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(写真:共同通信

目前に迫った安倍晋三元首相(享年67)の国葬。しかし、9月21日には国葬反対派とみられる男性の“焼身自殺”騒動が発生。さらに、23日には「NEWSポストセブン」が国葬の企画演出の入札に参加したのが1社だけだったことについて“出来レース”疑惑を報じるなど、波紋を広げ続けている。

“言い出しっぺ”である岸田文雄首相(65)が国葬の開催を宣言したのは、安倍元首相が亡くなったわずか6日後の7月14日。その後、同月22日の閣議で正式に実施を決定した。

「安倍元首相については生前“モリカケ桜”をめぐる疑惑が報じられただけでなく、死後も昨年9月に統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)の友好団体の集会にビデオメッセージを送るといった親密な関係性も明らかになりました。そのため、世間からは国葬実施に反対する声が相次ぐ事態に。そんななか、国葬の実施を国会を通さず閣議決定のみで決めた岸田首相に対しても、批判が殺到する事態になったのです」(政治部記者)

その結果、岸田政権の支持率は大きく低下。毎日新聞が9月17、18日に実施した世論調査では過去最低の29%を記録。また、FNNが同期間に行った世論調査では国葬について「賛成」とした人は31.5%、「反対」とした人は62.3%で、反対が賛成を大きく上回った。

岸田首相の国葬強行を批判するのは国民だけではない。政治家の政策立案について合理性や妥当性を検討する衆議院法制局と衆院憲法審査会事務局も待ったをかけているのだ。

東京新聞の報道によると、同局らは先月、憲法の趣旨を踏まえると「(国葬実施の)意思決定過程に国会(与党及び野党)が『関与』することが求められていると言えるのではないか」との見解を示していたという。これは、国会での審議を経ず、閣議決定のみで国葬を実施しようとしている岸田首相に疑義を呈した形だ。

さらに、味方であるはずの党内部からも国葬について懐疑的な声が。自民党石破茂元幹事長(65)は9月9日に自身のブログを更新。以下のように自身の考えをつづり、国葬の実施には「国会の議決が必要」であるとの考えを示したのだ。

《「誰を国葬とすべきか」の基準を定めることはまず不可能でしょうが、決定に至るプロセスにおいて「主権者である国民の意思」が表明される、ということが重要です。そしてそれには、憲法上「国権の最高機関」と位置づけられ、全国民を代表する議員によって構成される国会の議決がまず必要でしょう。》

また、自民党の村上誠一郎元行政改革担当相(70)も21日、安倍晋三元首相の国葬への欠席を表明。各メディアによると村上氏は欠席の理由について「反対が多いなか、なぜ強行するのか。安倍氏の名誉になるのかどうか」と述べたという。

■“仲良し”トランプ大統領も、オバマ大統領も参列せず

国内では針のむしろ状態となった安倍元首相の国葬だが、国外からの視線も冷ややかだ。岸田首相は、国葬の実施に当たって再三「弔問外交」の価値を強調。しかし、G7からの首脳級の参列はカナダのトルドー首相のみに。そのうえ、安倍元首相と友好関係を築いてきたといわれているトランプ大統領オバマ大統領らが参列しないことも明らかになった。

「安倍元首相と何度もゴルフをしたトランプ大統領や、すきやばし次郎で酒を酌み交わしたオバマ大統領も参列しないというのは意外な結果です。その程度の関係性だったと思われても仕方ありません。

各国の首脳級が参列しないことについては、日程も問題があります。国葬とほぼ同時期に、ニューヨークで国連総会が開催されるため、わざわざ外交のために日本にくる必要がないのではと指摘されているのです。関係者らはもう少し考えて日程を設定するべきだったのではないでしょうか」(前出・政治部記者)

さらに、9月21日に発生した、霞が関で国葬反対派とみられる男性が体に火をつけてやけどを負った事件は海外でも広く報じられた。ロイター通信やBBC、英国の大手新聞社「The Guardian」などはこの事件を、安倍元首相と統一教会との関係にも触れながら報道している。国外に対しても、安倍元首相が抱えていた“闇”を強調することになったのだ。

岸田首相の勇み足により直前になっても、混迷を極める国葬。国民はおろか自民党内や国外からも批判的な視線をむけられることになってしまった。SNS上では、国葬の強行が。かえって安倍元首相の顔に泥を塗ることになったのではないかとの声が相次いでいる。

《安倍の国葬、決まってから更に顔に泥塗ってるような気がする》
安倍氏の国葬、お金かかって反発されるし、それなりのクラスの弔問者が集まらないと面目も潰れるし、結果安倍氏のイメージ低下をアシストするだけなのでは》
《各国首脳はおろかトランプオバマも来ないとかどんだけ安倍氏に恥をかかせりゃ気が済むのか。》
《安倍さん、何だかかわいそうだな。国葬強行によって国民の半数くらいからヘイト集められてるじゃないか。暗殺された時点では、ここまで嫌われてなかったろうに。》