内閣府6月9日に発表した2014年1-3月期の国内総生産(GDP)改定値が年率換算で6.7%増となり、同月15日に発表した13年度の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質GDP成長率が2.3%になったと発表したことについて、中国共産党機関紙の人民日報は「20年ぶりの高さ」と論じ、「日本ではアベノミクスによる成果とされているが、細かく観察してみるとそれは違うことが分かる」と論じた。

 記事は、景気はさまざまな要素によって変動すると指摘、11年11月に底を打った景気はその後、景気拡張期を迎えたと主張。さらに消費税の引き上げを控えていたため、13年第3四半期から高額商品が売れていたと指摘し、2014年1-3月期のGDPが高成長になったのは、駆け込み消費によるものと主張した。

 そのため、現在の景気水準だけに基づいて日本経済がデフレから脱却できたかどうかを判断することはできないと主張、今後も日本経済が成長を続けることができるかは定かではないと論じた。

 続けて、アベノミクスによる金融緩和と財政政策による効果はすでに薄れつつあるとし、日経平均株価や為替が膠着状態にあると指摘、「株価上昇や円安進行の余地は限定的」との見方を示した。

 さらに記事は、物価が上昇する一方で日本人の給与水準がさほど上昇していないと指摘、「4月の消費者物価指数は3.2%上昇したため、給与水準は実質的にマイナスになった」、「今後も給与が大きく上昇する可能性は低く、消費は長期的に低迷するだろう」と論じた。

 また、4月に消費税が5%から8%に引き上げられ、4月、5月の消費が大きく落ち込んだことを挙げ、15年10月にさらに消費税が10%まで引き上げられれば内需に大きなマイナスになることは想像に難くないと主張した。

 記事は、力強さに欠ける世界経済のもと「安倍首相は右傾化政策によって重要な貿易パートナーである中韓との関係を悪化させた」とし、関係悪化によって日本の中韓への輸出増は望めないと主張。

 さらに安倍首相が発表した新成長戦略に対し、「法人税引き下げなど、さまざまな目標を掲げたようだが、日本再興戦略の重複に過ぎず、目新しさは無い」と切り捨て、具体的措置に欠ける目標に過ぎないと論じた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)