家族や恋人など愛する人の突然の死は受け入れ難いものがあるだろうが、インドでは夫が死亡したと信じることができずにいた妻とその家族が1年半もの間、遺体の世話を続けていた。警察官が発見した夫の遺体はミイラ化していたという。『The Daily Star』『The Sun』などが伝えている。

インド、ウッタル・プラデーシュ州カーンプル出身のヴィシュレム・ソンカルさん(Vimlesh Sonkar、35)は昨年4月22日新型コロナウイルスによる肺炎で地元の病院で息を引き取った。ヴィシュレムさんの死後、家族は病院から死亡診断書を発行され遺体を自宅へと運んだ。

インドのメディア『Dainik Bhaskar』によると、ヴィシュレムさんの葬儀は翌23日の朝に行われる予定だったそうだ。しかし彼の死を受け入れることができない家族は、亡くなったヴィシュレムさんの脈拍と酸素レベルを計測してみたところ、わずかに反応があったという。そしてヴィシュレムさんを治療してもらうため病院へ運ぼうとしたが、当時はコロナ下のためにどこの病院も受け入れを断られてしまった。

それからというものヴィシュレムさんの家族は彼が昏睡状態にあると信じ、遺体を自宅の一室に寝かせていた。妻のミサリさんが定期的に防腐効果のある消毒剤で夫の体を拭き、オイルマッサージを施していたという。ところがしばらくしてヴィシュレムさんが勤めていたインド所得税局の同僚が、長い間出勤していないことを心配して家族に連絡した。

この時、家族は「自宅で治療を受けている」と伝え、ヴィシュレムさんの回復を心から信じている様子だったそうだ。その後もミサリさんは毎日のように遺体の世話をして、回復することを期待して聖水まで振りかけていた。だが日に日に黒ずんで乾燥していく夫の姿に、ようやく彼がこの世にいないことを悟ったという。

ミサリさんは一緒に住む義母にヴィシュレムさんが亡くなったことを伝えるも、口論になってしまうためにどうすることもできなかったようだ。そしてヴィシュレムさんの死から18か月が経ち、ミサリさんは思い切ってインド所得税局に全てを打ち明けた。その後、インド所得税局が警察に連絡したことで今月23日、警察官らによってヴィシュレムさんの遺体が自宅から運び出され、その日のうちに火葬された。

警察の調べによると、ヴィシュレムさんの遺体があった部屋は24時間エアコンが稼働していたため、近隣住民は遺体の腐敗臭に気づかなかったという。また遺体は皮膚全体が黒ずんでおり、ミイラ化していたとのことだ。なおヴィシュレムさんの妻と彼の家族は「昏睡状態だった」と思い込んでいたこともあり、刑事責任を問われるようなことはないそうだ。

画像は『New York Post 2022年9月26日付「Widow hid husband’s ‘mummified corpse’ in home for 18 months, didn’t think he died」(IMAGE: Jam Press Vid/Rare Shot News)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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