雇用形態はさまざまですが、給与を手にしている人は日本に約6,000万人。思いの強さは人によって異なりますが、誰もが「高給取り」への憧れがあるでしょう。しかし頑張って「高給取り」になったとしても、手放しで喜べるわけではなく、当事者からは落胆の声が多く聞かれます。みていきましょう。

大卒・正社員の平均給与571万円…1,000万円を超える勝ち組は?

自分は自分……と言い聞かせるものの、やはり周囲は気になるもの。会社員であれば、自身の立ち位置を確認するうえでも、他の人の給与は気にならないと言えばウソになるでしょう。特に同期入社など、スタートラインが同じ人とは、妙なライバル心を持ちがちです。

たとえば、男性・正社員の平均年収は推定571万1,100円。年齢別にみていくと、30代前半なら500万円弱、40代前半で600万円弱、50代前半で700万円弱……これを上回っていれば「平均以上」となり、胸をなでおろすところでしょうか。

さらに大学卒に限ると、30代前半では平均値プラス30万円、40代前半で平均値プラス80万円、50代前半では平均値プラス150万円ほど年収が高くなります。

【男性・正社員「推定年収」の推移】

20~24歳:3,400,800:円/:3,415,500円

25~29歳:4,284,900:円/:4,518,400円

30~34歳:4,988,200:円/:5,335,200円

35~39歳:5,602,500:円/:6,252,200円

40~44歳:6,060,200:円/:6,844,800円

45~49歳:6,428,300:円/:7,480,400円

50~54歳:6,926,900:円/:8,418,800円

55~59歳:6,949,000:円/:8,334,000円

60~64歳:5,299,500:円/:6,497,600円

出所:厚生労働省令和3年賃金構造基本統計調査』より算出

※数値左:男性・正社員の推定年収、右:男性・大卒・正社員の推定年収

また給与分布をみていくと、大卒・正社員の給与の中央値は34万3,600円、年収は推定535万円ほど。年収800万円を超えるのは20.7%、年収1,000万円を超えるのは11.5%。大卒・正社員の10人に1人という割合に。大台に乗れば、「自分は勝ち組」といった自信も出てくるでしょうか。さらに年収1,200万円を超えるのは6.1%。会社員のなかでもひと握りだけになります。

年収1,000万円…所得税で170万円が天引きされる

年収1,000万円超えの勝ち組といえる会社員。給与分布からみれば確かに上位10%の勝ち組かもしれませんが、当の本人からはそんな余裕は感じられません。彼らから聞こえてくるのは、大きなため息。

——手取りにすると、これだけかぁ

そんな嘆きの一番の要因は所得税。1年間の個人が得た収入に対して課せられる税金で「課税所得金額×所得税率マイナス税額控除などの控除額」で計算されるものです。所得税で採用されているのは、所得が多くなるほど所得税率が高くなる「超過累進課税」。所得税率は、5%、10%、20%、23%、33%、40%、45%と、7段階に区分されています。

【課税される所得金額と所得税率】

1,000円~194万9,000円:5%(0円)

195万円~329万9,000円:10%(97,500円)

330万円~694万9,000円:20%(427,500円)

695万円~899万9,000円:23%(636,000円)

900万円~1,799万9,000円:33%(1,536,000円)

1,800万円~3,999万9,000円:40%(2,796,000円)

4,000万円~:45%(4,796,000円)

出所:国税庁No.2260 所得税の税率」

年収1,000万円であれば「1,000万円×0.33-153万6,000円」と、170万円強が所得税として引かれます。さらに住民税や社会保険料、厚生年金保険料、40代であれば介護保険料も給与から天引きされます。年収1,000万円であれば、手取り722万円ほど。給与から280万円弱、引かれることになります。

給与が増えれば増えるほど、「そんなに天引きされているんだ……」と実感する、日本の会社員。会社員だとあまり税金対策という意識はないかもしれませんが、高給取りになれば対策による効果は大きくなるので考えておきたいもの。

会社員の税金対策としてメジャーなのは、「NISA」や「iDeCo」、「ふるさと納税」。また「住宅ローン控除」や「生命保険料控除」、「医療費控除」など、各種控除もしっかりと活用しておきたいものです。どれも劇的に税金対策になる、というものではありませんが、活用する人と活用しない人の差は明確。手取り額をみたときのため息は、少しですが小さくなるはずです。

(※写真はイメージです/PIXTA)