第42回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞した『ペンギン・ハイウェイ』(18)や、Netflixで配信されると世界30カ国以上で再生回数の多い映画ランキングTOP10に入った『泣きたい私は猫をかぶる』(20)といった話題作を次々と送り出している「スタジオコロリド」から、待望の新作長編アニメーション映画第3弾『雨を告げる漂流団地』が、9月16日(金)にNetflixにて全世界独占配信&日本全国ロードショーとなります。

温かみのあるキャラクターデザインと、生命力溢れる子供らしい動き、そして繊細な心情描写で瑞々しい物語を紡ぎ出すスタジオコロリドが本作で描くのは、少年少女たちのちょっと不思議な初めての別れの旅。ある日、主人公・航祐とその幼馴染みの夏芽、そして同級生らが取り壊し前の団地に忍び込むと、不思議な現象に巻き込まれ、団地ごと大海原へ漂流してしまう。子供たちは最初こそ花火をしたり夏を満喫するが、次第に食料も少なくなってくる。子供たちは、泣いたケンカしたり仲直りしながらも力を合わせ、サバイバルしながら元の世界に戻るために奮闘します。

そして今回、大海原を団地に乗って漂流しサバイバルする少年少女たちの物語に興味を持ったという、サバイバルの達人と呼ばれサバイバル番組などの監修で引っ張りだこであるという方に、お話を伺った。その人物とは、群馬のランボーこと土田貴弘さん(Youtubeチャンネル 群馬のランボーの「サバイバル王国」https://www.youtube.com/channel/UCjwQffZIwfRGFPdyT8udizg/)。元海上自衛官で「テレビチャンピオン 無人島王選手権3時間スペシャル」(テレビ東京)に出場し優勝した実績などから、現在は数多くのテレビ番組などでサバイバル監修を行っており、月の半分以上を無人島や山で過ごす群馬のランボーさんに、サバイバルの達人としての視点で、『雨を告げる漂流団地』を語ってもらいました!

――『雨を告げる漂流団地』を観た感想をお願いします。作品のどういったところが印象的でしたか?

群馬のランボーさん:まず題名が面白いなと思って興味を持ちました。不思議な世界に団地に乗って漂流して迷い込んだっていう話。面白かったです。
子供たちの強くいたいっていう感情や、人間の弱さが見え隠れして描かれていて、最終的にはみんなで助け合う。それはサバイバルではよくあることで、人間は弱いものなので、ちょっとしたきっかけで崩れていく。逆にちょっとしたきっかけで立ち直ることもある。でも、崩れていく方が人間は多いなというのは思っていて。『雨を告げる漂流団地』では主人公・航祐の幼馴染みである夏芽の、強がっていても心の中でどんどん挫けていくような描写がありましたが、それは実際のサバイバルでも起きる出来事だなと思って観ていました。

――子供たちは釣りをしたり、夏芽が偶然持ち込んでいたブタメンを分けあったり、雨水から飲み水を作ったり… 生き延びるため、大海原を漂流する団地でサバイバルします。サバイバルの達人から観て、子供たちのサバイバルスキルはいかがでしたか?

群馬のランボーさん:お菓子やペットボトル飲料を分け合って、助け合っていたのは良かったと思います。その後、食料が少なくなっていって、自分たちで食料を確保しないとと思っていく、危機感を持ち始める描写もあって。危険を承知で別の建物で食料を確保して。サバイバルは、詰め将棋じゃないですが、人数と今ある物が何日後に無くなるかを計算して、後のことを考えてやっていくというのが本質なので。映画ではラッキーなことにデパートなども流れてきましたが、サバイバルでは流れてくるものはラッキーなアイテムであって、確実に食料を確保していかなきゃ生き残れないというのがサバイバルです。なので、残り少ない食料をただ食べるのではなく、その食料を使って、例えばネズミや魚を捕るなど、狩猟しながら生き抜いていかなきゃいけない。なので、釣りをしているシーンは、大したもんだ!と思いました。

――子供と大人では、サバイバルの仕方が違いますか?

群馬のランボーさん:大人は計算しますが、子供は楽しもうとします。作中で花火をするシーンがありましたが、大人として、サバイバル達人としては「あれはダメ」と思いました(笑)。花火は、緊急信号として打ち上げるタイミングがありますよね。なので、屋上にSOSと書いて見張りを続ける航祐くんは、思考が大人に近いのかなと思いました。

――子供たちがブタメンやお菓子を分け合って食べているシーンは印象的ですが、サバイバルに有利な駄菓子はありますか?

群馬のランボーさん:やっぱりチョコレートやキャラメルなど、高カロリーな物があればいいですね。普段は無人島に持って行くことはないですが…。無人島では刺身を食べたいと思ったら、銛を持って海に入って魚を捕って、さばいて食べます。なので、チョコレートなどは持って行かないですが、実はいつも醤油とわさびを持って行っています。本当はサバイバル中に生ものを食べるのは、寄生虫などがいる可能性もあるので、良くないですが。もし、実際に自分が漂流した時には、必ず火を通して食べますね。

――もし、群馬のランボーさんが団地に乗って大海原を漂流するという状況に陥った場合、何日生き延びることができますか?

群馬のランボーさん:生き残る自信はあります!まず、飲み水は海水から蒸留法で確保できます。飲み水を確保する蒸留のついでに塩が取れるので、調味料も確保できる。海があるので魚が捕れる。鳥が飛んでいたので、鳥も捕まえられます。子供たちが駄菓子を食べていたので、駄菓子の包み紙で釣りをしたり、釣れた魚を少し取っておいてそれを餌に鳥をおびき寄せて捕まえて。なんだかんだ生き残ります。

そもそも、山か海のどちらかでサバイバルをするなら、海だと思っています。海の方が食料は多いです。漂流物が流れてきて溜まる場所が必ずあって、使える物も多く流れてきます。山は漂流物がなく、動物も頭がいいので罠をしかけても簡単には捕まりません。テレビや冷蔵庫などの産業廃棄物はあるかもしれないですが、サバイバルでは使えません。なのでそもそもサバイバルするなら海がいいですね。

――もし1人ではなく、あの子供たちと漂流したらどうしますか?

群馬のランボーさん:人数が増えれば増えるほど食料の確保が難しくなりますね。あとは、作中でも描かれていましたが、人間には感情があって、それがサバイバルでは曲者です。1人が口にした言葉に、みんなが引っ張られていく瞬間というのがあります。サバイバルを知っている人間としては、その状況を「そっちの気持ちに行ったら危ない」と分かっても、自分が少数派になってしまうともう止められません。人間の怖いところですね。集団というのは難しいです。また、リーダータイプが数人いる場合も、分裂してしまうので大変です。さらに上を行く強烈なリーダーが1人いるとある程度統制できるので、そういう人がいると良いですね。

無人島にいる時には、「面白い!」と思うようにしていて、口にも出すようにしているのですが、『雨を告げる漂流団地』では前向きで協力的なタイプの譲や太志のようなタイプもいて、あの集団はとてもバランスが良いと思いました。

――団地でのサバイバルと、初めての別れを通して、子供たちが成長していく姿が描かれます。実際に自然の中でサバイバルすると、成長や変化などはあるものでしょうか?

群馬のランボーさん:やっぱりあります。初めは強気で、感情に殻がかぶっているっていうか。でもどんどん危機的状況に陥っていくと必ず本心が出てきます。その中でみんなと助け合って、信頼を得ていく。そうなるとやっぱり人は変わっていきますね。『雨を告げる漂流団地』では、主人公・航祐が最初は1人で屋上にいましたが、俺ならタイミングを見て声をかけます。やっぱり仲間って大事ですよ。

――お好きな“サバイバル作品”を教えてください。

群馬のランボーさん:実は映画はあまり観ないです。観る時は、映画の後半から観て、面白かったら最初に戻って全部観る…というスタイルです。海外のサバイバルする番組は少し観ました。漫画は、サバイバルではないですが、元海上自衛官なので「右向け左!」は面白かったです。あとは「グラップラー刃牙」とか格闘系の漫画は読みます。

――最後に、もし『雨を告げる漂流団地』の子供たちの誰かを弟子にするとしたら?

群馬のランボーさん:やっぱり主人公の航祐ですね。先を見据えているので。あと何日で助けが来るというのが決まっていないのがサバイバルなので、先のことを考えて、どんどん行動していける彼は、サバイバルに向いていると思います!

サバイバルの達人、群馬のランボーさんから見ても、子供たちが団地で繰り広げられるサバイバル生活は「大したもの」!団地での旅とサバイバルを通して経験する“初めての別れ”とは一体?航祐たちは無事に元の場所へ帰ることが出来るのだろうか?スタジオコロリドの最新作『雨を告げる漂流団地』は、9月16日(金)Netflixにて全世界独占配信&日本全国ロードショー。

群馬のランボーの「サバイバル王国」

長編アニメーション映画『雨を告げる漂流団地』
9.16(金) Netflix全世界独占配信&日本全国ロードショー
(C)コロリド・ツインエンジンパートナーズ

出演:田村睦心 瀬戸麻沙美
村瀬歩 山下大輝 小林由美子 水瀬いのり 花澤香菜 島田敏 水樹奈々
監督石田祐康 脚本:森ハヤシ石田祐康
主題歌・挿入歌:ずっと真夜中でいいのに。
企画:ツインエンジン
制作スタジオコロリド
配給:ツインエンジン/ギグリーボックス
製作:コロリド・ツインエンジンパートナーズ

サバイバルの達人“群馬のランボー”に聞く 『雨を告げる漂流団地』の子供たちは「大したもの!」身近な物での生き残り術も