北海道にある国道12号滝川市~美唄市間には「日本一長い直線区間」が存在します。その距離は29.2km。なぜこのような道路が出来たのでしょうか。実際に走ってみました。

まっっっすぐ、だけどスムーズじゃないところも

北海道札幌市旭川市を結ぶ、全長約140kmの国道12号。この国道のうち、道央に位置する滝川市・新町と美唄市・光珠内跨線橋を結ぶ区間に「日本一長い直線区間」が存在します。その長さは29.2km。東京駅から横浜の市街地を直線で結んだ距離に相当します。実際にこの道を走ってきました。

「日本一長い直線区間」はほぼ南北方向に伸びており、それぞれの終着地点には、「直線道路日本一」と掲げられた記念碑が掲げられています。ただ、北端の滝川市側と南端の美唄市側では、記念碑周辺の街の様子は対象的です。滝川市側は周辺にショッピングモールなどが並んでいる繁華街であるのに対し、美唄市側は工場や会社が立ち並ぶ程度で、決して栄えているとはいえません。

この区間は片道2車線がスタンダードとなっており、滝川市→美唄市をノンストップで走行すると所要時間は約40分。折り返して、復路は途中2地点ほどで停車し道路などの撮影をはさみ、美唄市→滝川市を走行したさいの所要時間は約1時間弱といったところでした。

「日本一長い直線道路」は3市1町をまたがっており、途中、鉄道(JR函館本線)と並走します。たとえば砂川駅周辺など、駅前の繁華街となっているところもあり、こういった場所では、数10mおきに信号が設置されているエリアもあります。直線道路ではあるものの、ずっとスムーズに走れるわけではない、というのもこの道の一面です。

中間点で見つけた「日本一長い直線道路」誕生経緯

国道12号線「日本一長い直線道路」の中間点は、奈井江町にあります。ここにも中間点を示す記念碑が掲げられており、それに隣接するように道の駅「ハウスヤルビ奈井江」があります。ここには、北海道開発局による「日本一長い直線道路」ができるまでの経緯が記されていました。

国道12号は、通称「上川道路」を前身とします。この道路は当時の市来知(現三笠市)から空知太(現滝川市)を経て、忠別太(現旭川市)に至る全長22里15町(87.9km)余りの路線として、1886年に開通。その後1890年、樺戸監獄署の囚人らの手により道幅が最狭4間(7.2m)から最広5間(9.0m)の道路として完成しましたが、その作業は過酷を極めたそうです。こうしたことから、国道12号は「囚人道路」とも称されます。「上川道路」は1920年に国道化され、1965年には、現在の一般国道12号となったそうです。

同町の説明資料によると、明治時代の公文書「上川道路工事復命書」に、「『上川道路』は、できるだけ直線道路とするよう実測せよ」といった趣旨の記載がされていたとのこと。この「日本一の直線道路」の誕生は、この当時の「上川道路の作り方」に起因しているといえそうです。

国道12号(乗りものニュース編集部撮影)。