筆者は普段、ソニーのワイヤレスヘッドホン『WH-XB910N』で音楽を聴いている。夫が買い替えで購入したのだが、つけ心地も質感も、もちろん音質も申し分ない商品だ。

(参考:【写真】細部までつくりこまれたデザインが美しい『WH-1000XM5』

 今回、そのWH-XB910Nよりもうワンランク上の業界最高クラスのノイキャン・ハイレゾ高音質を実現したヘッドホン『WH-1000XM5』を試すことに。価格差でいえば約2万円の両製品だが、どんな違いがあるのだろうか。

ソニー史上最高のノイズキャンセリングを搭載した『WH-1000XM5』

 WH-1000XM5は、ソニーストアでの販売価格は49,500円(税込)。WH-XB910Nは30,800円(税込)となるため、約2万円ほど差がある。WH-1000XM5は、ソニー史上最高のノイズキャンセリングを搭載した前モデル、『WH-1000XM4』から人の声や日常ノイズなどの中高域のノイズキャンセリング性能を向上し、まさにヘッドバンド1000Xシリーズの最高峰とも言える。

 試してみると、ノイズキャンセリング機能はWH-XB910と比べても優れており、扇風機や食器洗い乾燥機、エアコンといった家電製品の音はほぼ聞こえないといってもいい。

 サウンドはボーカルが鮮明に聞こえ、高音域や中音域ははっきりと、低音は自然に響くように感じる。音の広がりと定位感が素晴らしい。シンバルやハイハットがしっかりと粒がたつ印象で、イコライザー機能が不要なほど素の調整がよくできている。

 以前から使っていたWH-XB910Nは、「EXTRA BASS」サウンドにより、迫力のある重低音が特徴の製品だ。聴いていて非常に気持ちの良い低音を楽しめるが、振動も感じることで中音域と高音域の輪郭がややぼやける印象があった。とくにボーカルはWH-1000XM5と比べると膜がかかったような感覚に。好みではあるが、ボーカルを意識して聴きたい人は、WH-1000XM5を勧めたい。

・つけ心地やデザインにも魅力が詰まっている

 WH-1000XM5は、側圧がきつくないため、包み込まれるようなつけ心地で、よく音楽に没頭できた。

 そんな装着感はWH-XB910Nと大きく異なり、耳の上の頭の部分の隙間でもよくわかる。WH-XB910Nは横に張りが出るが、WH-1000XM5はしっかりと密着するような形だ。もちろんWH-XB910Nのイヤーパッドも側圧はちょうど良く、クッションの存在感は大いにあったのだが、長時間つけたときに疲れにくいのはWH-1000XM5だと感じた。

 WH-XB910NとWH-1000XM5を並べて比べてよくわかるのが、その質感。WH-XB910Nの方がややプラスチック感があるため、つけ心地が良いのは断然WH-1000XM5だ。

 またデザインもややがっしりとしたデザインのWH-XB910Nに対して、WH-1000XM5はより洗練された美しさがある。「SONY」のロゴも控えめで、WH-XB910Nより華奢なデザインとマッチしている

・保護ケースも上質。ただ持ち運びに関しては好みが分かれそう

 今回WH-1000XM5を使って、持ち運びに便利な保護ケースにいたるまでのその品質に驚いた。保護ケースの表面の手触りは、もちろん上質で、チャック部分にもはっきりと出ているのだ。

 保護ケースはWH-XB910Nにもついている。収納方法は、2製品で異なっていた。WH-1000XM5はそのままの形でセットし、WH-XB910Nは折り畳んで収納する。こちらの好みはかなり分かれそうで、個人的にはWH-1000XM5のようにそのまま入れた方が好きだが、持ち運びに便利そうなのはWH-XB910Nのように思う。折り畳んでいないと結構な大きさになるため、小さめのバッグでは持ち運びは難しそうだ。

 WH-XB910Nは、持ち運びの点まで含め満足度の高いヘッドホンではあるが、音質や装着感、デザイン、質感、ハイレゾまで楽しみたい考えるとやはりWH-1000XM5を買いたいと思う。逆に迫力のある重低音を楽しみたい、外出先でも気軽に音楽を聴きたい、3万円以内で探したいということであればWH-XB910Nをおすすめしたい。

(文=カマタユキコ)

撮影=カマタユキコ