小泉今日子、小林聡美らが出演し、10月2日まで東京のシアタートラム、10月8日~10日に兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールにて上演されるモチロンプロデュース『阿修羅のごとく』より、コメントと場面写真が解禁。さらに、9月14日18時の回のライブ配信も決定した。

【写真】今年デビュー40周年を迎えた小泉今日子

 本作は、数々の話題作ドラマを生み出した昭和を代表する脚本家・向田邦子の『阿修羅のごとく』を、演出・木野花、脚色・倉持裕で舞台化。

 出演は、女優・歌手だけでなくプロデューサーを務めるなど、幅広く創作活動を続けている小泉今日子。数々の映画やドラマに出演し、多くの著書も執筆している小林聡美。映画監督、舞台演出家など、多くのクリエイターに絶大な信頼を得ており、その巧みな演技で人々を魅了する安藤玉恵。女優だけでなく自身で写真集を企画するなどクリエイティブセンスにたける夏帆と、名実ともに豪華なキャストが集結。そして、男性キャストには岩井秀人、山崎一が出演。それぞれ四姉妹の恋人や夫、不倫相手の2役を演じ分ける。

 とある日、三女・滝子(安藤)の、話したいことがあるという連絡により、四姉妹が集まることに。数日前、70歳を迎える父親が愛人らしき人物といるところを目撃した滝子は、興信所に父の身辺調査を依頼した。4人は、母親に知られることなく父に浮気を解消してもらうための作戦を練る。そんな姉妹だが、実は自身の生活にもそれぞれ悩みを抱えていた。長女・綱子(小泉)は仕事先の妻子ある男性と不倫関係に、次女・巻子(小林)は夫の浮気の予感にもやもやした日々を過ごしている。三女・滝子はその堅い潔癖さで男との出会いもなく、四女・咲子(夏帆)はボクサーの彼との不安定な生活に疲弊していた。ままならない現実に、それぞれの業を抱えて正直に生きようとする四姉妹の闘いの日々が、阿修羅のごとく続く…。

 本舞台は舞台を中心に客席が設けられたセンターステージ形式で上演される。解禁された場面写真は、客席に囲まれ凝縮した空間で、“阿修羅のごとく”闘う四姉妹の臨場感に溢れている。

 演出の木野は「『阿修羅のごとく』を舞台化することのプレッシャーを励みに変えて、向田邦子という作家の底知れない怖さと愛情に向き合い、ひたすらに、ガムシャラに稽古してきました。合言葉は『小劇場のごとく』。稽古が進むにつれ、やはり今回はベストキャストだという確信が湧いてきて励みになりました」と激動だった稽古の日々と本作への自信をコメント。

 長女の綱子を演じる小泉は「木野花さんの演出のもと、濃密な稽古を重ねた日々。健全な精神状態を維持しながら学生時代の部活を思い出させる疲労感は爽快でもありました。関わるキャスト、スタッフの意見をちゃんと聞き、良いところは取り入れてくれる演出家とプロデューサー! 真摯に、でも楽しみながら役に取り組む俳優陣! 素敵な夏の日々でした」と稽古の思い出を語った。

 モチロンプロデュース『阿修羅のごとく』は、シアタートラムにて10月2日まで、兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて10月8~10日上演。

 ※演出・キャストコメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

■木野花(演出)

阿修羅のごとく」を舞台化することのプレッシャーを励みに変えて、向田邦子という作家の底知れない怖さと愛情に向き合い、ひたすらに、ガムシャラに稽古してきました。

合言葉は「小劇場のごとく」。稽古が進むにつれ、やはり今回はベストキャストだという確信が湧いてきて励みになりました。頼もしいスタッフに助けられ、美術、照明、音学総動員で、演劇ならではの「阿修羅のごとく」が出来そうだと、喜ぶ間もなくもう初日なんですね。あっという間でした。どうか皆さまも、あっという間の「阿修羅のごとく」を楽しんで頂けたら幸いです。

小泉今日子(長女・綱子役)

木野花さんの演出のもと、濃密な稽古を重ねた日々。健全な精神状態を維持しながら学生時代の部活を思い出させる疲労感は爽快でもありました。関わるキャスト、スタッフの意見をちゃんと聞き、良いところは取り入れてくれる演出家とプロデューサー! 真摯に、でも楽しみながら役に取り組む俳優陣! 素敵な夏の日々でした。そして、私たちの、私たちにしか出来ない『阿修羅のごとく』を作り上げたと思ってます。どうぞお楽しみに!

■小林聡美(次女・巻子役)

それぞれの役者が、それぞれの修羅場をかかえつつも、『阿修羅のごとく』は喜劇だった?と思えるほど、笑った稽古場でした。小泉さんの可憐さと度胸、安藤さんの聖と俗、夏帆さんのど根性と純情、岩井さんの葡萄と肉体改造、山崎さんの柔軟な宇宙。そして木野さんの演劇魂! もう、私の頭は爆発だ! そんな我々のおりなす家族の修羅場を、東西南北から眺め、たんと楽しんでいだだけたら嬉しいです。

■安藤玉恵(三女・滝子役)

脚本が書かれた時代が、セリフではっきりと浮かび上がる、昭和の後半、東京。でもなぜだか言葉遣いに違和感がなく、セリフを発するのが心地よいと感じていました。その時代における男女の価値観を話し合ったり、細かく返し稽古を重ねて、私も三女滝子を見つけることができた、と言いたいところですが…どうかな。臨場感と熱量がいっぱいの、舞台「阿修羅のごとく」楽しみになさってください。

■夏帆(四女・咲子役)

1ヶ月の稽古期間で、心も身体もどんどん鍛えられ、稽古前の自分と比べると、なんだかとても強くなれた気がしています。大試合に向けて、木野さんのパワフルな演出を受けながら、お姉さまたちになんとか食らいつこうと必死に走ってきました。なんにしても、この4姉妹はとても強いです。その強さに飲み込まれぬよう、日々体当たりでぶつかっていきたいと思っております。がんばります!

■岩井秀人(探偵・勝又/四女の恋人・陣内役)

阿修羅のごとく』、いよいよ本番です。引きこもりから「俳優になりたい」とスタートし、何十年か経ち、こうして「生まれながらに俳優」な人たちと過ごさせてもらえる時間は、本当に幸福なものでした。木野さんの演出も、ものすごく知的なのに感情と野性に溢れていて、それでいてやって実際見せてもらうと毎回、稽古場が笑いに包まれました。稽古場で笑っていた時間はもちろん、一転して木野さんや小泉さん、山崎さんが場面場面に考察したことを聞き、静かにみんなで考えていた時間、「もっとやりすぎてみて」って言われてやりすぎた小林さんをみんなでみていた時間、木野さんが笑い方を教えようと近づき、夏帆ちゃんはコロナを気にして距離をとっているうちに、「はっはっはー!」言いながら二人で舞台の周りを半周ぐらい歩いていた時間、安藤さんが木野さんのやってみせた通りに演じて怒られていた時間、そういった豊かな時間の数々が、舞台上に上手く乗り切ることを祈っております。我々も楽しみますので、ぜひ皆様にも、お楽しみいただければと思います。

山崎一(長女の不倫相手・貞治/次女の夫・鷹男)

早替わりを含めて衣装替えが十数回! いや~、何十年ぶりでしょうこんな舞台(笑)! 老体に鞭打って頑張るのみです! どうぞ、袖で着替える役者の格闘も、想像して楽しんでみて下さい!

舞台『阿修羅のごとく』場面写真  撮影:阿部章仁