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 まだまだ人間捨てたもんじゃない。海外から届く心温まるエピソードは、勇気と希望をもたらしてくれる。

 高速道路を見下ろせる橋の上から、走行するトラックや車に定期的に手を振っていた父親と息子がいた。重度の障がいを抱えた息子はここで手を振るのが大好きなのだ。

 ある日、いつものように橋に来た親子。すると橋のフェンスにトラックのおもちゃが結び付けらていた。

 なんとそれは、いつもこの場所で親子が手を振るのを見ていたトラックの運転手からのプレゼントだったのだ。予期せぬ贈り物に、父親は感動の涙を流した。

【画像】 橋の上から車に手を振るのが大好きな息子

 イギリスのスタッフォードシャー州スタッフォードに住むダレン・チェスターズさん(56歳)は、脳性麻痺で重度の障がいを抱える息子アレックスさん(27歳)と、アレックスさんの弟ウィルさん(22歳)と一緒に、高速道路の上にかかる橋の上を週に2,3回訪れていた。

 その道路は、スタッフォードシャーのあるミッドランズ地域からスコットランドの境界まで伸びるイギリスで最も長い高速道路「M6」で、多くの車やトラックが行き来している。

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 障がいをかかえたアレックスさんは、橋の上から往来する車を見て、運転手に手を振るのが大好きなのだ。

 時々、アレックスさんが手を振るのを見た運転手らは、ライトを点滅させたりクラクションを鳴らしたりして、アレックスさんを喜ばせてくれるという。

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 アレックスさんは特に赤色が好きで、橋の上からロイヤルメール(イギリスの郵便事業を営む企業)の赤いトラックを見つけると、大喜びして手を振るそうだ。この習慣は、もう2年ほど続いている。

アレックスは、橋に行く以外に何も求めません。橋の上から走る車を見ることは、息子の1日の楽しみなのです。

また、橋の上から車の色を見て、どの会社のものであるかを識別したりしています。それが私にとっても息子への教育の一部になっているのです。(ダレンさん)

橋のフェンスに心温まるプレゼント

 9月17日、ダレンさんはアレックスさんを連れてウィルさんと橋に向かった。いつもと変わらぬ日だと思っていたがそうではなかった。いつも以上に素晴らしい出来事が待っていたのだ。

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 橋についたダレンさんは、橋のフェンス部分に何かが結束バンドで結び付けられてあるのを見た。

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 それは、ロイヤルメールのトラックの模型で、パッケージの表面には「トラックを見ているお父さんと息子さんへ」と書かれてあった。

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 この橋に良く着ている親子といえば、ダレンさんと息子たち以外にはいない。ダレンさんはそのトラックの模型が自分たちへのプレゼントかもしれないと思った。

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 驚いてそれをはずして手に取ると、裏面にはこのようにメモ書きが。

私はロイヤルメールのトラック運転手です。この道を通る時に、あなたたちの姿を定期的に目にしています。息子さんにも自分のトラックがあったらいいなと思いました。どうか良い1日を!
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 このメッセージを見たダレンさんは、見知らぬトラック運転手の思いやりとやさしさに激しく心を打たれた。

私はそれを見て泣いてしまい、アレックスは大喜びしました。

見知らぬ誰かがこんなにもやさしくて、アレックスの一日を更に良くしようと考えてくれたなんて、信じられませんでした。本当に、本当に素晴らしいことです。
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 ロイヤルメールのトラックの運転手は、わざわざ時間を割いて、橋の上の親子のことを思い、店に行って、苦労して稼いだお金を使って素敵なプレゼントを購入したのだろう。

 更に、おそらく渡る理由がない橋に歩いて行くために、わざわざトラックをどこかに止めて、親子に届くかどうかさえわからないまま、橋にプレゼントを置いて行ったのだ。

 だがその思いと粋なプレゼントは無事に親子の手に渡ったようだ。

SNSでさらに多くの人にやさしさの輪が広がる

 ダレンさんは、心温まるこのストーリーをSNSに投稿した。

私たち家族は、アレックスに笑顔を届けてくれたロイヤルメールの運転手にとても感謝しています。彼のおかげで私の息子はどれだけ幸せになったことでしょう。

世の中まだ捨てたものではないと、人の思いやりがまだまだ存在していることを実感させられました。

この1件をシェアしたら、他の方々からもアレックスに贈り物を提供したいというたくさんのメッセージを頂きました。

うれしいことですが、私たちはそれを丁重にお断りし、代わりに慈善団体に寄付していただくようお願いしました。

私は、みなさんのやさしさと思いやりに心から感動しています。これほど多くの人に親切にしていただき、驚きと感謝の気持ちでいっぱいです

 ダレンさんの投稿には、多くの人から運転手を称賛する声が寄せられた。

運転手の身元が判明。彼もまた、手を振ってくれることで救われていた

 さらにこの投稿が拡散したことで、それはロイヤルメールの運転手の目にも留まった。そして、アレックスさんにプレゼントしてくれた人物がついに判明したという。

私たちはFacebookで彼と友達になり、話すことができました。彼は本当に素敵な人です。

トラックを運転している毎日はかなり退屈だけど、アレックスが手を振っているのを見た時には、彼の一日が救われたような気持になると。だから、息子に何かお礼をしたいと思っていた、と言ってくれました。

彼が、多くの人々の顔に笑顔をもたらしたことは、実に素晴らしいことです。(ダレンさん)

 また、この1件を知ったロイヤルメールの広報担当者は、

同僚の 1 人によるこの心温まる親切な行為に感激しました。私たちは現在、アレックスさんの家族と連絡を取り、彼がロイヤルメールのサイトにアクセスして、私たちの車両のいくつかを間近で見ることができるよう手配しています

 と話している。

 やさしさや思いやりは確実に連鎖して、その輪はどんどん大きくなっていく。辛いこと、悲しいことばかりに目がいきがちだけど、毎日のようにどこかで誰かを思いやる人がいて、幸せをもたらしている。

 その事実に触れることができれば、人はもっとやさしい世界を広げることができるんじゃないだろうか。

References:Father left in tears after lorry driver's sweet gift for son goes viral on social media - Hull Live/ written by Scarlet / edited by / parumo

 
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