飯沼愛が主演を務める「パパとムスメの7日間」(毎週火曜深夜0:58-1:28、TBS)。同作は、五十嵐貴久の同名小説を原作に、2007年7月から日曜劇場枠で放送された同名作品を15年ぶりにリメーク。“パパとムスメとカレ”の奇妙な三角関係を中心に繰り広げられるストーリーにハマる視聴者が続出している。このたび、番組の企画・編成を務める中西真央氏と、プロデューサーの大河原美奈氏にインタビューを実施。リメークする上で意識した点や、撮影現場でのキャスト陣の様子などについてたっぷりと語ってもらった。

【写真】女子高生さながらの“プク顔”を披露する眞島秀和

物語は、イマドキの女子高生・小梅(飯沼)がさえないサラリーマンのパパ・恭一郎(眞島秀和)と事故に巻き込まれ、お互いの人格が入れ替わってしまうことからスタートする。

入れ替わったパパと娘が元に戻れる日を信じて奮闘する一方で、健太(長尾謙杜)先輩と結ばれたい小梅と、健太に娘を奪われたくない恭一郎、そして小梅より恭一郎の性格にひかれているかもしれない健太が繰り広げる異色のラブコメディー。

■“令和版パパムス”の方針はラブコメディ

――今回、「パパとムスメの7日間」をリメークするにあたって意識した部分は?

大河原美奈プロデューサー(以下、大河原P):恋愛部分をメインにした、ラブコメディーにしようという方針はありました。原作の面白い部分はきちんと変えずに汲み取りながら、いかにラブ要素を足すか試行錯誤して今作が完成しました。

中西真央氏(以下、中西氏):第1、2話は前作の流れを汲んでいる部分が大きいのですが、後半になるにつれてオリジナル要素が出てきます。出版社の方から「原作者もOKですので変えちゃってください」と言っていただいたので“恋愛方面でガッツリ変えてみよう”と。

――“令和っぽさ”を随所で感じますが、第4話で登場したゲームデートはすごく斬新でした。

中西氏:パパの姿をした小梅はずっと健太先輩を好きなのに、気持ちを伝えられる場面がなかなかないなと思っていました。小梅の思いを伝える手段を何にすべきか悩んでいたんです。

そんな中で、自分がよく友達とゲームしながら長時間通話することを思い出して。小梅の気持ちもこれなら伝えられると思い、ゲームのシーンを入れてみました。

■飯沼は「スポンジみたい」表情にも変化が

――主演の飯沼さんはこの夏で芸歴2年目に突入するというフレッシュな女優ですが、印象はいかがでしょうか?

大河原P:本当にスポンジみたいです。クランクインした日とクランクアップした日では小梅がまるで別人のようで。飯沼さんは女優として成長したと眞島さんも羽田(美智子)さんも口をそろえておっしゃっていました。

――飯沼さんといえばドラマ2作目とは思えないバリエーション豊かな表情が印象的です。

中西氏:「この初恋はフィクションです」(2021年、TBS系)では優等生キャラを演じていましたが、今回は明るく弾けるようなキャラクターをお願いしてみました。現場で試行錯誤しながらやっていくうちに、だんだんと面白い変顔をできるようになっていって(笑)。

大河原P:最初の数日間は手探りな部分がありました。“小梅”というキャラクターは以前別の方が演じているので、令和版としてどういう人物を作っていくのかご本人も悩んでいたかもしれません。

でも、(キャラクターを)つかんでからはすごくて。「こういう顔をしたら小梅はかわいいと思う」とか「でも中身はパパだからこういう顔をするような気がする」とよくおっしゃっていました。

中西氏:今作はモノローグが多いドラマなので、先に声撮りをさせてもらってからクランクインしたんです。その時から個人的に“声が良いな”と思っていて。きっと彼女の持ち味だと思うのですが、パパムスを経て豊かな表情も加わったんじゃないかなと思います。

大河原P:最初の頃は、現場で監督の「もう1回!もう1回!」という声が何度も聞こえていました。でも、演じていくうちに、中身がパパになった小梅の動きをつかんでいって。そこからは、「また変顔しちゃった!」と言うようにまで変化していきました。

中西氏:そして気が付いたらしゃくれているっていう(笑)。

大河原P:そうなんです、気づくとついついやり過ぎちゃう時があって「変顔やり過ぎ注意!」と言いにいっていました(笑)。

■細かな所作を盗むべく“リアルJK”を観察

――現役女子高生にしか見えない眞島さんのキュートな演技も話題です。

中西氏:最初の段階から“眞島さんは女の子の演技も上手だな”と思っていました。こちら側からするとほぼ申し分なしのお芝居だったのですが、ご自身の中では悩む部分も多かったようです。

例えば、内股にすれば女の子になるというのは決めつけっぽいじゃないですか。なので、やり過ぎないことを意識しているとおっしゃっていました。

大河原P:はじめは小梅もパパもそれぞれ(キャラクターを)つかまなきゃいけないので、お互いのくせについてよく現場で話していました。眞島さんは飯沼さんの動きを観察するだけでなく、レギュラー出演している生徒たちの動きを研究して盗んでいました。

飯沼さんにも「おじさんはこういう時に間を置くんだよ」とか「座るときにいちいち声が出るんだよ」など、かなり具体的にアドバイスをしていたようです。

サッカーシーンで思わず素が…キュートな一面も

――長尾さんが演じる健太先輩の“王子っぷり”に魅了される視聴者が続出していますが、制作側からお願いしたことはありますか?

中西氏:読み合わせのときはもうちょっと長尾さんでしたよね?

大河原P:そうですね、長尾さんそのままでした。

中西氏:陽気で、かわいらしい感じだったのですが、もうちょっと「高嶺の花感がほしい」とお願いをしたんです。そして、いざ現場に来てみたら今の健太が出来上がってたという。

大河原P:でも、長尾さんご本人はサッカー好きなようで、サッカーのシーンになると長尾謙杜になっちゃうんですよね(笑)。なので「長尾くん、“健太先輩”だよ!」「目の中に星作って」と言いにいったりしていました。

第4話で登場したバラのシーンも「これでいいのかな」と悩みながらも結構しっかりやってくれて。ふざけたシーンなんですが、すごく一生懸命向き合ってくれていました。

■“キュンの最終地点”を定める、こだわりの胸キュンシーン

――第1話から小梅を健太がハグするシーンが登場するなど序盤から“ラブ要素”がたっぷりですが、こだわりや工夫していることがあれば教えてください。

大河原P:とにかく“いかに視聴者をキュン死させるか”だけを考えていますよね(笑)。

中西氏:第3話放送時に視聴者の方の感想をTwitterで追っていたのですが「なぜそっちから回ってキスしそうな距離に行くんだ!」というご意見もあって(笑)。

大河原P:一応布巾があるから回り込んでいるのですが、いつの間にかおざなりにされていて…。

中西氏:もちろん切なさも出せたらなと思っているのですが、30分の深夜ドラマなので“想像以上のことが起きて笑っちゃう”みたいなことが大事かなと考えています。

大河原P:外見は飯沼さんと長尾さんですが、(飯沼の)中身はお父さんなので、少しやり過ぎても許してもらえるだろうというのもあって。突き抜けてやってみて、みんなで笑ってもらおうという考え方なんです。

胸キュン要素の入れ方に関しては、“キュンの最終地点”を定めて、そこに向けて逆算して作っていくようにしています。

――胸キュンシーン前の飯沼さんと長尾さんはどのような様子なのでしょうか?

大河原P:お二人ともとにかく真面目なんです。ちょっとでも空き時間ができると、教室の隅に机を並べて、二人でお芝居の議論をしているんですよ。二人の空気感もそうですが、練り上げて作られたものであるからこそ“いい距離感”になったのだと思います。

■新たな展開が続くストーリーに「びっくりしてただきたい」

――終盤に向けた見どころはどういった部分でしょうか?

大河原P:第7、8話について具体的なことは言えないのですが…。実はすごく悩んで、(ストーリーが完成するまで)時間がかかったんです。

中西氏:クランクイン直前に“こうしてみたいです”と大河原さんに相談したんですよね。

大河原P:その時には今とは違う第7話と8話が出来上がっていて。だけど“私たちが作るパパムスの2022年版はこのままでいいのかな”というのはどこかにあったんです。なので、時間はかかるけどやってみようかという話になって。ぜひ見ていただいて、びっくりしてただきたいです。

中西氏:第6話の最後に、御守りが鍵になっていることに小梅とパパが気付くとことで終わったと思うのですが、戻れるんじゃないかというところから第7話はスタートします。その結果、これまで王子様のようだった長尾さんのキラキラ感がちょっと失われます(笑)。

大河原P:第7話の健太先輩は別人なんですよね、全然かっこよくない(笑)。そこである意味「長尾謙杜はすごいな」と気づかされました。

――なるほど、新たな展開が待っているのですね。

大河原P:最後まで飽きずに見られると思います。大体最終回が近づくとまとめにかかる部分があると思うのですが、全然そうじゃないっていう(笑)。ぜひ楽しみにしていてください!

数多くの胸キュンシーンに挑んでいる飯沼愛&長尾謙杜/ (C)「パパとムスメの7日間」製作委員会