写真集も発売されるアイドルホース

 今週行われるスプリンターズSに出走するメイケイエール。その愛されるキャラクターから競馬ファン以外にも人気が高く、この秋には写真集も発売されるなど話題を集めています。

 今回はメイケイエールのこれまでの戦歴と今週のスプリンターズSについて、さらにこれからの可能性まで考察していこうと思います。この記事を通して、メイケイエールをさらに好きになってもらえたら嬉しいです。

◆わがままお嬢様から大人の女性へ

 父のミッキーアイルは類まれなスピードを武器に短距離からマイル路線で活躍。一方、2016年マイルチャンピオンシップでの斜行を覚えている競馬ファンも多いと思いますが、気性の悪さというのも目立つ馬でした。

 母のシロインジャーはその名前の通り白毛馬で、シラユキヒメの一族にあたります。なお、メイケイエールは母のシロインジャーから白毛遺伝子を受け継がずに生まれたため、白毛ではありません。この牝系にはソダシもおり、現役の2大アイドルホースの祖となります。ソダシもそうであるように、この一族もゲート難が見られるなど気性面の悪さが見られます。

 このように両親ともに気性の悪さを見せていたメイケイエールも、当然(?)とばかりに激しい気性を持ってデビューします。新馬、小倉2歳SファンタジーSと道中は折り合いを欠く競馬でしたが、それでも能力の違いで3連勝。しかし、4戦目の阪神JFでは一気にメンバーレベルが上がり、折り合いを欠いて外々を回る競馬ではさすがに勝ちきれず4着に敗れました。それでも、ソダシサトノレイナスユーバーレーベンといったその後もGⅠを好走する相手と接戦を演じており、能力の高さを証明する結果といえるでしょう。

 ここまでなら「普通に気性の悪い馬」程度のレース振りでしたが、3歳になって徐々に普通から逸脱していきます。

 チューリップ賞では前半から終始掛かりっぱなし。少頭数とメンバーレベルが低かったこともあり事なきを終えましたが、桜花賞では出遅れると一気にスイッチが入ってしまいます。全く制御が効かずにドンドン先頭まで進んでいき、その間に数頭の馬の進路を妨害。まるでレースにならず18着に敗れてしまいました。その後、4着だったスプリンターズSでも道中では同様のレース振りを見せており、気性の改善に取り組むことになります。

 そこで、翌年のシルクロードSから、「パシュファイヤーと呼ばれる目の部分をネットで覆って競走馬の視界を遮る馬具と、折り返し手綱」と呼ばれる競走馬の頭の位置を固定させる馬具を使用。これが効果抜群でした。同レース時点ではまだ少し行きたがる面も見せてはいましたが、馬群の内で競馬を進めて勝利高松宮記念は外枠から外を回す形で敗れたものの、京王杯スプリングカップセントウルSを連勝。

 特に前走のセントウルSでは折り合いもスムーズで、これまでのわがままなお嬢様というレース振りから一変。大人の女性としてワンランクアップした姿を我々に見せてくれました。

◆今週のスプリンターズSの見通しは?

 折り合い面も進境が見られた前走のセントウルSは、1分6秒2のレコードおまけつき。2016年高松宮記念ビッグアーサーが記録したタイムを0秒5も更新しており、超GⅠ級のパフォーマンスとなりました。しかも、着差がつきづらい短距離戦で2馬身半差の完勝と非常に好内容の一戦でした。

 また、スプリンターズSが行われる中山競馬場1200mはスタート後から下り坂が続くため、前半3ハロンが33秒台前半、年によっては32秒台も出るようなレース

 メイケイエールがこれまで好走していたレースは前半3ハロンが33.5秒以上、34秒台になるケースが多く、スプリンターとしてはやや前半の追走面に課題を残していたのですが、前走のセントウルSでは前半3ハロン32.5秒のハイラップを5番手から抜け出し。折り合いが進展した事で追走面でもこれまで以上に楽になっており、この点でも成長が感じられます。

 今週のスプリンターズSでは1番人気に支持されることが濃厚ですが、その期待に応えられる能力を有しているでしょう。

メイケイエールのこれからの可能性

 さて、ここからは未来のお話。

 わがままお嬢様から大人の女性へと成長を遂げ、スプリンターとしての才能を前走のセントウルSで開花させたメイケイエール。しかし、筆者は同馬に対してマイラーとしてさらに高い才能を感じています。

 それは同馬のレースや追い切りなどの映像を見てもわかるように、非常に大きなフットワークで走る事ができるため。このストライドの大きさは、マイル戦で徐々に加速していく脚の使い方をする方が合っていると考えています。

 気性が改善された今こそ、改めてマイル戦でその雄姿を見てみたいものです。

文/安井涼太

【安井涼太】
競馬予想家/ライター/クリエイター。著書に『競走馬の適性を5つに分けて激走を見抜く! 脚質ギアファイブ(ガイドワークス)』『超穴馬の激走を見抜く! 追走力必勝法』(秀和システム)、『安井式ラップキャラ』(ベストセラーズ

10月2日に行われるスプリンターズSで有力視されているメイケイエール  写真/橋本健