注文した料理の受け取りや食器の返却などを客自身が行う、いわゆる「セルフサービス」の飲食店があります。主に立ち食いそば店やショッピングセンターのフードコート(飲食店街)内の店舗がこのシステムを導入していますが、近年、牛丼チェーンもセルフサービスの導入店舗を増やしています。

 なぜ牛丼チェーンがセルフサービスを導入するようになったのでしょうか。また、セルフサービスの導入には、どのような効果があるのでしょうか。牛丼チェーン「松屋」を運営する、松屋フーズホールディングス(東京都武蔵野市)の広報担当者に聞きました。

販売促進が高頻度で実施できるように

Q.そもそも、松屋でセルフサービスの導入を始めたのは、いつ頃でしょうか。理由も含めて、教えてください。

担当者「2017年にセルフサービスの導入を始めました。労働人口が減少していく中、少ない人数でより効率的に店舗を運営するためです」

Q.現在、松屋全店でセルフサービスを導入しているのでしょうか。それとも、導入していない店舗もあるのでしょうか。

担当者「まだセルフサービスを導入していない店舗もありますが、中には店舗の広さなどの関係で導入が難しいケースもあります。導入が可能な店舗については、順次セルフサービス向けの改装を進める予定です」

Q.セルフサービスの導入で、どのような効果があったのでしょうか。また、導入による課題はないのでしょうか。

担当者「従業員の初期教育にかかる時間が短縮され、労働環境が大幅に良くなっています。また、生産性が向上したことにより、お客さまへの還元につながる販売促進が高頻度で実施できるようになりました。

課題としては、フルサービス(従業員が注文受け付けや配膳などを担当する形式)では必然的に気付くことができていた、客席へのケアがおろそかになる傾向があります」

Q.セルフサービスについて、客からどのような意見が寄せられていますか。

担当者「コロナ禍において、従業員との接点を極力少なくしたセルフスタイルは、一定の評価を得ていると思います。

例えば、『コロナ対策を考えた店内のデザイン、券売機の支払い方法の充実ぶり、セルフサービス仕様に感動しました』『松屋のタッチパネル注文&セルフ受け取り、ほとんど人と話さなくていいので快適』といったポジティブな意見を頂いている一方で、『(店員が)一言も発さないので、なんだか寂しい』など、フルサービスではなくなったことを惜しむ声も上がっています」

オトナンサー編集部

セルフサービスの導入店舗(松屋フーズホールディングス提供)