待ちに待ったiPhoneの新型が発売された。私のように即日予約して発売開始初日に入手した人もいるだろう。でも正直、どのモデルを買ったらよいのか、それ以前に今使用しているiPhoneから買い替えた方がよいのか迷っている人もいるはずだ。今回はそんな人たちのために『iPhone 14に買い替えるべきか?』『買い替えるのならどのモデルがよいのか?』を解説していこう。

【画像】さまざまなカラーが用意される最新iPhone 14

●iPhone XR以前の機種のユーザは”買い替え時”

さて、第一の関門が最新のiPhone 14シリーズに買い換えるか否か。そこで考えたいのが、iOS 16の対応機種だ。iPhoneを動かしている基本ソフト(OS)、つまりスマートフォンならAndroid、PCならmacOSやWindowsに相当するのが「iOS」と呼ばれるものだが、従来のiPhoneでもシステムアップデートすると最新のiOS 16が使えるようになる。最新のiOS 16が使えるなら、わざわざiPhone 14シリーズに買い換えなくても、いままでのiPhoneのままでいいという人もいるだろう。しかし、iOS 16はiPhone 8以前のモデルやiPhone SE(第1世代)には対応していない。あまり古いiPhoneだと最新のiOS 16にアップデートできないのだ。
もう1つ、iPhoneが搭載しているプロセッサの問題もある。背景からの対象物の抜き出しやビデオ内のテキスト認識といったiOS 16の新機能は、A12 Bionic以降を搭載したiPhoneでしか使えない。
こうしたiOS 16の対応やプロセッサによる新機能の制限を考えると、iPhone 6や7、初代のiPhone SEだけでなく、XR以前の機種を使っている人には買い替えを強くおすすめする。

そのほかにも24ヶ月割賦でiPhoneを購入して支払いが終わるころだったり、残価設定型24回の分割払いでiPhone返却のタイミングが近づいているなら、これも機種変更するチャンスだ。買い換えのキャンペーンなどがあればそちらも検討して、買い換える方向で進めてはいかがだろう。

それ以外の人は……正直なことを言えば「当人の気持ち次第」だ。まだ機種変更をして1年しか経っていなくても、最新モデルが欲しいなら買い換えよう。iPhone 14シリーズでしか使えない機能もある。最新のiPhoneとiOS 16のすべての新機能を体験したいなら買い換えるしかない。
個人的には、私たちのように仕事で最新モデルを検証する必要がない限り、2年~4年が買い換えのサイクルだと考えている。2年以上使っていればバッテリも消耗してくるし、ハードウェア的にも部品性能がアップしているので、買い換えてもよいタイミングと言えるだろう。

●金利0%の分割払いで購入可能

買い換えることに決まったら、次はどこで購入するかだ。ドコモやau、ソフトバンク楽天モバイルといったキャリアで契約している人は、引き続き同じキャリアで使い続けるか、他社に乗り換えるかの選択肢がある。同じキャリアで継続する場合も、iPhone代金を割賦で支払っていると残金の一括支払いが必要だったりするケースもある。24ヶ月割賦でiPhoneを購入して支払いが終わる場合や、残価設定型24回の分割払いでiPhone返却のタイミングなどさまざまなケースを考えると簡単に答えは出ない。申し訳ないが、ここは各自ケースバイケースで検討してほしい。

ただ、もしキャリア契約から離れてiPhone単体で一括購入するなら、アップルから買い求める方法をおすすめしたい。アップルからの購入だと一括支払いが必要と思われがちだが、最近では金利0%、36回の分割払いで購入して、24か月目に新しいiPhoneにアップグレードすると残りの分割払いが不要になる購入方法も提供しているので、検討してみてはいかがだろう。

●”Pro”も含めて4種類のiPhone 14シリーズ 旧製品も割安

新しいiPhoneの購入方法が決まったら、次はどのモデルにするのか悩むことになる。ここで今回発売された最新iPhoneをおさらいしてみよう。

2022年のiPhoneは「iPhone 14」とナンバリングされたモデルで、大きく分けると通常モデルの「iPhone 14」とプロモデルの「iPhone 14 Pro」の2機種。それぞれに画面の大きい「iPhone 14 Plus」と「iPhone 14 Pro Max」を加え、全部で4つのモデルがある。iPhone 14とiPhone 14 Proどちらもディスプレイサイズは6.1インチ、画面の大きなiPhone 14 PlusとiPhone 14 Pro Maxは6.7インチで、どれもOLED(有機EL)を使ったディスプレイだ。残念なことに昨年のiPhone 13シリーズや一昨年のiPhone 12シリーズにあった5.4インチと小さな画面のminiモデルはなくなった。通常の画面サイズでよいならiPhone 14かiPhone 14 Pro、大きな画面がお好みならiPhone 14 PlusかiPhone 14 Pro Maxを選ぶことになる。画面サイズが異なるだけでiPhone 14とiPhone 14 Plusどちらも機能的には同じ。同様にiPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxも機能面での違いはない。

最新のiPhone 14シリーズから選ぶ以外にも旧モデルを選択する手もある。アップルでは一部の古いモデルを価格を安くすることで継続販売していて、現時点では昨年モデルのiPhone 13とiPhone 13 mini、エントリーモデルのiPhone SE(第3世代)、一昨年のiPhone 12がラインアップに残っている。キャリアによってはそれ以外の旧モデルを販売している場合もあるが、さすがにここまで範囲を広げると解説が大変なので、今回は最新のiPhone 14シリーズの中から選択することにしたい。

●iPhone 14とiPhone 14 Proの違いは”チップ”と”カメラ”

次に考えたいのが、iPhone 14かiPhone 14 Proかの選択だ。5G対応やMagSafeを使ったワイヤレス充電対応、防沫/耐水/防塵などスペックの大半はiPhone 14、iPhone 14 Proとも同じで大きな違いはない。搭載しているチップ(SoC)は14 Proが最新のA16 Bionicで、iPhone 14は前モデルと同じA15 Bionic。この違いが一部の機能差を生んでいる。
ディスプレイに関してはiPhone 14もiPhone 14 Proも高密度のSuper Retina XDRディスプレイを搭載しているが、最大120Hzのリフレッシュレートで表示できる「ProMotionテクノロジー」やスリープ中も表示が消えることのない「常時表示ディスプレイ」はiPhone 14 Proだけ。さらにiPhone 14ではディスプレイの上部、インカメラが配置されている部分が台形のノッチと呼ばれる形状で欠けているが、iPhone 14 Proは楕円形に穴が空いたパンチホールになっている。その楕円形の穴が広がるようなアニメーションで通知やアラート、アクティビティを知らせる「Dynamic Islandダイナミックアイランド)」という新たなユーザインターフェイス(UI)をiPhone 14 Proだけが搭載している。
ディスプレイの最大輝度もiPhone 14が最大輝度800ニト(標準)、ピーク輝度1,200ニト(HDR)なのに対して、iPhone 14 Proは最大輝度1,000ニト(標準)、ピーク輝度1,600ニト(HDR)、ピーク輝度2,000ニト(屋外)と明るい。屋外での画面の見やすさはiPhone 14 Proに軍配があがる。
iPhoneの基本機能に大差はないものの、こうした細かな点に注目すると当然ながらiPhone 14とiPhone 14 Proの違いがだんだん見えてくる。

●iPhone 14とiPhone 14 Proではカメラが大きく異なる

中でも大きく異なるのがカメラ(レンズ)の数だ。見てのとおりiPhone 14はレンズ2つのカメラシステムだが、iPhone 14 Proはレンズ3つのデュアルカメラシステムを搭載している。メイン(広角)と超広角の2つのレンズを搭載している点はiPhone 14とiPhone 14 Proどちらも同じで、さらにiPhone 14 Proには望遠レンズが追加されている。撮影するとき画面をピンチ操作で拡大して、望遠寄りで撮る機会が多いのならiPhone 14 Proがよいだろう。
ズームに関してもiPhone 14が2倍の光学ズームアウト、最大5倍のデジタルズームに対して、iPhone 14 Proは3倍の光学ズームインに2倍の光学ズームアウトの6倍の光学ズームレンジ、最大15倍のデジタルズームとレンジも広い。

一番よく使うであろうメインのレンズで撮影する場合も、センサー解像度が異なる。iPhone 14はセンサーが12Mピクセルだが、iPhone 14 Proだと4倍の48Mピクセルある。といってもiPhone 14 Proでは通常の撮影時、センサー4つのピクセルを1つにまとめて12MPで撮影している。ピクセルをまとめることで暗い場所でも明るく写るように暗所性能を強化しているのだ。さらにセンサー中央部分の12Mピクセルを使ってフル解像度の写真や4Kビデオを撮影できる2倍望遠オプションも加わっている。
ナイトモードはiPhone 14とiPhone 14 Proどちらも使えるが、ナイトモードでポートレイト撮影できるのはiPhone 14 Proだけ。センサーが捉えた映像をそのまま記録するApple ProRAWでの写真撮影もiPhone 14 Proでしか使えない。Apple ProRAWなら48Mピクセルの高解像度が活かせる。

どこまで被写体に近づいて撮れるのかも違いがある。通常、iPhoneのカメラは約10センチぐらいまで被写体に近づいてもピントが合う。ただしそれ以下になるとピントが合わないので、寄った写真を撮りたいときは別途、クローズアップレンズが必要になる。しかしiPhone 14 Proなら2センチまで寄れるマクロ撮影が使えるのだ。iPhoneのみで草花にグッと寄って撮りたいとか、アクセサリなどを超アップで撮影したいならiPhone 14 Proを選ぶしかない。

手ぶれ補正をさらに強力にしたアクションモードはiPhone 14シリーズに共通した新機能だが、最大4K/30fpsのProResビデオ撮影(容量128GBのモデルでは1080p/30fps)ができるのはiPhone 14 Proだけ。スローモーションタイムラプスにも対応したマクロビデオ撮影も写真の時と同様、iPhone 14 Proでしか撮れない。

これまでもそうだったが、iPhoneは新しいモデルが登場するたびカメラ性能を大きくアップさせてきた。今回もiPhone 14 Proのカメラ性能は正直凄い。iPhoneで写真をよく撮る人、カメラ性能を第一に考えたい人ならiPhone 14 Proを選んだ方が後々後悔しないだろう。逆にそこまでカメラ性能に拘らないのならiPhone 14で十分だ。

●画面サイズの好みで選んでもOK

さあ、モデル選びで悩むのもあと少しだ。iPhone 14かiPhone 14 Proかが決まったら、次は画面サイズを決めよう。先にも説明したように通常の画面サイズ(6.1インチ)でよければiPhone 14かiPhone 14 Pro。それより大画面(6.7インチ)が必要ならiPhone 14 PlusかiPhone 14 Pro Maxになる。当然ながら画面サイズが大きくなる分、本体サイズも大きくなるし重量も増す。6.1インチならギリギリ片手で操作できても6.7インチとなるとそうはいかない。持ち方によっては画面の端まで指が届かないので操作性も大きく変わるだろう。
普段、iPhoneをどう持ち歩くのか、ポケットに入れるのか鞄やバッグに入れるのかでも本体サイズの影響は大きい。ただ本体サイズが大きくなる分、バッテリ駆動時間の交渉値は僅かだが伸びる。こうした点も踏まえて画面サイズを決めよう。

また、iPhone 14とiPhone 14 Plusはストレージサイズを128GB、256GB、512GBから選べる。加えてiPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxなら1TBも選択肢に加わる。一番小さい128GBでも支障はないが、アプリをたくさんインストールしたり写真やビデオなどのコンテンツを多く扱うのなら、予算が許す限りより大きな256GBや512GBにしよう。特にiPhone 14 ProやiPhone 14 Pro Maxでしか使えないApple ProRAWで写真を撮るならできるだけストレージは大きい方がよい。ProResビデオ撮影するならなおさら、ストレージが1TBないとまともに撮れないと思ってよいだろう。

本体カラーはiPhone 14 Pro/iPhone 14 Pro Maxが新色のディープパープルとゴールド、シルバー、スペースブラックの4色。一方、iPhone 14/iPhone 14 Plusはブルー、パープルミッドナイト、スターライト、(PRODUCT) REDの5色とカラー展開が異なる。ケースに入れればiPhone本体の色など関係ないと考える人もいるだろうが、裸で使ったりiPhoneのデザインを活かすクリアケースを使う人はカラーセレクトにも悩んで欲しい。

さて、iPhone 14シリーズに買い換えるか、買い換えるとすればどのモデルにするか決まっただろうか。今回の解説が多少なりとも参考になれば幸いだ。
(文:松山茂)

Apple公式WEBサイトより