日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部はパリ五輪出場にむけたロードマップを発表し、選手の選考プロセスやパリ五輪出場のための対象大会が明らかとなった。
「現状、日本代表としてパリ五輪に出場する選手は決まっておらず、発表されたロードマップに沿って今後選手の選考が行われていく。」とブレイクダンス本部長のKatsu One(石川 勝之)も語った。

FINEPLAYでは今回発表のあったロードマップから、各対象大会の詳細・代表選手の選考方法を解説!
2024年のパリ五輪にむけて選手はどのように進んでいくのか、どのタイミングで代表選手は決定するのか、まずはこちらの解説を分かりやすく説明します。

PARIS 2024

ワールドゲームズ ブレイキン種目 / Ⓒ公益社団法人日本ダンススポーツ連盟

2024年のパリ五輪にてブレイキンの種目は1対1のバトル形式のフォーマットが採用。世界から男性:16名、女性:16名、合計32名の選手が選出され、パリ五輪でバトルを繰り広げます。 金メダルは男性 / 女性で2つ与えられることになり、開催場所はパリのコンコルド広場 特設ステージで開催されることが既に発表されています。

一か国あたり最大の参加者数は2名が上限となっており、日本人として参加できる最大の枠数は男性:2名 女性:2名の計4名となります。
大会の出場区分に関しては、年齢が2008年12月31日以前に生まれた選手が今大会の対象選手となり、これらの選手は全員「世界連盟WDSF」と「公益社団法人日本ダンススポーツ連盟JDSF」の2つの連盟への選手登録が必要条件です。

パリ五輪 出場選手の選考方法

パリ五輪に参加するには大きく3つの参加ルートがあります。

①世界選手権(2023年)
アジア大会(2023年)
オリンピック・クオリファイヤー・シリーズ・イベント / OQS(2024年)

以上の大会がパリ五輪へ出場するための大会となり、これらについて詳しく説明します。

① 2023年 世界選手権

1つ目は2023年 9月23日から24日の2日間にかけてベルギーで行われる世界選手権です。
この世界選手権の優勝者 男女1名ずつがパリ五輪へ出場が決まります。
2023年 世界選手権には各国から男女2名ずつが参加可能となっているため、日本から参加する最大4名の選手は強化選手から選出されます。

そのため、現在6つのブロックで開催されているブロック選手権・全日本選手権で成績を残して強化選手に選ばれるということが、世界選手権へのルートを切り開くために非常に重要となる。

総じて「世界選手権」という大会は、オリンピックの有無に関係なく1年間の中でWDSF(世界ダンススポーツ連盟)として世界一を決める重要な大会となっています。

※2022年10月に韓国で開催される世界選手権はBreaking for Gold ワールドランキングの対象大会となっており、優勝の結果がパリ五輪出場へ直結するものではありません。

WDSF 世界選手権 2021 フランス / パリ大会

② アジア大会(5大陸各地で開催)

2つ目は2023年の9月から10月に開催されるアジア大会アジア大会は各大陸で開催される大陸予選に位置付けられ、本来は2021年に開催予定だったが2022年に延期となり、更には COVID-19 の影響により2023年への延期が発表されています。

アジア大会の優勝者 男女1名ずつ (5大陸で開催されるため計男女5名ずつ) がパリ大会への出場を決定します日程は2023年 9月24日から10月8日に行われ、中国で開催。現段階の発表では全体の参加者数は合計16名のうち、各国で最大男女2枠の参加が、ワールドランキングの結果によって決まります。

この大会に出場するためには、締め切り時点でのBreaking for Goldのワールドランキング上位にいることが条件となります。これは各国のフェデレーションが派遣する選手を決定するのではなく、ワールドランキング上位に入っている選手からアジア大会への出場権を獲得します。
つまりアジア大会に出場するためには、日本人としてワールドランキング上位2位以内に入っておくことが重要です。

※世界ランキングの締め切り日に関してはJDSF Breakingから発表予定

③ オリンピック・クオリファイヤー・シリーズ・イベント(以下:OQS)

OQSは2024年の3月から6月の間に合計3都市で3大会開催される。このOQSはブレイキン・スケートボード・BMX・スポーツクライミング、これらの競技を複合イベントとして開催予定。
開催地は未定だが、この3大会を通してランキングの上位に入賞する事がOQSを通じてのパリ五輪出場を決めることが出来ます。

OQSでは各国から男子3名・女子3名が出場可能。
この合計6人の選手の選考方法は、締め切り時点までのBreaking for Goldの上位に入っていることが条件となります。このランキングの閉め切りは2023年の12月31日であり、ワールドランキングで上位14位以内 / 国としてのランキングで3位以内に入ることがOQSへの出場条件です。

OQSからパリ五輪へ出場が決まる10名の枠の中において、1名は既にフランスの開催国枠として決まっており、IOCが指定した2か国からユニバ―サリティ枠として2名がパリ五輪へ出場することができる。
そのため実際にOQSからパリ大会に進むことが出来るのは10名のうち7名となります。

つまり2024年3月から6月の中で3大会開催されるOQSに出場し、上位7位以内に入ることでパリ五輪への出場が決まります。

OQSは具体的に誰が出場する?

実際にOQSに出場できる選手は世界各国で合計40名。

この40名の構成要素には上から優先順位が決まっており、以下の条件でOQSの出場選手が決定します。

ベルギー世界選手権 2~6位の選手:計5名

アジア大会 2~4位の3名(5大陸にて開催):計15名

フランスの開催国枠 1名 / ユニバ―サリティ枠 2名 :計3名

④OQSの各大会 開催国枠(3大会 3か国で開催):計3名

Breaking for Gold 世界ランキング上位選手:計14名

2023年世界選手権で日本人選手が優勝した場合は?

2023年ベルギーでの世界選手権 優勝者 1名はパリ五輪への出場が決定します。

仮にベルギーの世界選手権で日本人選手Aが優勝し、次に開催されるアジア大会で日本人選手Bが優勝した場合には
・日本人選手Aはパリ五輪出場が決定
・日本人選手Bはパリ五輪出場にはならずOQSに出場

といった流れになります。

つまり「世界選手権とアジア大会で日本人選手2名がそれぞれ優勝し、2名ともパリ五輪出場が決定することは無い」という事になります。

Breaking For Gold / ワールドランキングについて

最後にBreaking for Goldについて説明します。
ワールドランキングに関しては3つの大会カテゴリーがあり、

1つ目のBreaking for Gold WORLD SERIES

2つ目のBreaking for Gold INTERNATIONAL SERIES

3つ目の『 Breaking for Gold CHALLENGE SERIES 』となっています。

WORLD SERIESは1年間に5回開催され、INTERNATIONAL SERIESCHALLENGE SERIES は年間の開催数は決まっていません。
この大会カテゴリーの違いには「大会の結果に応じて得られるポイントの違い」が大きくあります。WORLD SERIES を一回勝つこととINTERNATIONAL SERIESを2~3回勝つことが、概ね同じ程度のポイント獲得になります。

そのためWORLD SERIES 大会で得られるポイント数が圧倒的に多く、非常に重要な大会に位置付けられます。
2023年の2月24日・25日には北九州市の小倉で「WDSF Breaking for Gold World Series」の開催が決定しています。

来月の2022年10月21~22日には韓国で開催される世界選手権がWORLD SERIESに指定されています。2022年内は各国の参加上限数は無いためJDSFの選手登録及びWDSFの選手登録を終えた選手は誰でも韓国の世界選手権(WORLD SERIES)に参加可能です。
※WORLD SERIESに関して2023年からは各国男女3名ずつの参加となり、北九州大会の出場選手は強化選手からの選考となります。

その他、INTERNATIONAL SERIESCHALLENGE SERIESの大会予定に関しては今後 JDSF BREAKINGのInstagramで発表予定。

CHALLENGE SERIESで何度も優勝すればポイントは貯まっていく?

INTERNATIONAL SERIESCHALLENGE SERIESは誰でも出ることが可能ですが、ポイントの内訳としてはとても小さいのが現実です。
Breaking for Goldにおいて、現時点(2022年9月)ではワールドランキング対象大会の上位成績4つをその選手のポイントとして計算することになります。

仮に10回以上 CHALLENGE SERIES で優勝しても、そのうちの4大会分しかポイントとして加算・反映されません。そのためカテゴリーが上位の大会に出場し、成績を残すことがパリ五輪への選考に向けて非常に重要になルートになります。

Ⓒ公益社団法人日本ダンススポーツ連盟