カタールワールドカップ本大会の開幕2か月前に、エクアドル代表が再び追放の危機に晒されているようだ。12日、イギリス紙『デイリー・メール』やスペイン紙『マルカ』などが報じている。

 事態は4月に始まっており、エクアドル代表DFバイロン・カスティージョを巡り、チリサッカー連盟(FFC)が「無数の証拠」と「情報と文書」を元に、同選手は不法移民としてエクアドルに入国したため、出場資格が無いとしてFIFA国際サッカー連盟)に対して告発。ただ、その際に行われた調査では、お咎め無しという形で決着が着いていた。
 
 しかし、今回の報道では、この調査で使用されたカスティージョの国籍証明書や出生証明書がニセモノだったとのこと。『デイリー・メール』はその証拠となる、2018年に行われた捜査官とカスティージョによる取り調べの音声録音を公開。記事にも以下のように、テキストとして伝えられている。

エクアドルの出生証明書には1998年11月10日生まれと記載されているが、「1995年7月25日」に生まれたと「明確に」述べている。

エクアドルの証明書には、「バイロン・ダビド・カスティージョ・セグラ」というフルネームが載っているものの、カスティージョ自身はコロンビアの出生証明書と一致する「バイロン・『ハビエル』・カスティージョ・セグラ」をフルネームとして名乗った。

コロンビアのトゥマコ市を離れ、「サッカーのキャリアを追求するために」エクアドルのサン・ロレンソに向かったと語っている。

・「マルコ・ザンブラーノ」という男が、「新たな書類」と「ニセモノの身分証明書」を提供した責任者と発言。捜査官からは「マルコ・ザンブラーノは、あなたのために全てしてくれたのか?」と問われ、「確かに、彼はあれこれ私を助けるつもりだと言ったよ」と語っている。

 仮にFIFAが判断を覆し、エクアドルのW杯本大会出場権を剥奪した場合には、カスティージョが出場した南米予選の全ての結果が無効となり、0-3の敗戦扱いになる。チリは、予選で2試合ともカスティージョを起用したエクアドルと対戦しており、そこで得た勝ち点は「1」のため、処分が下された場合、勝ち点は「+5」となる計算に。そこから勝ち点は合計で「24」となり、得失点差でペルーを上回る計算となるため、チリはエクアドルに代わるW杯本大会出場を得られると主張している。また、南米予選で5位に入り、大陸間プレーオフでオーストラリアに敗れたペルーも、代替出場の候補国になり得ることも『デイリー・メール』は伝えた。

 本大会2か月前に、まさかの出場国変更という事態が起こるかもしれないFIFAワールドカップカタール2022。果たして、この問題はどのような形で決着を見るのか。

再びエクアドル代表にW杯追放の危機 [写真]=Getty Images