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 意外な事実かと思うかもしれないが、アメリカ司法省司法計画室が発表した「最新の報告書」によると、同国では1994年から2020年にかけて、17歳以下の暴力犯罪が78%も減少していることがわかったそうだ。

 アメリカでは暴力犯罪が頻発しているというイメージがあるが、未成年犯罪に限って言えば、どうもそれは必ずしも現実を反映したものではないようだ。

 あるいは、たまに起きる銃乱射事件などの犯罪があまりにも印象に残る強烈なものだからかもしれない。

【画像】 過去30年で若者の暴力犯罪が減少を続ける

 アメリカ司法省司法計画室の報告書によると、たとえば2020年には18歳未満の逮捕者数は、前年より38%低下している。

 これは新型コロナの影響も1つの要因と考えられるが、若者の暴力犯罪の減少傾向はそれ以前から続いている。

 例えば、5年前との比較では、逮捕者がなんと半減している。そうした逮捕者のうち暴力犯罪の容疑によるものは、わずか8%のみだった。

 当のアメリカ人たちも、こうした現実にはあまり気づいていないようだ。

 YouGovの2020年の調査では、過去10年で犯罪が減少していると正しく把握していた人は、わずか10%のみ。57%の人は犯罪が増加していると勘違いしていた。

・合わせて読みたい→アメリカの警察官が自らの体にボディカメラを装着するという試み。暴走が減り検挙率が上がるという調査結果。

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大事なのは罪を犯してしまった子供に対する更生措置

 また、こうした実態を反映しないイメージは、マスコミの報道姿勢とも関係があるかもしれないと、コロンビア大学のビンセント・シラルディ氏は語る。

 「犯罪の報道が増えれば、みんな犯罪が増えていると考えるでしょう」ところが刑務所に送られる子供は、3分の2も減少しているのだ。

 シラルディ氏がもう1つ指摘するのは、子供が道を踏み外してしまった時、どのように対応するべきかという点だ。

 「子供たちが失敗した時、犯罪を助長するようにな施設に放り込むのではなく、私たちは更生を施しています」

 司法省未成年司法・非行防止局のリズ・ライアン長官は、次のようにプレスリリースで述べている。

[もっと知りたい!→]犯罪の厳罰化は本当に犯罪抑止につながるのか?アメリカの場合

これらのデータは、過去30年間に渡って進展してきた心強い傾向を反映しており、青少年の犯罪が増加しているという主張に対する歓迎すべき反論です

未成年司法改革の方向性、特に多くの管轄区域で行われている、厳しい刑罰の代わりに自己啓発の機会を与えるという、支援を旨とするプログラムについて楽観していい根拠にもなります

 こうしたデータは、若者に関係する政策を考案するにあたって大切な情報源となる。

 国立司法省研究所のナンシーラヴィーン所長はプレスリリースで、「青少年の、とりわけ暴力犯罪による逮捕が全体的に減少傾向にあることは、青少年支援戦略を練る際に考慮すべき、逮捕の量と性質に関する重要な情報になります」と述べる。

子供たちの未来は、アメリカの未来

 青少年の暴力犯罪が減少傾向にあるという事実は、過去30年間のアメリカにおける暴力犯罪の傾向を反映している。

 1991年、10万人あたりの暴力犯罪発生率は758.2人だったが、2019年までにはほぼ半減(380.8人)しているのだ。

 アメリカの若者に好ましい傾向が見られるということは、未来の大人たちの犯罪も減る可能性が高まるとことが期待される。

References:Youth violent crime rate is down 78% - Upworthy / written by hiroching / edited by / parumo

追記:(2022/10/04)本文を一部訂正して再送します。

 
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アメリカの17歳以下の暴力犯罪は1994年以降78%減少していることが判明