第112回ザテレビジョン・ドラマアカデミー賞では、二宮和也主演「マイファミリー」が作品賞、主演男優賞(二宮)、助演男優賞(濱田岳)、監督賞(平野俊一D、田中健太D、宮崎陽平D、富田和成D)、脚本賞(黒岩勉氏)の5冠を達成。ゲーム会社社長・温人(二宮)が、警察を排除し、妻や仲間と共に誘拐犯と戦う“ノンストップファミリーエンターテインメント”は、誘拐犯と戦う中で次々と訪れる予想外の展開と、丁寧に描かれた家族の物語が高評価につながった。そんな同作を手掛けた飯田和孝プロデューサーに同作に込めた思いを聞いた。

【写真を見る】3度目の主演男優賞を受賞した二宮和也

■現場にいるみんなが考え抜いた結果の受賞

受賞を受けて飯田Pは、「作品賞をはじめ5部門の賞を頂き、ありがとうございます。このドラマは原作なしのオリジナルで、黒岩勉さんが巧みに構成してくれた脚本をよりどころに、スタッフ・キャスト一人一人が発想力や想像力をフル回転させて作りました。

ゲームアプリの画面をストーリーにシンクロさせ、本当は機械音設定である犯人の音声をナレーターさんで収録したら怖さが増すのでは?など現場にいるみんながどういう仕事をすれば見る人を楽しませることができるのか考え抜いた結果、評価していただけたのかなと思います」と、ドラマに関わった人々が総力をあげて取り組んだことが受賞につながったと語った。

■視聴者に届けたかったのは…"家族を考えるきっかけ"

二転三転するストーリーに真犯人を推理する考察も盛り上がったが、同作が掲げたのは“ノンストップファミリーエンターテインメント”。その真意について飯田Pは、「誘拐が起きる物語ですが、サスペンスにはしたくなかったんです。主演の二宮和也さんには『翻弄(ほんろう)される主人公と家族の、エンターテインメントを描きたいです』と伝え、二宮さんも新しいジャンルとしてのさじ加減を考えてくれました」と明かす。

そこで伝えたかったことを「視聴者に『家族を考えるきっかけ』『家族と向き合う時間』を与えられたらいいなと思っていました。ドラマの最初は父親になりきれていなかった温人が、皮肉にも人生最悪の事件を通して徐々に父になっていく…そんな主人公と、登場人物の家族との向き合い方を通して、視聴者にもメッセージを伝えることができたなら、とても幸せに思います」と語る。

また、投票者からは「キャストの好演で家族の物語に感情移入できた」といったコメントも。温人の妻・未知留役の多部未華子、温人の友人・三輪役の賀来賢人、同じく温人の友人・東堂を演じ助演男優賞を受賞した濱田、そして刑事・葛城役の玉木宏と“同世代”の人気俳優が集ったことも話題になった。飯田Pは、「キャストは二宮さん始め、ストーリーやキャラクターに合うと思う方に集まっていただき、そんなキャストの皆さんが見応えある芝居をしてくださり、皆さんを最後まで引きつけられたのだと思います」と本作を振り返った。

(取材・文=小田慶子)

「マイファミリー」が第112回ドラマアカデミー賞で最優秀作品賞を受賞/(C)TBS