不動産投資によって安定した資産形成を行うにはどうすればよいのでしょうか。リスク低減と損失のリカバーを両立した新しい投資方法「トライアングル不動産投資」について、その考案者である木村洸士氏の著書『不動産投資は組み合わせが9割: 家賃収入1000万円を最速で叶える トライアングル不動産投資術』から一部抜粋し、理論や具体的な方法を詳しく解説します。

目安は100万〜300万円で表面利回り20%以上

郊外で購入する戸建て物件の価格は、「100万〜300万円」がひとつの目安となります。

もちろん、運用時の利回りや売却益のことを考えると、投資価格は少なければ少ないほど望ましく、安く買えれば表面利回り20%以上も可能となります。あとは、修繕費がどのくらいかかるかによって、具体的な数字が決まってきます。

たとえば、購入価格270万円の物件を家賃5万円で貸し出した場合、年間の家賃収入は60万円になるため、表面利回りは20%を超えてきます。もちろん、どのような修繕をするのかによって実際の数字は変わってくるのですが、物件の比較検討段階ではそこまで考える必要はありません。まずは、表面利回りざっと計算しておけば大丈夫です。

より細かく見ておきたい場合は、たとえばよほど大きな修繕が必要でなければ、100万円をひとつの基準として修繕費を見込み、「270万円+100万円=370万円」の物件として計算しておきましょう。あくまでも概算になりますが、利回りをすぐに計算できるようになると、購入物件の精査が進みやすくなります。重要なのは、イメージをつかむことです。

ちなみに修繕費やリフォームの価格に関しても、経験やテクニック次第で下げることができます。知り合いのリフォーム業者や大工さんに頼むことで、より安価に望ましい条件で修繕を実施してもらえるためです。この点はまさに、不動産投資家としての経験や知見、さらには人脈によって左右されるポイントとなります。

もちろん、そのような経験や人脈がなかったとしても、100万円をベースに修繕費を加味しながら、20%前後の利回りが得られる物件を探していくのが最初のステップです。

物件価格200万円、修繕費100万円、家賃5万円で表面利回りは20%です。これらの数字を目安に、まずは物件の購入を検討してみましょう。

実際に探してみるとわかりますが、100万〜300万円規模の物件は意外にたくさんあります。中にはインターネットの情報サイトなどには掲載されていないものもあり、現地の不動産会社などから情報を得る必要もあります。地域によっては、知人や友人などから紹介してもらえるものもあり、可能性は幅広く存在しています。

いずれにしても、条件に合う戸建てを探すのは難しくありません。中には、100万円以下の物件、それこそ50万円や30万円で購入している人もいるほどです。

もちろんこういった価格の物件は一定の修繕が必要になるため、経験者でないと難しいのですが、そのような物件もあるということは、それだけ魅力的な市場であることが想像できるかと思います。

今、よりよい条件で戸建て投資ができる理由

また価格面だけでなく、条件面でも有利な点があります。それは、積極的に手放したいと考えている人が多い、ということです。

とくに戸建ての場合、居住用として購入(あるいは建築)した人から相続などで受け継いでいるケースが多いのです。そのため、固定資産税や管理の煩雑さから、早く手放したいと考えている人が少なくありません。

とくに近年では、高齢化が進むことによって、「すぐに手放したい」「安くてもいいから売りたい」という人が後を絶ちません。このような動向は、今後もしばらく続いていくと予想されますので、投資初心者の方であっても、希望する物件をより良い条件で購入しやすくなっています。戸建て投資としては、まさにチャンスです。

売りたい人が増えれば増えるほど、交渉もやりやすくなります。急いで現金化したいという人がいれば、相場よりもはるかに安く、良い物件を購入できるかもしれません。もちろん、良い物件は探さなければ見つかりませんが、エリアを決めてじっくりと精査すれば、100万〜300万円程度の戸建てを見つけられるはずです。

戸建てを購入するエリアを見極める

トライアングル不動産投資において要となるのは、最初に購入する戸建て物件ということでした。それも、地方や郊外の物件を狙いつつ、価格交渉を経てできるだけ安く(目安は100〜200万円前後)買うのがポイントで、利回り15〜20%を狙います。

その上でエリアとしての狙い目は、都市部から少し離れた郊外です。

たとえば関東圏であれば、東京駅から電車で1時間ぐらい離れた他県、具体的には神奈川、千葉、埼玉、さらには栃木、群馬、茨城、静岡なども含まれます。もちろん、関東以外でも同様です。それらのうち、「どこまでが郊外エリアになるのか」を検討し、狙う地域を特定していきます。

たとえば、もし栃木を狙うのであれば、その中での都市部は「宇都宮」となります。ですので、宇都宮のど真ん中で購入するのは避け、そこから離れたエリアを探すのが基本です。このとき、宇都宮からどのくらい離れればどう価格や需要が変わるのかを、不動産業者などにヒアリングして調べるようにしてください。

実際に物件を検索してみると、物件数や価格帯などから、エリアごとの違いが分かることも多いのです。

また、自ら足を運んでみることで、「ここで買っていいだろうか」「需要はあるだろうか」など、最終的な意思決定の参考になる情報も得られます。その際には、近隣のエリアをチェックして、いくつかの物件をピックアップしておくといいでしょう。

同じエリア内で複数の優良物件が見つかったら、見込みがあると考えられます。グーグルマップや現地を見て、「どんな人が住んでいるのか」「どのように生活をしているのか」「買い物や移動はどうしているか」などを確認してみましょう。

土地勘がなくても構いません。あくまでも、現地での生活をイメージできるかどうかが大事です。

馴染みのないエリアでも物件を探すメリット

馴染みのないエリアで物件を探す場合、「その土地のことをよく知らないので」と、不安になる方も多いのです。そのため、知っている地域やエリアに限定してしまうことが多いのですが、それでは可能性が狭まってしまいます。

たとえ知らない土地であっても、そのエリアで人々が生活できていると判断できたなら、投資適格性があると判断して問題ありません。

このように、不動産業者へのヒアリング現地調査という2つの方法を駆使すれば、具体的なイメージがわいてきます。そのエリアに戸建ての需要があるかどうか、供給はどうなっているのか、あるいは投資適格性があるかどうかも判断できるでしょう。たとえその地域に住んだことがなくても、投資することは可能なのです。

見方を変えると、自らの土地勘や居住実績を重視している不動産投資家が多いために、見逃されているエリアがまだたくさんあるとも考えられます。

繰り返しになりますが、その地域に縁がなくても、自分が住むわけではないのでまったく問題ありません。大切なのは、きちんと入居者を獲得でき、安定的に運営できるかどうかです。もともと賃貸で出されている戸建て自体が少なく、ライバルは限られているため、それほどシビアに見なくても大丈夫です。

単純に、一定の需要があればよく、現地の不動産業者に聞いてみればすぐに分かります。学校や商業施設、病院などがきちんとあり、一定数の人が住んでいる地域であれば、前向きに検討できるかと思います。

あとは、購入した物件を売却する場合のことも考えておきましょう。戸建ては、賃貸に出すことで家賃収入を得られることに加え、次の物件をローンで購入する場合の共同担保、あるいは売却して売却益を得られるなど、複数の活用が可能です。

これらの活用方法を見越して、エリアの選定を進めていけば無駄がありません。

■戸建ての活用方法まとめ

  1. 貸し続ける(家賃収入[インカムゲイン]を得る)
  2. 共同担保として活用する
  3. 売却する(売却益[キャピタルゲイン]を得る)

木村 洸士

さくらいふ株式会社

代表取締役

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(※写真はイメージです/PIXTA)