一度は見たい飛行機でしたが…時代ですね。

ただでさえ激レア機「747SP」だったのに…

NASAアメリカ航空宇宙局)とDLR(ドイツ航空宇宙センター)が保有する、ボーイング747SPを改造した航空機「SOFIA(N747NA)」が、現地時間2022年9月29日にその役目を終えました。世界でも運用機数が非常に少ない旅客機である「747SP」のなかでも、さらに珍しい改修が施され、「ただの飛行機ではない」(NASA)とされた貴重な1機が、その役目を終えることになりました。

SOFIA」は747SPに世界で唯一という2.7mの空中鏡望遠鏡を搭載するなどの改修を施し、「世界最大の空飛ぶ天文台」(NASA)としたもの。飛行中にドアが開くユニークな機構が特徴で、当時の開発者も「それはとてもスリリングなものだった」とコメントしています。DLRによると、「SOFIA」としての調査飛行の回数は800回にも及ぶとのことです。

ベースとなっている747SPは、元ユナイテッド航空機で機齢は45年にものぼります。

747SPは「ジャンボジェット」ことボーイング747シリーズのなかで唯一となる胴体短縮型。通常のタイプより約15m縮められた胴体は航続距離の延長が目的で、この世代の旅客機としては屈指のロングフライトが可能であるなど、性能の高さが特徴でした。ただし、「ジャンボ」シリーズでもっともメジャーな747-400は700機近く製造された(貨物型などを含む)のに対し、747SPの製造機数は45機。シリーズのなかでも少数派のタイプで、NASAも「稼動している数少ない一機」としています。

NASAは、同機の退役の理由を「運用コストと生産性が見合わなくなったため」としています。最終調査フライトはアメリカ時間9月28日夜からから29日未明にかけ、アメリカ・パームデール空港発着で約8時間実施。今回で「SOFIA」が退役することにより、貴重な747SPがまた1機姿を消すことになりました。

最終調査運航を終えたとみられるボーイング747SP、「SOFIA」(画像:NASA/DLR)。