディと共におもちゃをいじめることが趣味な少年シドに捕まってしまう。シドの家で自分がおもちゃだと気付かされたバズが自暴自棄になってしまうところなどは大人になってから見るとなかなか切ない。

その後、おもちゃとしての自覚を持ち、誤解を解いたウッディと協力し合って脱出作戦を実行していく中で友情が育まれていく展開がとにかく胸アツ。おもちゃなので飛べないはずのバズが、見事な方法で“空を飛ぶ”姿も見逃せない。

続く「トイ・ストーリー2」(1999年)では、ウッディがおもちゃコレクターに連れ去られる事件が発生し、バズがリーダーとなって仲間たちとウッディ救出作戦を敢行。その過程で、バズは自分よりもバージョンアップされたおもちゃのニュー・バズ・ライトイヤーと出会い、彼の言動を見てかつての自分を省みるシーンも。さらに再会したウッディが、“ヴィランおもちゃ”のプロスペクターに同情しておもちゃ博物館に行こうとしているのを説得。この場面はウッディがバズを説得するシーンの対にもなっていて、ウッディとの友情をより強固なものにしていく2作目ならではの展開を見せてくれる。

■10年以上のブランクを経て「3」が公開に

10年以上のブランクを空けて公開された「トイ・ストーリー3」(2010年)は、アンディが大学に通うために家を出る日が間近に…という状況で展開。アンディの母親が間違ってごみ扱いしてしまったことを“捨てられた”と勘違いし、バズはウッディの説得も聞かず仲間たちと託児所に残り、そこに預けられた園児たちの相手をする。

デモモードにされて1作目のように自分がスペース・レンジャーだと思い込む場面や、スペイン語モードにされてスペイン語を話す場面などが見られる。どうやってアンディの家に戻るかはもちろんだが、当初最終章として作られた本作は青年になったアンディとおもちゃとたちのお別れがクライマックスとして描かれていて、そのラストはグッと来ること間違いなし。バズと2作目で一目ぼれをしたカウガール人形のジェシーとの関係の行方も描かれている。

■前作とはまた違った“胸アツ”展開に

トイ・ストーリー4」(2019年)では前作でアンディからおもちゃを受け継いだ少女ボニーの家での生活から物語はスタート。バズは家を抜け出したボニーのお気に入りのおもちゃ・フォーキーと、それを追ったウッディを心配して探しに出掛ける。「心の声に従うんだ」というウッディの言葉のように、バズも自分の声を聞き行動することに。親友ウッディと迎えるラストは前作とはまた違った胸アツなものとなっている。

シリーズを通してウッディとの固い絆と熱い友情、最新式のおもちゃならではのギミックなどを使った活躍を見せてくれるバズ。その言動には見ている人たちもいろいろと考えさせられるものがあり、だからこそ本シリーズは子どもだけでなく大人たちにも人気が高いのだ。

■短編作品やメイキングも配信中!

他にもディズニープラスでは、短編作品やテレビスペシャル作品を配信中。バズ・ライトイヤーがファストフード店で、キッズセットの“おまけ”である8cmサイズの小さなバズと入れ替わるはめになり、置き去りにされてしまう「トイ・ストーリー ニセものバズがやって来た」や、「トイ・ストーリー3」のその後を描いた、シリーズ初のテレビスペシャル「トイ・ストーリー・オブ・テラー!」も。バズが好意を寄せるカウガール人形・ジェシーが主人公を務める同作では、ジェシーが苦手を克服して頑張る姿を通し、一歩踏み出す勇気をもらえるような内容となっている。

さらにはテレビスペシャルの第2弾となる「トイ・ストーリー 謎の恐竜ワールド」、短編アニメトイ・ストーリー ハワイアン・バケーション」「レックスはお風呂の王様」「フォーキーのコレって何?」「ボー・ピープはどこに?」、そして最新作のメイキングとなる「無限の彼方へ バズと『バズ・ライトイヤー』への旅」なども配信中だ。

さまざまなバズの活躍を踏まえ、彼の原点はどんなものだったのかを最新作「バズ・ライトイヤー」で確認しよう。

◆文=斉藤俊彦

「トイ・ストーリー」キービジュアル/ ディズニープラスで配信中/(C) 2022 Disney/Pixar