銃撃を受けて亡くなった安倍晋三元首相の国葬が本日27日、日本武道館にて営まれる。
ネット上では、先の台風15号の影響を大きく受けた静岡県の復旧よりも「国葬を優先している」と疑問の声が寄せられているが、同様にこちらの意見にもツッコミの声が多数上がっていたのだ。
■静岡県の現状は…
台風15号の影響を受け、23日夜間より静岡では猛烈な雨が降り続いていた。記録的な雨による土砂崩れや断水が発生し、県内では25日までに死者・行方不明者3名、負傷者が3名にのぼる事態に。
また、静岡市清水区内の6割にあたる6万3千戸などで大規模な断水が続き、26日正午時点では復旧の目処が立っていない。最大12万戸にのぼった大規模停電の影響も大きく、市内を中心に学校や保育施設などの臨時休校が相次いでいる。
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■ついに自衛隊が動く
#第34普通科連隊 は本日9月26日、台風15号の影響により断水が続く静岡市に向け、県の要請に基づき給水支援等のため部隊を派遣しました。#板妻駐屯地 #34普連 pic.twitter.com/CMTWGpyCuA
— 陸上自衛隊 板妻駐屯地【公式】 (@JGSDF_ITAZUMA) September 26, 2022
そうした状況を受け、同県御殿場市に位置する「陸上自衛隊 板妻駐屯地」のツイッターアカウントは26日14時ごろ、「第34普通科連隊は本日9月26日、台風15号の影響により断水が続く静岡市に向け、県の要請に基づき給水支援等のため部隊を派遣しました」と綴ったツイートを投稿。
ツイートには災害派遣に向かう車両を収めた写真が添えられており、「なんて頼もしいんだろう。ありがとうございます!」「自衛隊の皆さん、よろしくお願いします」など、現地の人々からの感謝のリプライが多数寄せられていたのが印象的であった。
しかし一方で「26日からの派遣では遅すぎる」「自衛隊は国葬に参加するのでなく、全員静岡に向かうべき」といった指摘も少なくなく、中には「国葬よりも静岡救済」というハッシュタグを添え、「静岡市への災害派遣が遅れたのは国葬のせいだ」という声を上げるツイッターユーザーも散見されたのだ。
なお、こちらの主張にはいわゆる「ツッコミどころ」が満載であり…。
■「災害要請」までの舞台裏は…
今回注目したいのは「災害派遣要請のフロー」と「要請を受けてから自衛隊が動き出すまでの時間」の2点である。
3連休中、ニュースおよびネット上で静岡市の過酷な状況を捉えた映像を目の当たりにし、26日の午後から行動を始めた自衛隊の動きが「遅すぎる」と感じた人もいることだろう。
しかし災害派遣要請には様々なフローが必要となっており、災害が発生したから直ちに自衛隊を現地に送り込む…というワケにはいかないのだ。
「陸上自衛隊」公式サイトでは、災害派遣の概要を「陸上自衛隊は、国内における地震・風水害・火山噴火・雪害などの自然災害や火災・海難・航空機事故などの際の救助、山などでの遭難者救出などの『災害派遣』に携わり、国民の生命や財産の保護に寄与しています」と定義。
そして災害発生から派遣までの流れについて、まずは「市区町村長による災害派遣要請の要求」がトリガーとなり、その後は都道府県知事等の要請に基づいて施行されると綴っている。
台風15号による被害に対する自衛隊の派遣要請についてhttps://t.co/FuqF77kcME
— 静岡県 防災 (@shizuoka_bousai) September 26, 2022
今回、静岡県の川勝平太知事より災害派遣要請が行なわれたのが26日10時25分のことであり、その数時間後には板妻駐屯地が災害派遣を実施していることを考慮すると、自衛隊の行動は非常に迅速であるといえるのだ。
■国葬とは無関係の災害派遣
#静岡県 災害対策課との応答
私「自衛隊に災害派遣要請をしましたか」
静岡県「知事が自衛隊に災害派遣要請するかどうかは,これから会議。会議の時間は決まっていない」「風呂はない」「(何戸断水)
詳細状況は静岡市に聞いて下さい」— 山下俊輔(山下しゅんすけ)@愛知県知事選挙 立候補予定者 (@yamap888) September 25, 2022
こうした背景を知っている人物らは「台風から災害派遣までのタイムラグ」と、本日行なわれる「国葬」には何ら関係がないことを認知しており、「国葬よりも静岡救済」の声を上げる人々らにツッコミを寄せているのだ。
今回の国葬に疑問を感じていたとしても、その思いを全く関係ない事象に伝播させ、自衛隊を非難するのは筋違いというものだろう。
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