記者が「小児医療費無料」というワードで理解していた、乳幼児・子どもの医療費助成制度は自治体ごとに異なり、助成対象や上限額の設定、所得制限の有無などが異なる。なぜ全国一律ではないのかと当初は疑問に思ったが、助成の狙いの一つは、子どものいる世帯の他自治体への転居引き留め・子どものいる(欲しい)世帯の移住促進だと分かり、納得した。東京都2023年度から現在は中学3年生までの助成対象を高校3年生までに引き上げる方針を打ち出している。

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 子育て支援のため、所得制限の撤廃など医療費助成の充実化を掲げる東京都に隣接する埼玉県は、埼玉県内の市町村が実施する「乳幼児(子ども)医療費助成制度/重度心身障害者医療費助成制度」においては22年10月1日から、「ひとり親家庭等医療費助成制度」においては23年1月から、未就学児に限り、県内全域で現物給付方式に変更することを決定し、9月下旬から各自治体で告知が始まった。この変更にあわせ、大半の市町村では、小中学生など、未就学児以外も全県現物給付化に変更する(実施状況は市町村ごとに異なる)。

 現物支給方式とは、「医療機関窓口で市町村が発行する受給者証を提示することにより、原則医療費を支払うことなく医療サービスを受けることができる仕組み」と説明されている。要するに、これまでは居住自治体とその自治体と提携する自治体にある医療機関・薬局に限定されていた「医療費の窓口負担なし」が「県内全域」に拡大する。

 なお、変更後もこれまで助成対象外だった処置や、1カ月の医療費が市町村が定める上限額を超えた分などは自己負担となり、県外や現物支給方式に対応していない医療機関では窓口で医療費を支払った場合や保険証・受給者証を忘れた場合などは、引き続き、所定の手順で助成金を受け取るための申請が必要だ。

 この内容を読んで他県在住者は、なぜ最初から県内全域ではないのかと不思議に思うかもしれない。例えば、神奈川県では、小児医療費助成は、以前から県内の医療機関全てが対象となっており、使いやすい制度として運用されていた。冒頭で説明した通り、子どもの医療費助成は自治体ごとに異なり、これまでは明らかに地域格差が存在した。しかし、少子化・人口減少対策として、子どものいる世帯に手厚い方向性で統一されつつある。

 ガソリン代を筆頭に、食料品、衣服、家電、外食など、さまざまなジャンルの商品・サービスの値上げや実質負担増が相次ぐなか、この「医療費窓口負担なしの県内全域拡大」は、医療機関の選択の幅が広がり、利便性が高まるうれしい変更。埼玉県に転居・移住を検討している人は覚えておこう。(BCN・嵯峨野 芙美)

2022年10月診察分から変更