原巨人の終盤戦の戦い方が厳しくなってきた。「優勝争いの圏外」となったチームは若手に出場機会を与え、来季以降に備えるものだ。

 「クライマックスシリーズ(以下=CS)進出の可能性はまだ消えていませんから」(スポーツ紙記者)
 CSが導入された背景に「消化試合をなくすこと」もあった。Aクラスの3位争いのプレーオフ進出権が懸かれば、最後までベストメンバーで戦わなければならない。

 なのに、原巨人はその「ベストメンバー」がグラつき始めたのだ。

 「クローザーの大勢が心配です。2位DeNAとの3連戦(6~8日)が始まる前は、新人セーブ数の記録を更新させたいとチーム総出で大勢をサポートしていく雰囲気でしたが」(前出・同)

 32セーブ。新人投手がマークした最多セーブ数は「37」。あと、5セーブだ。

 原辰徳監督が大勢の「3連投解禁」を明言したのは、9月5日。しかし、その翌日のDeNA戦で救援に失敗してしまった。8日の同カードで“リベンジ”に成功したが、9日の中日戦でまたもや救援に失敗、「イニング途中で交代を告げられる」屈辱も味わった。

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 投手出身のプロ野球解説者がこう評する。

 「疲れもあると思う。でも、抑えられなくなったのは『相手チームに覚えられたこと』です」

 ここまで、50試合に投げてきた。イニング数もちょうど50回である。つまり、登板数は多いが、相手チームからすれば、まだ対戦していないバッターの方が圧倒的に多かった。また、“1イニングしか投げなかった”ので、データも集められなかった。

 ペナントレースが終盤に差し掛かってくるに従って、対戦チームもようやく対応策が分かってきたというわけだ。

 「新しい変化球を覚えたりするのは、オフの話。今季は配球パターンを変えるしかないと思う」(前出・同)

 これは、大勢が乗り越えなければならない課題でもある。

 当然、守護神に不安要素があるとなれば、巨人の3位争いも厳しくなる。

 「11日の広島戦で中田翔に一発が出たことで、巨人打線には『20本塁打』に到達した選手が5人となりました」(前出・スポーツ紙記者)

 「本塁打20本強×5人」は2007年以来、球団史上4度目の快挙でもある。

 だが、チーム打率は2割4分3厘でリーグワースト。総本塁打148本はリーグ2位だが、「G打線は打てない」の印象が強いのは、好不調の波が大きすぎるからだろう。

 もっとラクな展開で大勢を投げさせてきたら、終盤戦で息切れすることもなかったのでは? 試合前の大勢の周りには、常に先輩選手がいる。「いじられキャラ」だというが、語り口調もソフトで性格も優しそうである。

 「8月以降、同点で迎えた9回以降に大勢を投入する試合も目立つようになりました。1点でも取られたら、サヨナラ負けとなる場面には、勝ちゲームとは異なる緊張感があります」(前出・プロ野球解説者)

 ルーキーは先輩選手だけではなく、メディアやファンにも気を遣うことも多い。相手チームの研究もあるだろうが、ここに来ての息切れは、精神的なものではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)

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