運動を習慣にするために必要な条件は、「根性」や「忍耐力」ではありません。自分にとって「運動は大事」と認識すること。そして、「次もきっとできる!」という自信です。パーソナルトレーナーとして25年の経験の中野ジェームズ修一氏が著書『やせるのはどっち? 理想の体が手に入る「失敗しない」31の法則』(飛鳥新社)で解説します。

「運動をするか・しないか」で悩まない

▶Q:「5km走る」を目標にしていたのに、仕事で遅くなってしまいました。あなたの選択はどっち?

A:それでも頑張って5km走る B:気休めに2km走る

正解はこっち!B:気休めに2km走る

■1を取るのではなく、0.5を取りに行きましょう。

疲れて帰ってきた日は毎回、「運動をするか・しないか」で悩んでしまう……。今日からこのような考え方は捨ててしまいましょう!

なぜなら「ゼロか、1か」という考え方は、運動が続かない要因になるからです。

私たちの脳は、たとえ最大の目標の30%、50%しか運動できなかったとしても、その成果を「成功体験」として毎回、しっかりインプットしてくれます。そして、脳に「成功」の経験が刻まれるほど、「やっぱり私にはできない」と自信をなくしたり、挫折したりするのを防いでくれるのです。

そこで、運動の目標はあらかじめ「高い目標」と「低い目標」の2つのハードルを用意しておきます。例えばウォーキングであれば、5㎞コースと2㎞コースを、筋トレなら「10回×5セット」と「10回×2セット」のプランを用意。すると疲れていても、「とりあえず今日は簡単コースだけやろう」という気持ちを促し、「ゼロ」、つまり失敗体験がグッと減ります。

私は帰宅後のランニングが習慣ですが、トレーナーの私でさえ、疲れて帰った日は「あ~、今日は走りたくないなあ」と思います(このように運動が好きな人でも、「面倒だな」「イヤだな」とあたりまえに感じるものなのです!)。

なので、私自身も、自宅周辺に30分コースと1時間コースのランニングコースを設定しています。

「今から1時間走るのはツラいなあ……」とやる気が起きなくても、「30分ならいけるかな」と思えますし、30分だけ走ったとしても、終わったあとは必ず「あ~、気持ちよかった」「やってよかった!」という気持ちになります。

運動を習慣にするために必要な条件は、「根性」や「忍耐力」ではありません。自分にとって「運動は大事」と認識すること。そして、「次もきっとできる!」という自信(見込み感)です。「半分でもできたのだから、次もきっとできる!」というポジティブな気持ちを大切にして、できることを続けていきましょう!

準備運動は筋肉の温度を上げるため

▶Q:ウォーキングやジョギングをするときに必要なのはどっち?

A:念入りに準備運動をする B:靴だけはきちんとしたものを履く

正解はこっち!B:靴だけはきちんとしたものを履く

■準備運動なんて面倒くさいことはいりません。

「ウォーキングやジョギング前はどんなストレッチをするとよいですか?」とよく質問をされます。

私の答えは、「ストレッチをする必要はありません」。ストレッチを10分間する時間があったら、その分、早くスタートしちゃいましょう。

運動の前に準備運動をする理由は、筋肉の温度を上げる、いわゆる“ウォーミングアップ”のためです。

筋肉は温度が上がると柔軟性が上がり、体が動きやすくなります。ですから、強度の高い運動の前に準備運動を行うとケガの予防になります。でも、多くの人が運動前に行うストレッチは、静的ストレッチという種類で、筋肉を温める効果はありません。

テレビなどで、プロ野球選手が練習前に軽く走る姿を見たことがある方もいると思います。ウォーキングやジョギングは、それ自体がウォーミングアップになる運動です。ですから、ゆっくり歩きだし、徐々にスピードを上げて早歩きやジョギングに移ればOK。運動が終わったら、静的ストレッチをして柔軟性をアップさせましょう。

準備運動という面倒くさい手間がひとつ減ると、継続するハードルもグッと下がりますよ。一方、シューズ選びは大切です。私のおすすめはウォーキング派もランニング派も、ランニングシューズを選ぶこと。なぜなら筋力不足を補う構造や衝撃の吸収などの機能が充実しているので、運動初心者でも快適に歩いたり走ったりできるからです。

ランニングシューズは初心者用から上級者用までとラインナップが幅広く、機能も異なるので、ぜひショップの店員さんに「ウォーキングに使いたい」「これからランニングを始めます」と相談してみてください。自分に合ったレベルのシューズを提案してくれますよ。

また、シューズを購入する際は、必ず試し履きをしてください。

機能も大事ですが、長い時間、長い距離を履きますから「履き心地」はもっと大事。足をいれたときに「あ! 足が包まれている」と感じる一足を選ぶことが失敗しないコツです。

中野ジェームズ修一 PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー 米国スポーツ医学会認定運動生理学士

(※写真はイメージです/PIXTA)