『線は、僕を描く』完成披露試写会が9月27日に都内で行われ横浜流星清原果耶、細田佳央太、江口洋介三浦友和、小泉徳宏監督が登壇した。

本作は、2020年「本屋大賞」3位、2019年TBS『王様のブランチ』BOOK大賞を受賞した砥上裕將の青春芸術小説を実写化した人間ドラマ。『ちはやふる』を青春映画の金字塔に仕立て上げた小泉徳宏監督をはじめ、制作チームが再結集する。

墨画を学び、その世界に魅了されていく主人公の青山霜介を横浜流星、霜介と出会いライバル心を抱くようになる篠田千瑛を清原果耶が演じる。そのほか、細田佳央太、河合優実といったネクストブレイク必至な若手俳優も出演。さらに富田靖子、江口洋介三浦友和ら日本を代表する実力派も脇を固めた。



と黒のみで描かれる水墨画を色鮮やかな世界としてまばゆいほど瑞々しく描き出した本作。

完成披露試写会ではまず「瞬間の芸術」と呼ばれる水墨画に初挑戦した横浜が「約1年間、向き合う時間をいただきました。水墨画には正解がなく、自分の感情や内面が映し出されるので、自然と自分と向き合うことができ、本当に大切な時間を過ごすことができました」と撮影を振り返る。

清原は「千瑛という役なので、水墨画を完璧に突き詰めなきゃいけないと思っていたのですが、(練習しているうちに)水墨画って失敗がないので、とっても親しみやすく、誰でも始めやすいものだと気づくことができて嬉しかったです」と話すと、細田も「小林東雲先生も分かりやすく教えてくれましたが、同じようにはできないんですよ。『なんでできないんだろう?』って思うのですが、これが魅力なのかなと思えるくらい、水墨画に触れることができて嬉しかったです」と笑顔を見せた。

江口は「水墨画って同じものがない世界。この映画は水墨画という静かな世界をエンタテインメントな世界に描いているので、今日来てくださった半分以上は筆を買って帰ると思います(笑)」とコメントし場内から笑いを誘った。

三浦は「私は篠田湖山という日本を代表する水墨画の先生の役を演じました。まさに小林東雲先生のような。その先生も今日で映画を観るのが6回目らしいんですよ(笑)。でもそれくらい、水墨画の魅力を伝えられる映画になっています」と太鼓判。

小泉監督は「競技かるた」に続き「水墨画」の世界を描いたことについて「日本に芸術を扱った映画は沢山ありますが、水墨画を描いた映画はなかったかと思います。日本人である自分が(水墨画をテーマに)やる意味があるなと思ったんですけど、物語に落とし込むことが難しいことに気づいて後悔しました」と率直に語る。

さらに「それでも、キャストのみんなが熱心に練習をしてくれたので、水墨画の魅力が伝わるものになったと思います」と制作の苦労とチーム一丸となって作りあげた作品への熱意を明かした。

完成した映画を観た感想を横浜は「監督は難しかったと仰ってましたけど、水墨画をエンターテイメントダイナミックに描いていたので、心が掴まれました。皆さんにも楽しく水墨画の魅力をお伝えできると感じました」と話し、続いて「霜介の周りにいる人の言葉が印象的で背中を押してくれるような言葉ばかりで、温かく爽快で清々しい気持ちにもなれました。色んな気持ちにさせてくれる映画です」と感想を伝えた。

対して清原は「全部が私を通り抜けていくような爽快感がありました。みんな頑張って生きていて、出会いによって成長していく姿に元気をもらえました」とコメント。細田は「白と黒だけで作られた世界に感動しました。映画に飲み込まれていきました」と話す。

江口は「台本と原作を読んで、良い言葉が沢山あるなという印象。気持ちを揺さぶられて力強さを感じました」とし、三浦は「素直に面白い映画だったと監督にすぐ伝えました。それを今から観てくださる方がどう感じるかは気になりますね」と繊細な世界を描きながらも、作品が持つ力強さをアピール。

またお気に入りの台詞を聞かれた横浜は「『できるか、できないかじゃない。やるか、やらないかだよ』という湖山先生の台詞です。シンプルですけど、背中を押されました。新たなことに一歩踏み込むことって怖いと思いますけど、一歩を踏み出せれば、素晴らしい世界が待っています。失敗を恐れるんじゃなくて、まずやってみて新しい世界に飛び込んでもらえたらと思えるような言葉でした」と語り、さらに「これから映画を観るということで、何かを感じてもらえたら嬉しいです。そして、観た後はSNSなどで感想を広めてください!」と来場した観客へメッセージを送った。

『線は、僕を描く』
10月21日(金)公開

『線は、僕を描く』完成披露試写会