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 プログラムで動作するAI(人工知能)といえど、それが人間の意識や概念を反映している以上、恐怖や闇から逃れることはできない。AIは我々にそのことを忘れるなとでも言いたいのだろうか?

 文字を入力するだけで画像を自動生成できるAIが生み出した不気味な謎の女性「Loab(ローブ)」は、いつまでも消えることなく、繰り返し現れるという。

 ローブは別の領域からやってきたデジタル悪魔なのだろうか?まるでAIがこの女性に取り憑かれたかのように見える。

【画像】 ローブ誕生のきっかけ

 「DALL・E(E2) 」「Midjourney」「Stable Diffusion」といった画像生成AIのおかげで、今や誰でもちょっとした文章を入力するだけで、本格的な画像を作れるようになった。

 スウェーデンのAIアーティスト Supercomposite(スーパーコンポジット)氏もまた、そうしたAIを作品作りに利用している。

 そんな同氏は2022年4月のある日、とあるAI(詳細は公開されていない)に少々特殊な方法を試していたのだという。

 その方法とは「負の重み付け」というものだ。これはAIに、入力された文字からできるだけ意味の違う画像を生成するよう命じる方法だ。

 スーパーコンポジット氏がAIに与えたのは、「Brando::-1」(俳優のマーロン・ブランドのこと)という単語だ。はたして、マーロン・ブランドの正反対の意味とは何だろうか?

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 AIが導き出した答えは、摩天楼のシルエットに「DIGITA PNTICS」という文字が入ったロゴであった。

 「不思議だった」とスーパーコンポジット氏は述べている。一体なぜ、マーロン・ブランドの反対が摩天楼のシルエットになるのだろうか?

 この奇妙な結果に興味を抱いた同氏は、今度は摩天楼のロゴの反対を調べてみることにした。

 そこで今度は「DIGITA PNTICS skyline logo::-1」と入力してみた。すると恐ろしげな年配の女性らしき顔が浮かび上がってきたのだ。

 こうしてLoab(ローブ)は誕生した。

消えることなく無限に増殖するローブ

 ローブはそれだけでも、不穏な雰囲気を漂わせている。だが、その本当の恐怖はローブが粘着質なところにあるだろう。

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 ローブを他の画像と組み合わせて新たな画像を生成しようとしても、なぜかローブの面影が消えないのだ。

 やればやるほど悪夢のような画像が、まるで増殖するかのようにどんどん吐き出される。

 オリジナルの画像を使わなくてもローブが消えないというのだから、まるでこの女性の怨念が遺伝子に組み込まれたかのようだ。

 スーパーコンポジット氏は、「この女には、AIが知る世界に内在するきわめてグロテスクで不気味なイメージに近い何かがあるようだ」と説明する。

 一体なぜAIはローブを繰り返し生成し続けるのだろうか? もしかしたらローブは、私たちの心の奥深くに内在する根源的な恐怖を反映したものなのかもしれない。

 AIがそれを掬い上げて、あえて私たちに見せつけているのだとしたら、それはそれで恐怖だ。

 Loab(ローブ)存在は持続的で、彼女が触れるすべてのイメージに付きまとうという。

References:Who Is the Woman Haunting A.I.-Generated Art? / Meet ‘Loab,’ the Latest Example of A.I.-Generated Art Creeping Out the Internet (Sorry in Advance for the Nightmares) | Artnet News / written by hiroching / edited by / parumo

 
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デジタルの悪魔か?AI生成画像に繰り返し現れる不気味な謎の女性「Loab(ローブ)」