2022年10月23日(日)〜10月30日(日)(10月22日(土)19時はプレビュー公演)新宿シアタートップスにて、オフィス3◯◯公演『ぼくらが非情の大河をくだる時』〜新宿薔薇戦争〜の上演が決定した。

過去に何本もの演劇作品を生み出してきたオフィス3〇〇だが、これまで他作の脚本の上演を行ったことはなかった。今作で初めてオフィス3〇〇主宰・渡辺えり演出で、他作(清水邦夫作)の脚本に挑む。清水の往年の傑作を渡辺はどのような芝居に作り上げるのか、期待が高まる。

出演は、扉座の看板俳優・岡森諦、そして渡辺作の『川を渡る夏』において好評を博した吉田侑生岩戸秀年が決定している。

村本すみれ&玉井勝教による過激で優雅なダンス、そしてバンドネオン鈴木崇朗による華麗で情熱的な演奏にも注目だ。

吉田侑生、岡森諦、岩戸秀年

吉田侑生、岡森諦、岩戸秀年

村本すみれ&玉井勝教

村本すみれ&玉井勝教

鈴木崇朗

鈴木崇朗

渡辺えり ご挨拶

渡辺えり

渡辺えり

1972年青年たちはなぜあれほど熱く世界と戦い自己と向き合い続けたのか? ベトナム戦争を止められない忸怩たる感情が吹きあがり、安保条約の矛盾に抵抗しようとしたのだったろうか?

沖縄返還、あさま山荘事件の年だった50年前「ゴットファーザー」「キャバレー」「惑星ソラリス」が封切られたあの年、舞台では越路吹雪の「アプローズ」が初演されたその年に、清水邦夫作 蜷川幸雄演出の「ぼくらが非情の大河をくだる時」が上演されました。その舞台には私が若手の頃から影響を受け尊敬している石橋蓮司さんと蟹江敬三さんが兄弟の役で出演していました。

山形の高校生だった私は町の本屋で掲載された雑誌をみつけ、原稿用紙にすべての文字を書き写し、感動し号泣しました。なぜあれほど胸を打たれたのか? 革命に命を懸け夢破れた者たちの敗北感に共鳴した17歳の激情を67歳の今の夢と重ね合わせ演劇の未来に向かおうと思います。

あの時の若者たちの感情は今またロシアによるウクライナ侵攻の現状とつながり、山上容疑者によるテロ行為などによっても甦って参ります。

タンゴの生演奏とタンゴダンサーによるコラボを取り入れながら27人の登場人物たちが様々な役に変化する舞台です。清水邦夫の過去の作品群から台詞を抜粋、本作品の中に折りこんでいきたいと考えています。

時代を超えて現代に甦る「ぼくらが非情の大河をくだる時」を、世代を超えた仲間たちと作っていきたいと思っています。

舞台本番の後初演時に出演なさった石橋蓮司さん初め、様々なジャンルの方をゲストに迎え、様々な角度からこの時代を、そして今を探ります。 

 
【あらすじ】

深夜、都内の公衆便所。夜な夜な男が男を求めて集まってくる。そこへ一人の詩人が現れ、便所の壁や柱を愛撫し始める。彼は、愛に破れた無名戦士たちの死体が公衆便所の下に埋められていると信じているのだ。やがて、棺桶を持った男が二人あらわれる。詩人の父と兄だ。二人は、気狂いの弟・トオルを夜な夜な追い続けることに疲れ果て、何度も彼を見捨てようとするが……兄はかつて弟を裏切ったことを悔い、弟のえがく強い兄の役を演じ続ける。そして……。

 

『ぼくらが非情の大河をくだる時』~新宿薔薇戦争~