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ホンダ新型SUV 最新情報まとめ

執筆:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)

ホンダの新型SUV「ZR-V」の実車に触れることができた。先行予約が始まり、一部のスペックも判明したので、注目点とともに紹介していきたい。

【画像】新型車「ホンダZR-V」 内装/荷室/デザイン【じっくり見る】 全57枚

ZR-Vは、ホンダでは「ヴェゼル」と「CR-V」の中間に位置するSUVとなる。

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ハイブリッド仕様となるホンダZR-V e:HEV Z(プレミアムクリスタルガーネット・メタリック/AWD)。    ホンダ

そのグランドコンセプトは「異彩解放」。軽自動車からプレミアム輸入車まで、群雄割拠のSUV市場だが、そこで勝ち抜くために異彩を放つ存在感と、神経に直結した爽快・快適な走りを追求するという。

ターゲットユーザーは子育て世代だが、「子育てのために好きなクルマを諦めない」「子育てを頑張っていても、妥協せずに好きなクルマに乗りたい」、そんなユーザーに向けたモデルであるとホンダは説明する。

そのため、シームレスに使えるユーティリティ性を備えながら、SUVらしい安心感を抱かせる走り・安全性能を与え、“爽快”かつ“快適な走り”を楽しめるクルマを目指している。

ZR-Vを知るための、最初のキーワードは「気にせず使える」だ。

1. コンセプトは「気にせず使える」

ZR-Vの外寸は公表されていないが、前述のようにヴェゼルよりは大きく、CR-Vよりは小さい。

そして、SUVとしては当たり前のことになるが、車高が高く、ドライバーのアイポイントも高く、最低地上高も高い。それゆえ、見切りが良く、取り回しも良い。

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内燃ガソリン仕様となるホンダZR-V X(スーパープラチナグレー・メタリック/FF)。ZR-Vのグレードは、「X」と上位の「Z」という2種類。    ホンダ

スポーツカーのように走行時に下回りをヒットする心配もなく、取り回しをする際の縁石のプレッシャーも小さい。

つまり、サイズを気にせず、気軽に使えるという、“中型SUVの特権”が形になっている。

また、ラゲッジスペースに趣味の道具を放り込んでおけば、河原へ釣りに行ったりとか、ダートMTBを楽しんだりとか、思い立ったら即行動できるマルチパーパス性も重要。

これには、オンロードでの快適性をメインに、多少の荒れた路面走行時の快適性も求められる。そうした状況で安心感を確保し、相棒であるクルマへの信頼感を高めることも、このクラスの重要なポイントということだ。

煩わしさからの解放というコンセンプト以外にも、ZR-Vの特徴はある。ボディとシャシーの構造を見てみよう。

2. リアサスは専用設計 快適なSUVに

ZR-Vのプラットフォームは、シビック系のものを流用。

それゆえ、ヴェゼルよりも1クラス上の快適性を目指しており、またSUVでもダイナミクス性能を重視して、意のままに操る楽しさも追求する。

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ホンダZR-V e:HEV Zの後席(内装色:マルーン)。新型シビックのプラットフォームを使うので、足元の空間は非常に広い。    ホンダ

ボディについては「柔」と「剛」を使い分けた、しなやかなものを構築。

具体的に説明すれば、高ハイテン材の適用と構造の進化により「柔」の部分を構築し、構造用接着剤を適用することで「剛」の部分を具現化している。

フロント・サスペンションは、プラットフォーム/後述のパワートレインとの関係でシビックと共通。

だが、リアは4WDも設定されることから、CR-V系のものをベースに専用にセットアップされた。

そして、「自在に操る自信と余裕」を提供するため、シャシーにおいては、たとえばステアリングホイールにスムースレザー表皮を使用してステアフィールを向上。

ステアリングシステムでは、デュアルピニオンアシストのEPSやフィードバックの制御で、自在に操れるようにした。

マルチリンクのリアサスペンションでは、ブッシュ軸線の適正化、液封ではないコンベンショナルなブッシュの採用、位置決めの向上により、車高が高いクルマにつきものの“不要な挙動”をなくし、ロードホールディングを高めている。

こうして、加速時の静粛性、乗り心地といった快適性においては、ヴェゼルよりも1クラス上なことは言うまでもなく、多くの国産ライバル車を凌ぐという。

3. ハイブリッド/エンジンのスペック

ZR-Vの日本仕様のパワートレインは、「ハイブリッド」と「内燃エンジンのみ」という2種類を設定する。

ハイブリッド仕様

まずハイブリッドは、ホンダ得意の「e:HEV」で、2L直噴エンジンと、2モーター内蔵の電気式CVTを組み合わせる。

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ホンダZR-V e:HEV Zの前席(内装色:マルーン)。ハイブリッド仕様は、ボタン式のシフトを採用する。    ホンダ

最高出力(エンジン)141ps/6000rpm
最大トルク(エンジン)18.6kg-m/4500rpm
最高出力(モーター)184ps/5000-6000rpm
最大トルク(モーター)32.1kg-m/0-2000rpm

モーターの32.1kg-m(315Nm)という最大トルクは3Lエンジン並みの数値で、余裕のトルクを持って意のままに走ることができそうだ。

内燃ガソリン仕様

エンジン車は、1.5Lの直4 VTECターボにステップシフト付きのCVTを組み合わせる。

最高出力:178ps/6000rpm
最大トルク:24.5kg-m/1700-4500rpm

シビックパワーユニットと比べて、エンジン車の最高出力のみ4ps(3kW)ほど低いが、他のパワースペックは同じ。

それでも、ファイナルなどはZR-V専用のセットアップがされており、リニアリティ/レスポンスを重視したセッティングに。また、スポーツモードも設定された。

パワートレインの注目は、曲げやすいAWDだ。

4. “曲げやすい”AWDとは

SUVとしては重要なポイントとなるAWDにおいても、サスペンション4WDシステムの進化・最適化により、ドライ路面でも安心・安全な走行を実現する。

ホンダ独自のリアルタイム4WDシステムでは、後輪へのトルク配分を従来より2割ほどアップ。前・後の駆動力配分も見直され、MAXで50:50とリアの役割を高めた。

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ホンダZR-V e:HEV Z(プレミアムクリスタルガーネット・メタリック/AWD)。    ホンダ

これに加え、リアのトルク限界線を向上。

旋回Gが高まってもリアのトルク配分を極端に減らすことなく、また配分をアップしたリアの駆動力をしっかり受け止められるように、サブフレームやリアサスの位置決めを最適化するなど、リアサスまわりにチューニングが施された。

そのため、四輪のタイヤ利用率が最適化され、旋回時に前輪が“縦にかくチカラ”を後輪に回すことで、前・後のタイヤ利用率がアップし、つまりは限界性能が向上する。四輪を使いきるAWDの誕生だ。

前述のリアサスの作り込みと相まって、(まるでセダンのように)気持ちよくコーナーを抜けるSUVになったというから、試乗レポートも別の記事でご紹介しよう。

当然ながら雪上走行性能も向上しており、旋回時・登坂時などでも、従来のSUVよりもリアにトルクを配分することで前輪の空転を制御し、加速Gを向上。

雪上の旋回時でも、安心して加速することができるし、登坂路でも安心して発進できる。従来のSUVに対して安心感のある雪上走行性能も実現しているのだ。

「ZR-V」の発売は今秋を予定していたが、慢性的な半導体不足・不安定な海外情勢という複合的要因により、一部部品入荷の遅れが発生しているため、2023年春まで延期された。

ホンダSUV戦略における新たなピースとなるZR-V。最新情報が届き次第、続報をお伝えしよう。


ホンダ新型車「ZR-V」 エンジン・スペック/乗り心地/AWD、4つの注目点とは 先行予約を開始!