8月28日に行われた西武対オリックス戦。西武が「10-4」で勝利したが、試合結果以上に話題となったのが球審・嶋田哲也審判の判定だった。

 嶋田審判は6回表2死一、三塁で打席に立った西武・中村剛也の初球ハーフスイングをバットは止まっていないと判定し抗議を受けると、続く4球目には中村の膝下付近に来たボール気味の球をストライクとコールし中村をぶぜんとさせる。中継解説・赤堀元之氏(元近鉄)は「今のは低いですよね。正直にいえば」と誤審ではないかと疑問を呈し、ネット上にも「また嶋田が変なトラブル起こしたのか」と呆れ声が相次いだ。

 >>西武・中村が球審に抗議、解説も誤審を指摘「今のは低い」 不可解なストライク判定は直前のトラブルも影響?<<

 中村への判定が物議を醸した嶋田審判だが、過去にも試合中の言動がファンから問題視されたことがある。

 2013年9月8日・阪神対巨人戦では、阪神・マートンに詰め寄ろうとして騒ぎとなった。「1-9」と阪神8点ビハインドの同戦9回裏無死一塁。打席のマートンは右翼ポールとフェンスの境目付近に当たる大飛球を放ったが、一塁塁審の嶋田審判はファールと判定し、阪神・和田豊監督(当時)の抗議も受け入れず。諦めた和田監督がベンチに下がった直後、マートンは嶋田審判に向かい、2本指を立てて自身の両目を指さすジェスチャーで不満をあらわにした。

 嶋田審判はこれに激怒したのか一塁からマートンが立つ本塁方向にずかずかと歩き出し、和田監督ら阪神首脳陣が慌てて制止に入る事態に。この後、審判団はビデオ判定を行い改めてファールと判定した上で試合を再開させたが、ネット上には「審判が選手の挑発に乗るなんて前代未聞じゃないか」といった苦言が寄せられた。

 2017年4月4日ヤクルト対阪神戦では、死球発生直後の態度が問題視された。「2-0」とヤクルト2点リードの5回表無死一塁。阪神・藤浪晋太郎が投じたツーシームがすっぽ抜け、打席のヤクルト畠山和洋の左側頭部へ。畠山は体を背けかろうじて頭部への直撃は回避したものの、左肩上部付近に球を受けその場に倒れ込んだ。

 これを、嶋田審判は出場続行に問題はないレベルと判断したのか、倒れ込んだ畠山を心配するそぶりは特に見せず、藤浪にも危険球退場などの措置は取らないまま返球。立ち上がった畠山が藤浪に向かっていったことから両軍入り乱れての大乱闘が勃発し、阪神・矢野燿大一軍作戦兼バッテリーコーチ(当時)、ヤクルトバレンティンが退場となったが、ファンの間からは「審判が1番ムカついた」などと不満が噴出した。

 2021年9月13日ヤクルト対中日戦では、不可解判定でヤクルト高津臣吾監督を激怒させた。「0-1」とヤクルト1点ビハインドの9回表1死一、二塁。一走・西浦直亨への挟殺プレーの間に打走・川端慎吾に一塁進塁を許した中日内野陣は、遊撃手京田陽太が二塁ベースを踏みフォースプレー(ベースを踏むだけで走者をアウトにできるプレー)でのアウトをアピール。ところが、二塁塁審の嶋田審判はなぜかアウトのジャッジをしなかったため挟殺プレーの継続を強いられた。

 この間に本塁を狙った三走・古賀優大がアウトとなったところで一連のプレーは終了したが、直後に中日・与田剛監督(当時)は西浦もアウトではとリクエストを要求し、審判団もこれを認め西浦の二塁封殺で2アウト、古賀の本塁憤死で3アウト目が取られたと判断し試合終了とした。

 これを受けヤクルト高津臣吾監督は、京田がベースを踏んだ時点で西浦アウトのジャッジがあれば古賀の本塁突入はなかったと約15分間猛抗議。翌14日にセ・リーグの杵渕和秀統括、友寄正人審判長が「嶋田(審判)の“バッタランナーが一塁でアウトになった”という思い込みが要因」と高津監督に謝罪したことで事態は収拾したが、ネット上には「一塁判定見落とすのはあり得んだろ」と批判が噴出した。

 中村への不可解判定を受け、過去のトラブルを蒸し返すファンの声も少なからず見られた嶋田審判。前例の多さも風当たりが強まった一因だったようだ。

文 / 柴田雅人

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