受験生にとっては「どこからが高学歴」か「高学歴の定義・基準」というのは気になります。人それぞれの立場や、学歴力の中でもどれに重点を置くのかによって大きく異なります。9浪して27歳で早稲田大学に合格した濱井正吾氏が著書『浪人回避大全 「志望校に落ちない受験生」になるためにやってはいけないこと』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

ボーダーラインは偏差値50以上の大学

▶「意識」世間の「高学歴」を正しく把握しない/重要度★☆☆☆

近年、YouTubeで学生にインタビューをする動画が氾濫しています。

現在のYouTubeは、大学のコンテンツで再生数が取れ、需要があるとわかったために椅子の奪い合いが繰り広げられています。

平凡なタイトルの動画ではもう再生回数が取れないため、「どこからが高学歴なのか?」「どこからがFランなのか?」といった攻めたタイトルの動画も散見されるようになりました(そもそもFランは「ボーダーフリー」で競争なく誰でも入れる大学の意味なので、「どこからがFランか」というのが質問として不適切なのですが)。

動画を見ていると人によって「高学歴」の定義はまちまちですが、「GMARCH以上」と答える学生が非常に多いのです。場合によっては「早慶」という人もいます。

この認識で社会に出たら、一般層の考えていることがわからずに苦しむことになりかねません。何が問題かを解説していきます。

GMARCHは、河合塾偏差値で言うと60前後です。河合塾の模試は基本的に大学進学者を対象とします。

偏差値60の人は上位15%〜16%くらいに当たること、令和元年の高校生の大学進学率が53.7%であることを考慮すると、GMARCHに行ける人は全体の10%以内なのです。最低でも偏差値65の早慶は余裕で5%以内。「早慶からが高学歴」という認識など、世間からずれすぎていて論外です。

人によって価値観が違うことを考慮しても、私はやはり、河合塾の平均偏差値が50を上回る日東駒専産近甲龍(上位20%)からが世間一般からは文句なしに高学歴と言えるラインだと思います。

現役生のみなさんも、東大を志望しているから、早慶を志望しているからといって偏差値50 の大学をバカにするような姿勢はやめましょうね。世間一般の目線に立って生きることができると、社会でもうまくいくのではないかと思います。

短期間で成績を爆伸びさせた勉強法の価値

▶「勉強法」超人の超人的な勉強法を参考にする/重要度★★★★★

偏差値●から20伸ばした勉強法」 「1ヶ月でセンター国語●点アップした勉強法」

成績が伸び悩んでいるとき、こうした刺激的なタイトルのテキストや動画をつい釣られて見てしまっていませんか? 悩んでいるときにこんなサムネイルの動画を発見したが最後、ついつい時間を忘れて見てしまう……そのような気持ちは大変わかります。

しかし、こうした「短期間で成績を爆伸びさせた勉強法」の再現性はほぼありません。こうした人々は割と超人なので、普通の人間が真似するにはなかなか非現実的なのです。

こうした事例は、ごく稀だからこそ人目につく武器になるわけです。

この偏差値爆伸びには、たまたま難しい模試を受けて取った偏差値であったり、進学校の校内偏差値であったり、進学校に入ってから勉強をまったくしていなかったもともと基礎学力がある人の一時的なものだったりと、さまざまなカラクリがあります。

東大や京大の医学部生が出している「センター試験を10分で解いてみた」といったコンテンツを見るのは次元が違いすぎるので誰も実践できない、見て楽しむエンタメだとわかるのですが、先の爆伸び系のほうは視聴者層の目線に合わせているので勉強で一発逆転を目論む方に見られがちです。

ですが、もともとその人たちも十分超人です。彼らのことは我々とは違う人種だと考えて、自分たちは今の自分にできる勉強をコツコツやるべきです。力をつけるには何事も近道はありません。私は30歳そこらの短い人生ですが幸運にもさまざまな業種で成功したと言えるような方にお会いできたと思います。そうした成功者の共通点を探してみたところ、どの業界でも謙虚に地味な作業をコツコツ繰り返してきた人ばかりでした。

わらにもすがりたくなる気を抑え、楽な道はないんだと目の前のことから地道に向かうように努めてまいりましょう。

濱井 正吾 9浪はまい

(※写真はイメージです/PIXTA)