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 流行の服を着たいという消費者の要望に応えて、短いサイクルで低価格の衣類を販売する「ファストファッション」業界は、この15年で生産量と消費量が倍増している。

 そして売れ残ったり不要となった年間推定3万9000トンにもおよぶ衣類は、南米チリにあるアタカマ砂漠に毎年廃棄されていくという。

 砂漠を覆うように広がる大量の衣類の山。このファストファッションの墓場が、近年深刻な環境汚染を引き起こしており、問題視されている。

【画像】 ファストファッションの墓場となったチリのアタカマ砂漠

The fast fashion graveyard in Chile's Atacama Desert - BBC News

 アンデス山脈と太平洋の間に位置するチリの海岸砂漠「アタカマ砂漠」には、世界中から集められたファストファッション業界の不要の衣類が山積みになっている。

 南米で最大の古着輸入国となっているチリでは、毎年北部アルトオスピシオにあるイキケ港(外国貨物に関税を課さない商港)に約6万トンの衣料品が到着する。

 その一部は1800km離れた首都サンティアゴからの衣料品業者に買い取られ、残る多くは他の中南米諸国での再販を目的として密輸出される。

 だが、実際に流通するのはわずか2万トン(15%)だ。売れ残った衣類の全て(85%)は、アタカマ砂漠に廃棄される。

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 流行の服を大量生産し、短いサイクルで販売するには、コストの安いポリエステル生地が多く使用される。砂漠に廃棄されたほとんどの多くは、生分解に200年はかかるとされている劣化の遅いポリエステルだ。

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 このポリエステルが、砂漠に積み上げられて毒素を発生し、深刻な環境災害を引き起こしている。

 砂漠の近くには住居があり、人々が暮らしている。衣類の廃棄や燃焼により引き起こされる環境汚染は、地域の住民らへの健康を大きく脅かしている。

 現時点での唯一の解決法は、廃棄された衣類を燃やすことだ。しかし、これも大量の煙を発するため全く解決にはならない。

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世界で2番目に汚染度の高いファッション業界

 欧州経済員会の報告を伝えているメディアによると、ファッション業界は世界で2番目に汚染度の高い業界であり、航空・海運業界を合わせたエネルギー消費量をも上回っているという。

 短いサイクルでの大量生産が、世界の二酸化炭素排出量の8~10%を占めているのだ。

 チリの砂漠に積み上げられた毒素を発している不要の衣類が、深刻な環境災害を引き起こしていることは周知されていても、その解決法は決して容易ではない。

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 チリの地域環境当局の職員は、このように述べている。

環境が受ける打撃について、人々が意識を持つことが大切です。すぐに手放すようなものではなく、質の高い衣類を購入することです。消費者だけでなく、生産者も同様の変化が必要です。

 新たなチリの法律では、輸入業者は衣類の廃棄に責任を持つ義務が求められているという。しかし、それだけでは全てをコントロールすることは不可能だ。

 不法な廃棄が続けられている限り、チリの砂漠には今日も有毒な衣類の山が広がっている。

written by Scarlet / edited by parumo

 
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砂漠を侵食していく大量の衣類。ファストファッションの墓場