フランス在住の30歳の女性が今年8月、自身の妊娠を知ってからわずか2時間後に出産した。女性には妊娠時に起こるような症状は一切なく、生理も来ていたという。赤ちゃんは低出生体重児として生まれたが、11月頃には退院できるそうだ。『BFM TV』などが伝えている。

フランスのオート=ソーヌ県に住む30歳の女性は8月4日、自分が妊娠していることを初めて知った。しかしその2時間後、彼女は同県ヴズールで緊急出産した。この出産に至ったきっかけは、同日の朝「痛みが突発的に出た」ことからだったという。パートナーに連れられて同県リュールの救急病院を受診した女性は、ここで妊娠6か月であることを告げられたのだった。

女性は出産後、フランスの日刊紙『L’Est Republicain』のインタビューに応じたが「こんなはずじゃなかった」と言葉を失ったという。というのも彼女曰く「この数か月間は何の症状もなく、いつも生理が来ていた」からだ。

なおこの女性のように、妊娠していることに気付かず出産に至ってしまうことは稀なケースではない。年齢や出産の有無を問わず、どんな女性にも起こり得るそうだ。

妊娠中および授乳中についての情報発信や製品の販売を行う『WoMum』によると、妊娠第1期(妊娠14週、15週頃)以降に妊娠を知った場合、その女性は「妊娠否認」であるという。この症状には、出産時に初めて妊娠に気付く「全妊娠否認」と、妊娠第1期以降~出産前に妊娠していることに気付く「部分的妊娠否認」の2つのタイプがある。

妊娠が発覚してから突然出産をすることになった場合、妊婦はパニックに陥ってしまうことも多いというが、今回の女性は出産を希望したのであった。

女性はオート=ソーヌ県のヴズール病院でビクトワールちゃん(Victoire)という女の子を出産したが、低出生体重児だったために隣接するドゥー県ブザンソン市にある「ジャン=マンジョ地域大学病院センター(CHRU Jean-Minjoz)」の小児蘇生科にヘリコプターで搬送された。現在のビクトワールちゃんは保育器の中にいるが容体は安定しており、両親が毎日お見舞いをしている。

母親になった女性は「早く一緒に帰りたいと思っています」と語っているが、ビクトワールちゃんの退院は本来の出産予定日である11月16日になるそうだ。また女性は「妊娠否認は、子供が欲しくない女性に起きるものだと思っていました」と明かしていた。

Twitter上では今回の出産について、「科学の神秘のひとつ! 身体はまだまだ未知数で驚きの連続だ」、「女性は2時間だけ妊婦と思っていたなら(通常の妊娠期間に比べて)楽だったのかも」といったコメントがあがっている。

ちなみにリール大学病院の発表によると、フランスでは年間1500~3000人の女性に妊娠否認の症状が見られるという。同大学病院の児童精神科医は「妊娠否認の発覚は、妊婦だけではなくその家族にとってもトラウマになることがある。また出産や産後の体験のみならず、時には母親と赤ちゃんの絆、あるいは親になるということにも影響を与える」と述べている。

画像は『L’Est Républicain 2022年9月13日付「Déni de grossesse : en deux heures, elle apprend qu’elle est enceinte et accouche d’une grande prématurée de 6 mois」(Photo ER /Arnaud CASTAGNÉ)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 H.R.)

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