飛行機の機内において客室乗務員への暴言や暴力はこれまで何度も報じられてきたが、このほどアメリカン航空の機内でコーヒーを頼んだ乗客の男が待つように言われた後、客室乗務員を背後から殴りつけた。『New York Post』『Heavy.com』などが伝えている。

メキシコのサン・ホセ・デル・カボから米ロサンゼルスに向かうアメリカン航空377便の機内で今月21日、カリフォルニア州オレンジ郡ウェストミンスター出身のアレクサンダー・トゥング・クー・リ(Alexander Tung Cuu Le、33)が客室乗務員(CA)を殴ったことで逮捕された。

米司法省の公式ウェブサイトに掲載されたニュースリリースによると、同機では離陸してから約20分後に軽食と飲み物の提供が始まった。その最中にアレクサンダーは席を離れ、CAの左肩を背後から掴むとコーヒーを頼んだが、CAから待つように言われたそうだ。

そして数分後、アレクサンダーがそのCAの両肩を後ろから掴み、驚いたCAは片手をあげて身構える一幕があった。さらにアレクサンダーは自分の席を離れて、ファーストクラス近くの空いている通路側の席に座っていた。

そんなアレクサンダーに今度は別の男性CAが「自分の席に戻るように」と伝えたところ、彼は席を立って両手で握りこぶしを作り、戦うような姿勢を見せた。男性CAは「私を脅すつもりですか?」と言った後、アレクサンダーの行動について機長に報告するため機内前方へ向かった。するとアレクサンダーは追いかけて拳を振り上げると、背後から男性CAの頭を思いきり殴りつけたのだ。

その瞬間、乗客からは悲鳴があがり、男性CAは殴られた衝撃で前のめりに倒れそうになった。アレクサンダーは周りの乗客に取り押さえられ、CAらによって別の席に移動させられた。そして手錠がかけられ、身動きができないように席に縛り付けられたという。

同便の乗客が撮影した動画には、男性CAの背後に近寄って拳を振り上げるアレクサンダーの姿が映っており、動画を見た人々を驚愕させた。のちにアレクサンダーは、到着したロサンゼルス国際空港で待ち構えていた空港警察によって逮捕され、連行された。今回の騒ぎについて、アメリカン航空は次のような声明を発表している。

「この乗客が当社の飛行機で旅をすることは、今後決して許されることはないでしょう。現在、私たちは捜査当局と共に密接に協力し合いながら調査を進めて行く所存です。」

「乗務員の皆さんの迅速な行動と他のメンバーやお客様の安全を守るための彼らのプロ意識に感謝しています。私たちの思いは被害にあったCAと共にあり、彼と仲間の乗務員がこの時期に必要とするサポートを受けられるよう対応をしています。」

『New York Post』によると、殴られた男性CAは幸いにも致命傷となるような怪我ではなかったそうだ。一方でアレクサンダーは、騒ぎを起こす前に「この機内には10人の殺人者がいる」と奇妙な言葉を発していたことが分かっている。そしてアレクサンダーは22日の午後、アメリカ合衆国連邦地方裁判所に初出廷した。もし有罪判決を受けた場合、彼は連邦刑務所に収容され、最長で20年の刑に服すことになる。

画像は『Saad Mohseni 2022年9月22日付Twitter「Violence in the air: a friend was travelling from Cabo to LAX」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

海外セレブ・芸能のオンリーワンニュースならテックインサイト