朝鮮半島に被害を及ぼした台風11号(ヒンナムノ)。その後、台風12号(ムイファ)が朝鮮半島西側の黄海を北上するなど、北朝鮮は繰り返し大雨と暴風に襲われた。

ちょうど秋の収穫が盛んに行われている中での相次ぐ台風襲来。被害防止作業に動員された人々の口からは、収穫に悲観的な話が漏れていると、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

咸鏡北道は道内の各市と郡に対して、秋の総動員被害防止戦闘を今月15日から5日間行うように指示した。ちょうど台風12号が東シナ海から黄海に向けて北上中だったころだ。

農場に動員された人々は、作物の状況を目の当たりにしたのだが、すでにひどい状況だった。風水害にやられていたわけではない。実が実っていないもの、虫食いでボロボロになったものなど、ひどい有様だったという。

今年の北朝鮮は春先の日照り、梅雨の大雨、夏の猛暑など、深刻な自然災害に度々襲われた。麦、大豆、ジャガイモが深刻な不作に陥ったと伝えられているが、どうやら稲も不作が避けられないようなのだ。

「今年も協同農場の農業はダメになり、収穫を得るのは難しいだろう。現状は絶望的で打つ手がない。1年間、農作業に苦しめられたが、また失敗した」(目撃した住民)

現場を目撃した人々から農場のひどい現状の話が広がり、収穫されたもののほとんどは朝鮮人民軍北朝鮮軍)、保衛部(秘密警察)、安全部(警察)などに送られ、庶民にに配給されることはないだろうとの反応が広がっているとのことだ。

軍人や警察ですら、配給を期待できないのは同じだ。その不足分を補うために、庶民からワイロの形で取り上げたり、農場や民家を襲撃して奪ったりする事件が多発することだろう。

韓国の慶南大学国土衛星情報研究所のチョン・ソンハク副所長の、韓国デイリーNKへの寄稿によると、今月12日に撮影した衛星写真を分析した結果、平壌市郊外の万景台(マンギョンデ)区域の場合は、田んぼの27.3%が発育不振、9.8%は大雨などの理由で田んぼが崩れていた。

また、黄海北道(ファンヘブクト)の鳳山(ポンサン)、銀波(ウンパ)では、それぞれ26.6%、3.8%、黄海南道(ファンヘナムド)載寧(チェリョン)では、18.3%、3.5%、平安北道(ピョンアンブクト)順川(スンチョン)では27.2%、2.5%に達した。

台風に備える北朝鮮の人々(労働新聞)